深浦康市単語

フカウラコウイチ

6.1千文字の記事
  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • LINE

深浦康市(ふかうら こういち)とは、地球代表将棋棋士である。1972年2月14日生まれ。長崎県出身。(故)花村元司九段門下。棋士番号201

タイトル戦登場8回、獲得3期(王位)。

子に佐々木大地がいる。

概要

居飛車戦法としている。堅実で手厚いし回しを得意とし、非常に勝率が高い。り強い棋でも知られる。

将棋に対しては非常にな一方、ニコニコ生放送などの将棋解説では砕けた発言も多い。また、「(タイトル戦の番勝負は)相手のことをずっと考えているので、恋愛に似ている」、「相手の人は、今何してるだろうとか思うようになる」などの迷言(?)から“深恋愛流”とも呼ばれる。

順位戦頭ハネ伝説

将棋順位戦では、各リーグ棋士に前年度の結果に基づいた「順位」がつけられ、勝敗数が同一であった場合はこの順位により今年度の成績が決定される(「A級順位戦」の記事も参照)。この「勝敗数が同一だったために順位で昇級や降級の差が付く」ことを頭ハネと言うのだが、不運と片付けるには可哀想なぐらい数多くの頭ハネによる昇級失敗・降級を食らっているのが深である(なお、深の頭ハネには三浦弘行が絡むことが異様に多い。以下に三浦の名を太字で示す)。

頭ハネをくらいまくり、長らくA級に残留できなかった深ネタにして、A級残留の難しさを表現するコピペも作られたほどである。

絶望したい棋士におすすめの棋戦 A級順位戦

・B1で圧倒的強さを誇った深なら残留確実だと思っていたらよくわかんないのやつらにボコられた
・残り三局の時点で3勝3敗の5分だった深がその後一気に3連敗くらってB1に戻ってきた。
・足元がぐにゃりとしたのでござをめくってみると、頭ハネされた深だった。
B級1組上がりの1/2が頭ハネ経験者。しかも下位順位者がガチホモという都市伝説から「深ほど危ない」
・「4勝すれば落ちるわけがない」といってA級に上がった深が1年後4勝5敗で戻ってきた。
・「同じ事が二度も続くわけない」といって再びA級に上がった深が1年後やっぱり4勝5敗で戻ってきた。
・「タイトルホルダーが落ちるはずない」と言ってA級に上がった深が1年後王位のままで戻ってきた。
・「他の棋戦で対局したけど楽勝だった」と余裕顔で出て行った深マジ本気のA級棋士ボコられて戻ってきた。
・9位と10位は頭ハネにあう確率250%。一度ハネられてまたハネられ、さらにハネられる確率50%の意味
A級順位戦におけるフルボッコでの戦意喪失者は1年均2人、うち約1人が深

なお毎回頭ハネを食らっているわけではなく、頭ハネを回避したり逆に他の棋士に頭ハネを食らわせた例もある。代表的なものは以下の通り。

9回三段リーグ戦(四段昇段)

最終局では12勝5敗の4人(2位真田圭一、3位=豊川孝弘、4位=深、および13位の奨励会員)が昇段2つを争うことになった。真田と13位の奨励会員が最終局で直接対決し、深は昇段争いに絡まない三浦弘行との対局であったため、以下のいずれかの場合には深は昇段できなかった。
・深が負けた場合
真田、豊両名が勝った場合
しかし深が勝ち真田が負けたため、順位の差で昇段した。
(もう一人の昇段者は豊であり、13位の奨励会員が頭ハネを食らい次点)

71期順位戦(3勝6敗で初のA級残留)

の順位は10位(最下位)で、最終局を迎える前の時点で3勝5敗であった。
2勝6敗が3人(順位4位=谷川浩司、8位=高橋道雄、9位=橋本崇載)いたため、深が負けてかつ2勝6敗の3人の内2人以上が勝つと深が頭ハネ降級となるところであった。
は負けたものの、2勝6敗の3人も全員負けたためA級4期にして悲願の初残留を果たした。
(頭ハネで谷川が残留、高橋橋本が降級)

