残穢(ざんえ)とは、小野不由美による小説作品である。2012年、新潮社刊。現在は新潮文庫。
同時に刊行された『鬼談百景』(メディアファクトリー→角川文庫)とともに百物語を為している。『鬼談百景』には怪談99話が収録されており、百話目が本作である。
著者自身をモデルとした主人公「私」が過去の怪奇現象を追っていく、ドキュメンタリータッチのホラー小説。
登場人物と読者がそれぞれリアルタイムで情報を咀嚼しながら繋げていくという読み方はミステリーのそれに近い。
実在人物モチーフの登場人物たちが地に足の着いたアプローチで真相に迫り、最初は点であった個々の怪奇譚がやがて繋がり一つの形をなしていく様は、作中における過去と現在、怪談と現実、ひいては「小説とリアル」という虚実の境界を徐々に曖昧にしていく。
具体的な怪物や妖怪に対して怖がらせるのではなく、現実のふとしたこと(シャンプー使ってる時の背後とか、夜の廊下の暗がりとか)に対する不安や想像力を猛烈に活性化させてくるタイプの作品である。
2013年の山本周五郎賞を受賞した際には、審査員に「絶対に家に置いておきたくない本」とまで評されている。
一方で展開や語り口はあくまで淡々としているため怪談としては地味。そこも怖さをもたらす肝ではあるのだが、エンタメ性を求めるタイプの読み手には向かないかもしれない。
「この家は、どこか可怪しい。」
読者から怪談を募集していた「私」のもとに、あるマンションに住む久保という女性から一通の手紙が届く。曰く、仕事中に背後の寝室から畳を掃くような異音がするという。不動産屋に問い合わせても、その部屋やマンション自体にいわゆる「事故物件」になるような出来事は起こっていなかった。
しかし後に、実は以前にも同じマンションの別の部屋から同じ内容の話が届いていたことが判明。「私」が久保とともに詳しい調査に乗り出すと、久保の部屋の前住人が”転居後”に不幸に見舞われていたこと、そしてマンション建造前のとある出来事が明らかになった。
単なるマンションの怪談に留まる筈だった因果は、調べれば調べる程に時代と土地を越えて広がっていく。
怨みを伴う死は穢(けが)れとなり、伝染し拡大する。
怪異の連鎖を辿る「私」達を待つものとは。
2016年、『残穢 -住んではいけない部屋-』のタイトルで実写映画化された。監督は『ほんとにあった!呪いのビデオ』の中村義洋。
大半の筋書きは原作通りだが、原作の登場人物は殆ど実在の人物をモデルとしているためか年齢など細かい設定が変わっている。またラストの展開が大きく改変されており、この点については賛否両論。
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最終更新:2025/04/09(水) 09:00
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