涎(よだれ)とは、口から知らずに流れでた唾液である。
漢字として
- 意味
- よだれ、つば、粘液、貪り欲する、羨む、流れるさま。
- 〔説文解字〕の本字は㳄で〔説文・巻八〕に「慕欲する口の液なり」とある。
- 字形
- 形声で声符は延。
- 音訓
- 音読みはセン(漢音)、ゼン(呉音)、エン、訓読みは、よだれ。
- 規格・区分
- 常用漢字ではない。JIS X 0213第二水準。
- 語彙
- 涎衣・涎牛
異体字
㳄
㳄は、〔説文〕の本字である。水+欠の会意。欠は口を開けた人の象形で、水とあわせて口から垂れるよだれのことを表す字である。籀文の𣶙は二水に従う。
JIS X 0213、JIS X 0212未収録の字。
㳄は〔説文〕では部首である。㳄部には𠩗、盜、羨が属する。
その他の異体字
- 𣶚は、〔説文〕に「㳄、或ひは侃に從ふ」とある異体字。
- 𣶙は、〔説文〕にある籀文。
- 𣶛は、〔集韻〕に「㳄、或ひは作る」とある異体字。
- 𣶜は、〔集韻〕に「㳄、亦た書きて𣶜に作る」とある異体字。
- 𠿢は、〔字彙〕に「涎と同じ」とある異体字。また「羨と同じ」ともある。
- 㳭は、〔篇海〕に㳄と同じとある俗字。
- 𣳧は、〔正字通〕にある涎の俗字。〔集韻〕には𣵿の訛字とある。
- 𣵤は、〔説文解字通訓定声〕にある異体字。
- 𣵿は、〔玉篇〕に涎と同じ、本字は㳄とある異体字。
- 湺は、〔五音篇海〕にある𣵿の訛字。
- 𣹺は、〔韻会〕に涎と同じとある異体字。
- 㵪は、〔集韻〕に㳄と同じとある異体字。
- 𨺘は、〔竜龕手鑑〕に涎の俗字とある異体字。