76期順位戦(5勝5敗でA級残留 6人プレーオフが実現)

当期はA級11名で行われ、最終局前に降級が決まった屋敷伸之(2勝7敗)に加え残り2名の降級を3勝6敗の行方尚史(5位)と4勝5敗の3名(渡辺明=3位、深=7位、三浦弘行=11位)で争うこととなった。
このうち渡辺三浦は最終局が直接対決であり、「行方三浦のいずれかが勝ち深が負けた場合」は頭ハネで深が降級するところであった。
最終局ではを頭ハネさせるため三浦渡辺に勝ったが、深久保利明に勝ったため頭ハネ降級を回避し、結果的に後述の6人プレーオフが実現した。
(4勝6敗の渡辺、3勝7敗の行方、2勝8敗の屋敷が降級)

ほかにも、56期順位戦(8勝2敗でC級1組に昇級し、下位の同4名を全員頭ハネ)や、第74期順位戦(3勝6敗でA級残留し、郷田真隆王将が頭ハネされ降級)などがある。

余談だが、上記三段リーグについて当時の深は『近代将棋』誌上のインタビューで「実は(今期の昇段は)諦めていました。真田さんも、豊さんも勝つと思っていました」「は他というのは好きではないので考えないようにしていました」などとその後の棋士人生徴するような回答をしていた。

9勝1敗で昇級できなかった事についても「全勝すればいいんです」とNHKの番組で回答しており、深の打たれ強さ・根性強さをい知ることができる。

また第37期棋王戦五番勝負第3局exit_nicoliveニコ生解説視聴者から対三浦について質問された際には、「昔、三浦さんより順位が下で、順位に泣かされることが多かった。急所で頭ハネを一杯してる」とり、「あまり意識してなかったんですけど(当時、対三浦戦11連勝中だったため)きっとバランスが取れてるんでしょう」と結んだ。翌期の第71期順位戦A級では三浦に負けて危うく降級しそうになった。

もし地球に将棋星人が攻めてきたら

2008年王位戦七番勝負。前年に羽生から王位を奪取し初タイトルを獲得した深は、立場を逆にして羽生(当時名人・四冠)の挑戦を受けていた。羽生が先勝した後の第2局は、後手番の羽生が2手3二飛、深がそれに9六歩と返し定跡を作ったとして現在でもたまに話題に上がる一局である。ねじり合いの末の終盤、一時は羽生が勝勢となるが、深りに手を焼き疑問手を重ねついには逆転負け。全盛期羽生では考えられないような負け方に2chは「羽生衰えたな」の大合唱となった。え?四冠持ってるだろって?まあ全盛期七冠だし……。

そんな時に投下されたレスがこちらである。

839:名無し名人2008/07/25() 09:39:28 ID:0ulRSLnj

おまえら、もし地球将棋人が攻めてきて、向こうの大将
地球代表が将棋一番勝負で対決し、負けたら植民地にされる
という事態になったら、地球代表は絶対羽生でないとイヤだろ?
でもいいのか?深地球の命運を託せるのか?

羽生をけなしてるやつは地球規模で考えるんだ

……なお、この七番勝負はフルセットの末に深の防衛で終わった。にも拘わらずこのレスは、この駄にスケールの大きい文章の面さや、羽生がその後もトップに君臨し続けた一方で深はあまり実績を伸ばせなかったという残念な説得もあって、コピペとして定着してしまうこととなった。ある種のオチとして深名前が用いられる形で……。

羽生に番勝負で勝ったにも拘わらず、オチとして名前を使用されるという深の悲しさは推して知るべしであろう。が、その不遇さ・不条理さも含めて、深浦康市という棋士キャラクター性を現わしているとも言える。なればこそ、この文章はされ、定着したという側面もあるだろう。後に、なんJにおいて“野球人”バージョン変されるなどの生も行なわれ、「〇〇vs地球代表」というフレーズなどが定番化していった。

