永遠の2分前とは、かつて主に地方競馬の重賞競走で見られた人工的な時空の歪みである。
電話投票等の例外を除き、競馬の勝馬投票券の発売締切は発走時刻の2分前と定められている。JRAでは発売締切の告知は締切時のベルやオッズ表示モニターの文字表示など、比較的ささやかに行われるのみであるが、地方競馬では、各場ごとのやり方で、一定時間前から音楽を流したり、専用の掲示板やモニターで逐一残り時間を知らせている。
ところが、地方競馬の中でもダートグレード競走や重賞競走といった大きな売り上げが見込める大レースが行われるときに限って、残り時間表示が明らかになかなか前に進まず、「残り2分」の表示になって2分経っても3分経っても「残り2分」のまま変わらないといった事例が多発していることが明らかになる。地方競馬は全レースを無料でインターネット配信しており、容易に検証されることが可能であったことから急速にネタとして広まり、地方競馬の大レースの風物詩としてこれを「永遠の2分前」と称するようになった。
JRAと違い、地方競馬は日常の売り上げが多くないことから、発売窓口や券売機の設置数を絞りがちである。このため、大レースとなると窓口も券売機も大混雑となり、締切を厳格に適用していては買いそびれる人が続出する恐れがある。特に、締切間際になるとオッズが大きく変動することが常の地方競馬は、締切間際のオッズを確認してから買おうというツワモノも多いことから、残り時間や音楽を頼りにする人も多い。
そこで、早めに音楽を流して購入窓口に誘導させることにより、なるべく買いそびれが出ないようにするのである。しかし、締め切り時間は決まっているためにある程度の調整は必要となり、結果、時間経過が不自然になってしまうのである。また、それでも窓口の状況によってなお混雑が収まらない状況が続いていると、さらに「2分前」が伸びて、発走時刻自体も遅れがちとなってしまう。ちなみに、延々と「2分前」が続いたあと、「1分前」になると、突然時空の歪みはおさまって、1分後に締め切ってしまうのもお約束である。
しかし最近はダートグレード競走であっても、時空がゆがむことなく「3分前」の1分後に「2分前」、その1分後に「1分前」がカウントされるようになった。
これは2011年7月から稼動をはじめた「地方競馬共同トータリゼータシステム」の存在が大きく関係している。経営の苦しい地方競馬のコスト削減と相互発売の拡大を視野に、それまで各場ごとに持っていた馬券の発売システムを地方競馬全体で一本化したものであり、JRAの馬券発売などもこのシステムがあったからこそ各場で導入できたりとその効果は絶大であった。しかし、このシステム一本化によって、締切時間を勝手にいじることができなくなったらしく、それが「永遠の2分前」の消滅に繋がったようである。
競馬場に行くと、「地方競馬で一本化した発売システムを使うようになったので、締め切り時間は厳守する」旨の告知文が貼られている事がある。これがすなわち「永遠の2分前」の消滅のお触書である。
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最終更新:2024/03/29(金) 20:00
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