津波単語

ツナミ

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つなみ!にげて!

津波Tsunami)とは、海底などの急な変動により発生する、波長の大きな高波(面変動)である。
規模が大きくなると大規模な高波が陸地を連続的に襲い、建造物などを巻き込み壊滅的な被害をもたらす。

おおむね高さ20cmえる場合、自然災害の一種として注意・警が必要となる。
さらに高さ3m、あるいはそれ以上の津波は気象庁大津波と分類し、さらなる警を要す。

山津波(土石流)は津波とは別の現である。
サザンオールスターズシングル名などについては、「TSUNAMI」を参照。

概要

大津波警報・津波警報・津波注意報発令

多くは海底地震地滑りが発生したり、海底火山が活動するといった要因で面が変動し、高波が発生するケースである。
まれではあるが、海岸で山体が大規模に崩壊し、土に落下することでも発生する。[1]

Wave)と津波Tsunami)はその発生事由や現面から見た場合、異なるものであることに留意が必要である。一般的に、波はからのにより発生する波長や間隔の短い、文字どおりの「波」であるが、津波のほとんどは地面の振動がきっかけで発生する波長や間隔の大きな波…と言うよりは「盛り上がったのかたまりの大移動」である(後述のAAも参照されたい)。危険性も「波」とは全く異なり、直感的に区別できる例をあげるとするならば、

スズメ[2]と、スズメバチ[3]ほどに違う。

名称

古くは「立」「浪」「」「震」などと呼ばれたりもしていたが、次第に「つなみ」と統一されていった。また、地方によっては津波を「よだ」「あびき」「すず波」などと呼ぶ事も。古文書などでは「が傾く」などとも表現されている。

海外でも同様に TSUNAMIと表記されている世界共通である。元は英語では津波は「tidal waveタイダル・ウェーヴ)」と呼ばれていたが、1946年ハワイアリューシャン列島周辺海底を震とするMw8.1(Mt[津波マグニチュード]9.3)の大地震が発生した折に、日系人達が『津波』という言葉を頻繁に用いたために現地の新聞にも『TSUNAMI』なる言葉が掲載されるようになる。やがてその英語圏でも津波を「TSUNAMI」と呼ぶようになっていき、1968年に正式に『TSUNAMI』は世界共通の学術用となった。もともとタイダルウェイブの満干きによる高潮していたため、津波を表すのには不適切だったこともTSUNAMI世界共通用になる一因でもあった。また、2004年に起きたスマトラ島沖地震に伴う津波が未曾有の被害(死者22万人以上)を引き起こし、被害状況が『TSUNAMI』のとともに数日で世界ネットを駆け巡ったことから、研究者以外の一般層にも広く認知されるようになった。

規模

津波の高さは0m~2m程度から、10mをえるケースまで様々であり、また波長も総じて長いために他の自然災害以上に甚大な被害をもたらす。一般に0.3mの潮位の変化で遊泳禁止となるレベル0.5m前後の津波でさえ既に人間が直立していられないほどであり、2m~3m以上の高波ともなると人間はおろか建物や土を根こそぎ洗い流していく。

さらに津波の大きな特徴として、大抵は1度だけでは終わらず複数回押し寄せるという特徴もある。また2回、3回以降の波がそれまでより大きいことも多々ある。例では、2011年東北地方太平洋沖地震の場合、千葉県旭市では15:44頃の第1波の津波が高さ2m程度だったのに対し、17:26の第4波が高さ7.6m程度と第1波の数倍の高さで押し寄せ、大きな被害を出した。第1波過ぎて安心し、避難所を離れたり自宅へ戻った(戻ろうとした)ところを第2波・第3波に襲われたという災害事例も過去に少なからず存在するため、津波が発生した場合は津波警報(注意報)が解除されるまで、油断は禁物である。

津波は近での地震により発生するものが多いが、1960年チリ地震2010年チリ地震のように日本では全く地震の揺れを感じなくても、地球の裏側で発生した津波が1日以上かけて日本に届くこともあり(いわゆる遠地津波)、また内陸の地震火山活動などで山体崩壊が起きた場合には、だけでなくでも津波が予想されることがあるので、注意が必要である。→一例:「有珠火山の山体崩壊による洞爺湖の津波シミュレーションexit

現在知られる最も高い津波は、1958年アラスカ・リツヤ湾での500mをえる津波と言われる。これは山体崩壊によるもので、湾内のフィヨルドが大規模に崩壊し、大量の土が湾内に落下したことにより発生した。

また、約6550万年前に現在メキシコユカタン半島に形成されたチクシュルーブクレーターは、直径約10kmの隕石が衝突し、500m程度の津波が広範囲で発生し、周辺沿生物全滅させた。

語源

波は一般に深が大きいほど波高は低く、浅瀬に来ると急に高さを増す。また、津波は非常に波長が長いため、上では波の上下を感知しにくい。そのために出ているはほとんど気づかず、帰港すると港()だけがやられる波ということから「津波」のができたとされる。書物による初出は1611年慶長三陸地震による「駿府記」とされている。

津波って結局、普通の波と何が違うの?

図で表すとこのような感じ。高さは同じでも全く別物であることがお解りいただけるだろう。

4メートルの波

                   ザッパーン

                          
                         
                        波波         ●
                      波波波          人
 波波波波波波波波波波波波波波波波------------

4メートルの津波

←何十キロもの彼方までおんなじ高さ

ゴゴゴゴゴゴゴ‥         

波波波波波波波波波波波波波波波波波波
波波波波波波波波波波波波波波波波波  
波波波波波波波波波波波波波波波波          Σ ●
波波波波波波波波波波波波波波波波           人
波波波波波波波波波波波波波波波−−−−−−−−−−−−−−−


上記の図のように「波」の塊が迫るだけでも恐ろしいが、実際には建物などを巻き込み、破壊し、破壊された瓦礫を含み、ガソリン灯油を発火させ、巻き込まれ流された先の地形や物品によって圧迫・脱出不能になる点にも留意されたい。

上記AA2ちゃんねるより引用したものだが、東日本大震災以降、下記のAAが出回るようになった。

実際の津波

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・


         波波木材波波波波
木材波波材木材木材波波波
波波波波波波波  
波波波木材木材木材木材          Σ 
木材木材材木材石石木材             人
波波木材木材木波波−−−−−−−−−−−−−−−


参考:津波を正面から撮影した動画exit

津波による浸水と死亡率

津波は横から押し寄せるエネルギーが強いため、身動きが取れなくなり死亡率が高くなる。

下記は内閣府による東日本大震災被害実態などからの分析。[4]

津波による浸の高さ 計算上の死亡率
100cm 到底立てない
漂流物にぶつかる
死亡する確率が高い
100%
70cm 膝をえてが強くなる
健康な成人も流される
71.1%
50cm コンテナが浮き出す
何かにしがみついていれば立てる
4.8%
30cm 健康な成人なら何とか立てる
歩行は難しい
0.01%
0cm 0%

津波に関する防災知識

  1. グラっときたら、津波警報
    地震の揺れを感じた時、緊急地震速報を見たり聞いたりした時、海岸周辺や海岸近くの河川周辺にいたら、津波警報と思って直ちに高台に避難することです。 津波や洪水は「期避難に勝る対策し」です。小さな揺れだからといって油断せず、ラジオテレビ情報を確認してください。明治三陸地震津波のときは「震度3」の小さな揺れでしたが、その30分後に大津波が襲ってきて2万人以上が犠牲になりました。
  2. 俗説を信じず、最悪の事態を想定して行動せよ
    津波はいつも同じパターンで同じ場所を襲って来るとは限りません。一度引いてから押し寄せてくる津波もあれば、いきなり高波が襲ってくる場合もあります。また、前回襲われなかった海岸が大津波に襲われたこともありますので、常に最悪を考えて行動すべきです。 「波が引いてから津波が来る」とか「過去ここまで津波はこなかった」などの俗説を信じてはいけないのです。
  3. 「遠くの避難場所より、近くの高いビルへ」「は使わず・遠くより高く」
    海岸付近にいて、高台まで避難できそうもないときは、ビルの2階以上に避難させてもらうことです。地域によっては海岸線にあるビルの協を得て津波避難ビルとしたり、津波シェルターを設置しています。で避難するのは危険です。北海道南西沖地震1993年)のとき、奥尻島ではで避難しようとした人たちが続出し、狭い道路渋滞しているときに津波に襲われ、ごと津波に飲み込まれ、多くの犠牲者を出しました。
    は使わず・遠くより高く」を合言葉に近くのビルなどに避難すべきです。

引用元: 津波の知識と教訓 山村武彦の津波防災三か条exit

古くから大津波の被害を受けてきた三陸地方には「津波てんでんこ」という防災伝承もある。「津波が来たら、に構わず、てんでんばらばらに高台へと逃げる」というもので、要するに「とにかく逃げる」ということである。

東北地方太平洋沖地震では「自分は助かったのに、自分を助けに行ったは津波に巻き込まれて死んだ」などという本末転倒な事が多く発生し、犠牲者を増やした。

集団における同調圧力など、「周りが逃げないのに自分だけ逃げるのは恥ずかしい」「皆に合わせるべき」といったこだわりで皆で仲良く死んでしまっては意味がないため、柔軟性も必要となる。

高所を目指す

は低いところを流れる」というように津波といえど重力には逆らえない。

期に、より高い場所へ避難できるほど生存率は飛躍的に高まる。

  • 津波が到達する前に、迷わず近隣の高い地形や建物に上るのがベストである。
  • 津波の危険がある、迫っている場合は緊急避難であるため、不法侵入など犯罪にはならない。

垂直避難 の項も参照。

簡易的なものでは就寝場所を2階以上にしておくといった方法もある。
(ただし、想定外の津波によってはごと破壊されてしまう場合もある)

津波警報とは

被害が発生する恐れのある津波が予想される場合に気象庁が発表する[5]警報。津波「注意報」も警報の一種である。

発表後ラジオテレビ防災無線などでただちに周知され、CMの間も津波予報地図が表示されるなど優先的に周知される。特にNHKは津波警報以上では必ず緊急警報信号が流れ、全波で緊急警報放送に切り替わる。

規模がすぐにわからないマグニチュード8以上の地震の場合、まずその域における最大の津波想定等をもとに津波警報・注意報を発表する。初期段階では予想される津波の高さを「巨大」や「高い」という言葉で発表し、非常事態であることを伝える。地震の規模が精度よくめられた時点で津波警報を更新し、予想される津波の高さも数値で発表する。

発表後ただちに海岸の河口から離れ、安全な高台に避難し、解除されるまでは決して近づかないこと。

素早い判断・行動が必要

もっとも、海岸付近の場合は 警報の発が津波の襲来に間に合わない事もあるので地震を感じたら速やかに高台まで避難を開始した方が良い。実際、北海道南西沖地震ではいところで地震発生から2~3分後に第1波が到達しているのに対し、大津波警報が発表されたのは5分後であった。

また津波警報はおおよそ到達予想時刻と共に発表されるが、速度が遅い場合もあり、また第一波の後に更に強な第二波第三波第四波・・・が襲い掛かることがあるので、到達予想時刻を過ぎても第一波が来なかったり、来てもそれほど高くなかったとしても、津波注意報解除まで決して安心せず避難を続ける必要がある。

2013年3月に津波警報の発表基準が正されたが、その理由は2011年3月東日本大震災で初期の推定マグニチュードが低く、そのため津波の高さが低めに予測されたことが避難の遅れにつながった面が摘されたためである。

発表基準 想定される被害
大津波警報
10m
(10m<高さ)
巨大 木造屋が全壊・流失し、人は津波による流れに巻き込まれます。
沿部や沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してください。
10m
(5m<高さ≦10m)
5m
(3m<高さ≦5m)
津波警報 3m
(1m<高さ≦3m)
高い 標高の低いところでは津波が襲い、浸被害が発生します。
人は津波による流れに巻き込まれます。
沿部や沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してください。
津波注意報 1m
(0.2m≦高さ≦1m)
- の中では人は速い流れに巻き込まれ、また、養殖いかだが流失し小船舶が転覆します。
の中にいる人はただちにから上がって、海岸から離れてください。
津波予報 (高さ<0.2m) - (若干面変動があるかもしれないが被害の心配はなく、特段の防災対応が必要ない場合に発表される)

津波警報が発令された事例

津波高さの予報が開始された1999年4月1日以降に津波警報が発された事例を記載する。

発生日時 地震 規模 津波警報の種類 観測値
2002年3月26日12時45分 石垣島地震 M7.0 津波警報(2m) 6cm
2002年3月31日15時52分 台湾付近の地震 M7.0 津波警報(1m) 12cm
2003年9月26日4時50分 平成15年十勝沖地震 M8.0 津波警報(2m) 2.55m
2004年9月5日23時57分 三重県南東地震 M7.4 津波警報(1m) 93cm
2006年11月15日20時14分 千島列島東方地震 M7.9 津波警報(2m) 84cm
2007年1月13日13時23分 千島列島東方地震 M8.2 津波警報(1m) 43cm
2010年2月27日5時31分 沖縄本島地震 M7.2 津波警報(1m) 13cm
2010年2月27日15時34分 チリ中部沿地震 Mw8.8 大津波警報(3m) 1.28m
2010年12月22日2時19分 父島地震 M7.2 津波警報(1m) 50cm
2011年3月11日14時46分 平成23年東北地方太平洋沖地震 Mw9.0 大津波警報(10m以上) 9.3m以上
跡高21.1m
遡上高43.3m
2011年4月7日23時32分 宮城県地震 M7.1 津波警報(1m) 観測なし
2011年4月11日17時16分 福島県浜通り地震 M7.0 津波警報(1m) 観測なし
2012年12月7日17時18分 三陸地震 M7.3 津波警報(1m) 98cm
2016年11月22日5時59分 福島県地震 M7.4 津波警報(3m) 1.44m
2022年1月15日13時10分 フンガ・トンガ-フンガ・ハアパ火山噴火 津波警報(3m) 1.34m
2024年1月1日14時46分 令和6年能登半島地震 M7.6 大津波警報(5m) 80cm
跡高4.7m
遡上高5.8m

関連動画

警報が出される様子を扱った動画

関連コミュニティ

関連項目

関連リンク

脚注

  1. *山体崩壊による津波は、後述のリツヤ湾のほか、1792年の雲仙普賢岳噴火により対の肥後を津波が襲い大きな被害を出した「原大変肥後迷惑」をはじめ、日本でも火山活動が活発だった江戸時代に複数記録が残っている。
  2. *すずめ・学名:Passer montanusu
  3. *、胡とも。スズメバチ亜科Vespinae処では日本人が一般に思い浮かべるスズメバチであるオオスズメバチ・学名:Vespa mandarinia japoniva
  4. *東京新聞:津波1メートルでもほぼ死亡 内閣府分析exit
  5. *地震・津波の監視業務は東京(気象庁本庁)と大阪(管区気台)の2か所で同時に行っており、東西関係なくいずれかが発表する。例えば2011年3月東北地方太平洋沖地震における津波警報は大阪管区気台が発表した。
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