地球代表へ

上記コピペからおよそ10年の日が流れ……

2017年中学生棋士藤井聡太公式戦29連勝を達成したり、羽生善治が通算7期竜王を獲得して永世七冠を達成するなど、将棋界は沸きに沸いていた。あまりにこの2人ばかり注され、また実際に将棋ソフトもかくやという強い勝ち方が多かったせいで、当時の将棋ファンの間に「藤井羽生の2人こそ、地球侵略しに来た将棋人である」という上記コピペから生したネタが流行してしまった。

しかしその最中深は第3期叡王戦の予選ブロック決勝にて羽生を撃破。その後のインタビュー羽生さんに勝った棋士には責任があると思います」り、本戦では持ち前のりで藤井聡太に大逆転勝利を収めた。藤井聡太戦は特に注度が高く、この逆転劇は将棋ファンに強な印を残した。

そのため、やがて将棋ファンの中からこんなが上がり始める。「地球代表は深にすべきでは」「深なら、羽生藤井侵略から、人類を守ってくれるかも…」

そして迎えた2018年3月1日A級順位戦リーグ最終局、いわゆる将棋界の一番長い日では未曾有の事態が起きていた。この日の取り次第では、最大6人が6勝4敗で並ぶことになってしまったのだ。同時進行していた対局が次々に終局していく中、「久保利明対深浦康市戦」が最後に残った一局となる。この対局の結果がA級棋士(当期は11人いた)のうち久保と深自身を含む8人と、挑戦される佐藤天彦名人運命を全て左右することになった。

順位(前年度結果) 稲葉陽(1位) 羽生善治(2位) 渡辺明(3位) 広瀬章人(4位) (7位) 佐藤康光(8位) 久保利明(9位) 豊島将之(10位)
久保勝ちの場合 A級残留 A級残留 A級残留 A級残留 B級1組降級 A級残留 名人挑戦 A級残留
勝ちの場合 PO進出 PO進出 B級1組降級 PO進出 A級残留 PO進出 PO進出 PO進出

6勝4敗6名という前代未聞の多人数によるプレーオフ実現(と深のA級残留)を願って、将棋ファン(と深ファン)の応援は深に集中することとなる。下手をすると久保渡辺ファンですら、「この伝説となるであろうプレーオフを見てみたい」と心の片隅で望んだ……かもしれない。そして深は見事にそれらの期待に応え146手で久保を降し、将棋界初の6者プレーオフが実現することとなった。

この間、前述したコピペオチを丸ごとひっくり返す、新たな共通認識が将棋ファンの間に生まれたのである。

地球代表には深こそが相応しい

時は下って深B級2組に陥落してしまった2021年王座戦本戦1回戦で深タイトル2つを獲得し、さらに前年度から継続する歴代8位の19に連勝を伸ばして「今度は自身の29連勝を更新するのか!」のすら囁かれるほどの藤井聡太と3度の対局を行い、見事に藤井の連勝を止めて対藤井の対戦成績を2勝1敗と勝ち越した。49歳となってさすがに往年ほどのは失われたものの、地球代表未だ健在というところを見せつけた。

さらに同年10月に行われた第71回NHK杯2回戦で三冠となっていた藤井と再び当たるとこれも下してみせ、地球代表としての貫をより強固なものとした。スポニチアネックスの記事に「将棋人」に対する「地球代表」の任務を存分に果たしている深は...」と当然のように書かれる始末であった[1]

成績

昇段履歴

タイトル戦登場履歴

タイトル戦登場回数:8回、タイトル獲得数:3回

一般棋戦優勝履歴

優勝回数:10回

将棋大賞受賞履歴

叡王戦戦績

関連動画

関連生放送

関連商品

関連項目

関連リンク

脚注

  1. *深浦康市九段 藤井3冠下し3回戦進出「いつも思い切って…それが好勝負につながっている」 - スポニチ Sponichi Annex 芸能exit
この記事を編集する

掲示板

おすすめトレンド

急上昇ワード改

最終更新:2024/03/30(土) 00:00

ほめられた記事

最終更新:2024/03/30(土) 00:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP