荒木飛呂彦の描いた短編漫画4作品を1つの書籍にまとめた作品集。
1999年11月24日に発売。2011年9月16日には文庫版が発売された。
扱われている漫画作品の中には荒木の代表作品「ジョジョの奇妙な冒険」に登場する人物が出てくるスピンオフ的なエピソードも存在、外伝作品のような位置づけの作品となっている。
2015年11月にはなんと「死刑執行中脱獄進行中」の舞台公演が実現。同月20日から、全国各地で上演されている。荒木飛呂彦作品でアニメ化でも実写化でもなく、舞台となるのは今作が初である。主演は俳優の森山未來。
作中には死刑囚の男ただ1人しか出てこないが、舞台には「ドルチ ~ダイハード・ザ・キャット~」の要素も入ってくるらしい。全く異なるシチュエーションの作品がどのように混ざり合うのか期待したいところ。
本書の表題にもなっているタイトル。
殺人事件を起こして死の判決を受けた主人公・囚人27号。彼は高級マンションの一室のような奇妙な監獄へ収監される。しかしそこは、照明スイッチを入れようとすると蜂が襲ってきたり、椅子に座ろうとすると折れた椅子の断面が突き刺さるように出来ているなど、囚人27号は「この部屋は牢屋ではなく、自分を処刑するために作られた『処刑室』である」事に気づいていく。
そんな中彼は、部屋の壁を掘って奇妙な牢獄からの脱獄を決行するが・・・
荒木に曰く、「死刑と脱獄を同時にさせるというアイデアから思いついた、ひたすらサスペンスを描くために描いたサスペンス」であるとの事。作中には囚人27号以外に誰一人影も姿も見えない上、作品中で描写されている仕掛け以外にも様々な展開や考察を考えさせられるストーリー構成が特徴である。
どこかの海上で転覆し、沈没を待つのみとなったヨットの上での、1人の男と1匹の猫のストーリー。
ガールフレンドと共にヨットで海へやってきた一級建築士・愛子雅吾。そしてその飼い猫・ドルチ。
しかしヨットは事故で転覆してしまい、彼女も溺死してしまった。成す術もなく救助隊を待ち続け、やがて無線機も故障し水も食料も尽きてしまう中、段々と雅吾とドルチの仲は険悪になっていく。
ついには、雅吾は生き延びるためにドルチを・・・
巻末のコメントによれば、「当時の担当編集者が猫を『生活の上での心の希望なんだ』とまで溺愛していたため、『でもアンデスの山中で遭難したら食べちゃうよ、きっと』と考えた意地悪な(自分の中の)性格が生み出した作品」とのことらしい。
ジョジョの奇妙な冒険・第4部「ダイヤモンドは砕けない」の登場キャラクター・岸辺露伴をストーリーテラーに据えたエピソード。「動かない」というタイトルには、『岸辺露伴は語り部なのであって、主人公ではありませんよ』という意味が込められている。
とある事故で叩きのめされ執筆を一月ほど休んでいた頃、露伴は取材のためイタリアへ赴きとある懺悔室へ入った際に一人の男が懺悔室へやってきた。露伴を神父と勘違いしている男は露伴に対して懺悔の言葉を語り始めるが、「体験は作品をリアリティに生む・・・」と考えた露伴は自分は神父ではないことを黙ったまま、その男の「恐怖と恨みのストーリー」に耳を傾けるのだった。
本編のストーリーの核心である「人生で幸せの絶頂を迎えた時に、過去の過ちや悪行の報いを受け絶望の底へ叩き落される」というテーマは、作品のストーリー仕立て(懺悔の男の、その後の人生)と合わせて多くの読者に恐怖やトラウマを刻んだ事だろう。これは巻末のコメントに曰く、荒木が子供時代に父や祖父から言われた「自分を叱る時の言葉」に由来しているらしい。
ちなみに2008年1月発売のジャンプスクエアでは、本ストーリーと同じタイトルを冠した「岸辺露伴は動かない -六壁坂-」が掲載された。その後も、「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」「岸辺露伴 グッチへ行く」など、岸辺露伴を主人公としてスピンオフ作品が製作されている。
(参照→「岸辺露伴は動かない」)
なお、後述の「デッドマンズQ」も同様だが、いわゆる外伝作品的な扱いであるため「ジョジョの奇妙な冒険」本編中のストーリーとは直接の関わりは無い。
上記と同様に第4部の登場人物である吉良吉影を主人公に据えた、スピンオフ作品。
スタンド能力と生前の記憶を失った吉良が、死してなおも幽霊として幽霊の世界で「心の平穏」を求めて殺し屋として生活する日々の話を描かれている。
詳細は「デッドマンズQ」を参照。
掲示板
22 ななしのよっしん
2020/04/04(土) 16:15:13 ID: kz4YctMVxX
執行執行中の囚人は食べ物とかどうしてたんだろう。
運ばれてくるであろう食事は罠が仕掛けてあるから食べられないし。
掘った穴から鳥かなんかが飛び込んで来るから、それを捕まえて食べてたのかな。
23 ななしのよっしん
2021/11/01(月) 19:49:37 ID: TFvr1YY3E1
懺悔室の主人公はどうしようもないクズだが、露伴には最終的に生きる執念を称賛されてはいる。
死ぬまで付け狙われる運命は確かに過酷だが、それでもこの男はぬらりくらりと交わして生き続けてしまうのだろう。
勧善懲悪ではなく、得体のしれない死霊に人が叡智を駆使して勝利するという変則型の人間賛歌になってる。
24
2023/09/06(水) 07:51:47 ID: Nx5dCDp4SM
死刑執行中脱獄進行中の主人公の最後はきっと老衰間近にあの穴から出ようとして、安全に出れてしまって何時でも出れたのに生涯を無為に過ごしてしまったと絶望しながら老衰、だったら面白いな。因みにそれ以外のときに出たら首チョンパ
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最終更新:2024/11/24(日) 19:00
最終更新:2024/11/24(日) 19:00
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