炭坑節

炭坑節とは、

1. 炭坑で歌われた仕事唄。炭坑唄とも呼ばれる。
2. 1のうちの一つから派生した、盆踊りの定番曲の１つ。

である。ここでは1に触れつつ2について述べる。

概要

「東京音頭」と並んで盆踊りで使われることが多い曲。「月が出た出た、月が出た　三井炭坑（伊田の炭坑）の上に出た」の出だしで知られるが、歌詞のバージョンが複数ある。炭坑の労働者の間で歌われていた曲が原形になっている。

筑豊炭田の三井田川鉱業所伊田坑（現：福岡県田川市石炭記念公園）の「炭坑唄」の１つが発祥とされる。戦後にレコード化され、ラジオで何度も流されるなどしたことで広まっていった。

歌詞の形成と派生

小学校教員の小野芳香が田川の民謡を1910年に調査しており、そこに記録されている「伊田場打撰炭節」が原形とされている。この歌は炭坑唄の一種である「選炭唄」の1つであり、石炭の選別作業を行う女性たちの間で退屈しのぎに歌われていた。

一方、炭坑節の歌詞の原形は別にあるとする説もある。明治時代の演歌師に「添田唖蝉坊」がいる。その人物が1904年に作曲し歌ったとされる「奈良丸くずし」に

月が出た出た月が出た　セメント会社の上へ出た　東京にゃ煙突が多いから　さぞやお月さま煙たかろ

という似た歌詞が登場している。ただしメロディは大きく異なる。

なお、現在の歌詞では「月が出た」の後が「三池炭鉱の上に出た」となっているものがある。三池炭鉱は福岡県大牟田市周辺にあり、伊田の炭坑からは距離がある。しばらくどちらが発祥地かで論争になっていたが、上記の小野芳香の文献が根拠となり、1962年の会談で大牟田市長が「伊田が本家」と認め、決着がついた。なお、「家（うち）のお山の上に出た」という地名を特定しない歌詞もある。全国的に広まっている鈴木正夫が歌うバージョンではこの歌詞になっている。

関連動画

関連静画

関連リンク

• 炭坑節発祥の地（福岡県田川市）
• 「炭坑節には歌の番号や歌詞が違うものがあるが、それぞれの歌詞が知りたい。又、発祥についても知りたい。」（レファレンス協同データベース）
• 島添貴美子「美しい物語――ラッパ節・炭坑節・十九の春の伝播論その1」（音楽之友社WEB連載「２１世紀のふるさとの歌を訪ねて――民謡・民俗芸能の過去・現在・未来」）

関連項目

• 盆踊り
• 東京音頭
• 福岡県
  • 田川市