渡辺糺とは (ワタナベタダスとは) [単語記事]

渡辺糺 / 渡辺内蔵助（？～1615）とは、戦国時代の武将である。

概要

豊臣秀頼の家臣の一人。なお、諱は『寛政重修諸家譜』や『難波戦記』の糺が一般的に流通しているが、『諸寺過去帳』によると尚らしく、いまいち正確なものが不明なので内蔵助としか言えないが、便宜的に流布している糺を親記事とする。

父親の渡辺宮内少輔（こちらも諱は昌っぽいとしか言えない）は足利義昭の蜂起の際これに仕え、東山一乗寺城に籠ったが、稲葉良通の呼びかけで開城し、豊臣秀吉に仕えたらしい。息子の渡辺糺も豊臣家に仕え、壮年のころから槍術を修めていた彼が豊臣秀頼の槍術師範になったようだ。また、母親の正栄尼が豊臣秀頼の乳母となっている。

慶長16年（1611年）に藤の花見に出た際、豊臣秀頼の小姓の出雲守が起こしたトラブルを自慢の槍さばきで解決している。大坂冬の陣直前は、大野治長、木村重成らの陣営につき、片桐且元の追放を要求。しかし、開戦後は持ち場をめぐって大野治長と争ったりもした。

一軍を率いてはいたものの、鴨野口合戦でぼろ負けし、日頃の態度もあって城中の物笑いとなる。この反省から5月6日に一歩も弾かない覚悟で奮戦し、伊達政宗勢相手に活躍するも、銃傷を負い連れ戻される。この傷が深手で、翌日に軍勢のみ真田信繁の助けに行かせるも、敗戦が濃厚になると豊臣秀頼を逃がしている途中の月見櫓で切腹した。妻の牧村利貞の娘も火に飛び込んで死んだらしい。子供もあらかたこの際に死んだが、乳母が拷問されても口を割らなかったことで幼い渡辺守だけは脱出に成功し、僧となったが、細川忠利の口聞きによる江戸幕府への仕官は失敗した。『寛政重修諸家譜』によると、徳川綱重に取り立てられたことで子孫は一応幕臣となっていったようだ。