海行かばとは、万葉集にある、大伴家持の詩を基に作られた軍歌。
作曲された歌詞の部分には、陸奥国出金詔書の引用部分に相当する。
昭和12年に、NHKの嘱託を受け信時潔が作曲した。当時の日本政府が制定した、国民精神強調週間のテーマ曲であった。
出征兵士を送る曲とし、愛好された。後に、作曲者である信時潔は若い学徒が出征する度、苦しむ事となった。
太平洋戦争期、戦果発表を伝える際、必ず冒頭曲とし流されていた。
戦後は事実上の封印状態が続いた為、現在浸透されていないが、当時は盛んに愛唱され「準国歌」「第二の国歌」とまで呼ばれた。
葦原の 瑞穂の国を 天下り 知らし召しける 皇祖の 神の命の 御代重ね 天の日嗣と 知らし来る 君の御代御代 敷きませる 四方の国には 山川を 広み厚みと 奉る みつき宝は 数へえず 尽くしもかねつ しかれども 我が大君の 諸人を 誘ひたまひ よきことを 始めたまひて 金かも たしけくあらむと 思ほして 下悩ますに 鶏が鳴く 東の国の 陸奥の 小田なる山に 黄金ありと 申したまへれ 御心を 明らめたまひ 天地の 神相うづなひ 皇祖の 御霊助けて 遠き代に かかりしことを 我が御代に 顕はしてあれば 食す国は 栄えむものと 神ながら 思ほしめして 武士の 八十伴の緒を まつろへの 向けのまにまに 老人も 女童も しが願ふ 心足らひに 撫でたまひ 治めたまへばここをしも あやに貴み 嬉しけく いよよ思ひて 大伴の 遠つ神祖の その名をば 大久米主と 負ひ持ちて 仕へし官 海行かば 水漬く屍 山行かば 草生す屍 大君の 辺にこそ死なめ かへり見は せじと言立て 丈夫の 清きその名を 古よ 今の現に 流さへる 祖の子どもぞ 大伴と 佐伯の氏は 人の祖の 立つる言立て 人の子は 祖の名絶たず 大君に まつろふものと 言ひ継げる 言の官ぞ 梓弓 手に取り持ちて 剣大刀 腰に取り佩き 朝守り 夕の守りに 大君の 御門の守り 我れをおきて 人はあらじと いや立て 思ひし増さる 大君の 御言のさきの聞けば貴み
現代語訳
葦の生い茂る稔り豊かなこの国土を、天より降って統治された 天照大神からの神様たる天皇の祖先が 代々日の神の後継ぎとして 治めて来られた 御代御代、隅々まで支配なされる 四方の国々においては 山も川も大きく豊かであるので 貢ぎ物の宝は 数えきれず言い尽くすこともできない そうではあるが 今上天皇(大王)が、人びとに呼びかけになられ、善いご事業(大仏の建立)を始められ、「黄金が十分にあれば良いが」と思し召され 御心を悩ましておられた折、東の国の、陸奥の小田という所の山に 黄金があると奏上があったので 御心のお曇りもお晴れになり 天地の神々もこぞって良しとされ 皇祖神の御霊もお助け下さり 遠い神代にあったと同じことを 朕の御代にも顕して下さったのであるから 我が治国は栄えるであろうと 神の御心のままに思し召されて 多くの臣下の者らは付き従わせるがままに また老人も女子供もそれぞれの願いが満ち足りるように 物をお恵みになられ 位をお上げになったので これはまた何とも尊いことであると拝し いよいよ益々晴れやかな思いに満たされる 我ら大伴氏は 遠い祖先の神 その名は 大久米主という 誉れを身に仕えしてきた役柄 「海を行けば、水に漬かった屍となり、山を行けば、草の生す屍となって、大君のお足元にこそ死のう。後ろを振り返ることはしない」と誓って、ますらおの汚れないその名を、遥かな過去より今現在にまで伝えて来た、そのような祖先の末裔であるぞ。大伴と佐伯の氏は、祖先の立てた誓い、子孫は祖先の名を絶やさず、大君にお仕えするものである と言い継いできた 誓言を持つ職掌の氏族であるぞ 梓弓を手に掲げ持ち、剣太刀を腰に佩いて、朝の守りにも夕の守りにも、大君の御門の守りには、我らをおいて他に人は無いと さらに誓いも新たに 心はますます奮い立つ 大君の 栄えある詔を拝聴すれば たいそう尊くありがたい
歌詞は、以下の通り2種類ある。
海行かば 水漬く屍
山行かば 草生す屍
大君の 辺にこそ死なめ
顧みへりみはせじ
海行かば 水漬く屍
山行かば 草生す屍
大君の 辺にこそ死なめ
長閑には死なじ
一方、『長閑には死なじ』は、陸奥国出金詔書による。これは詔勅の語句を改変したと考える人もいるが、大伴家の家訓を詔勅に取り入れた際に、語句を改変したと考える説の方が有力とも言われる。
掲示板
36 ななしのよっしん
2023/12/15(金) 07:50:23 ID: LDA3NSN9+s
学徒出陣の映像で、この歌を斉唱するシーンは何度見てもくるわ。悲壮感が半端ない。
37 ななしのよっしん
2023/12/27(水) 03:22:07 ID: pJ84cgNEAQ
「海ゆかば」を歌うのに最悪のシチュエーションを想像してみましょう。
たとえば、海中でサメが近くにいる状況で、パニックに陥った人々が周囲にいる中、
「海ゆかば」を歌っている人物を描くのはどうでしょうか。
このシチュエーションは、曲の落ち着いた雰囲気とは対照的で、非常に緊張感がありますね。
38 ななしのよっしん
2024/09/12(木) 18:46:50 ID: dR8URI6qwq
海に行ったら溺死してしまいます😭
野原を行ったら野垂れ死にしてしまいます😭
それより帝のおわす都で死にたいです☺️
もう決めたことですから😏
っていうニート的解釈を思いついたので書き込んでみる。
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最終更新:2025/04/28(月) 02:00
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