牙突とは、 漫画「るろうに剣心」の登場キャラクター「斎藤一」の得意技にして必殺技である。
曖昧さ回避
- 牙突(踊り手) - ニコニコ動画の「踊ってみた」カテゴリで活動する踊り手?である。
概要
斎藤一が得意とする、日本刀での左片手一本突きの事を指す。
通常の剣道の形などとはまったく違う構えから繰り出される。その構えは腰を深く落として相手に向かって半身の姿勢をとり、刀は左手のみで持ち刀身は地面と水平に保ち、体の後ろに置き先端を敵に向け、右手を前に突き出して刀にやや重なるような位置に置かれる。この姿勢から一気に間合いをつめ、相手を左片手一本突きで刺し貫く。
緋村剣心によると、新撰組の強さの秘訣でもあった「戦場では同じ相手と二度以上対峙する事は稀であり、技を見切られる心配をするよりも、己の得意技を徹底的に磨き上げ相手を一撃で確実に仕留める方が合理的だ」という考えのもとに磨き上げられた斎藤一の必殺技が左片手一本突きを昇華させた牙突であるとのこと。
その威力はすさまじく、斎藤が初登場した回で相楽左之助との戦いで放たれた際には強度に劣る仕込み杖を使用したにもかかわらず、左之助の体を貫いた上で道場の壁までぶち抜くという剣術とは思えぬ破壊力を見せつけた。
牙突の分類
牙突には幾つかの型があり、それぞれ使用目的が異なる。以下に、それぞれ紹介。
- 牙突・壱式
- 通常の牙突。平突きが進化した技。詳細は後述するが、横に避けられても横薙ぎへ派生できる。
また作品中では、刀を持たない状態での素手での戦いでも牙突と同様の構えを用いた攻撃法を披露した。
- 牙突・弐式
- こちらは上段(斜め上)から突き下ろす形で繰り出す牙突。
- 本気を出した斎藤が繰り出すのはこの形式の牙突である。
- 牙突・参式
- 対空迎撃用の牙突。上空にいる相手へ向け、跳躍しながら下から突き上げる形で繰り出す。原作で披露したのは最初に剣心と戦った時の一度だけだが、これを見る限り牙突を跳躍で避けられた際に追撃するための型とも受け取れる。
- 牙突・四式
- 無拍子から放つ瞬撃特化の牙突。北海道編にて劍客兵器・雹辺に対し繰り出した。
- 永倉新八曰く「シュッとするやつ」。牙突の型の中では最も威力が低いが、それでも官憲支給の刀では耐えきれず砕け散ってしまう程の負担がかかる。壁や鋼鉄の扉に大穴を開けるような破壊力は無いが、最短・最速で正確無比な一刺突により相手を貫く。孤高なイメージの強い斎藤だがこの際にはかねてより言及されていた「新選組の集団剣法」らしく永倉との連携も披露している。
- 牙突・零式
- 斎藤の切り札。ガトチュエロスタイルやガトチュエロスタイムではない。
上記で説明したとおり牙突を放つには通常、突撃するために間合いを開かなければ繰り出せないのだが、その意表を突く形で相手と間合いの無い密着状態(零距離)から上半身のバネのみで猛烈な威力の突きを放つ。
初めて披露した宇水戦では、宇水の身体を亀甲の盾もろとも真っ二つに両断してみせるほどの凄まじい威力を見せつけた。後の戦いでも、武器破壊などを目的に繰り出す事で戦いが好転する傾向にあるが、何にしてもまともにこの技を喰らったのは宇水ただ一人のみ。
なお志々雄真実は何と、初めて見る技にもかかわらずこの技をかわしつつ反撃さえ叩き込んでいる。
- 牙突・六刃(ろくじん)
- PS2版ゲーム『炎上!京都輪廻』に登場する技。本編漫画およびアニメには未登場。
牙突の体勢で突進し一瞬のうちに六回の突きを繰り出す、 飛天御剣流における九頭龍閃のような技。
- 平突き
- 上記にて説明した牙突の原型。ちなみに牙突と違い実在する技であり、史実でも斎藤一が得意とした戦法である。厳密には牙突にカテゴライズされないかもしれないが、もののついでに併記させて頂く。
- 考案者は新撰組における戦術の鬼才こと土方歳三らしい。刀身を地面に水平な状態にして刺突を繰り出すことで、前述と同様に横に動いて避けられても即座に横薙ぎへ派生する事で追撃を可能にする。
- かつて新撰組を抜け出した鵜堂刃衛も、剣心との戦いでこの戦法を繰り出していたことがある。
斎藤一はこれらの型を使い分けるものの、牙突以外の名のある技は使用しない。また、例え刀が折られても素手で牙突を応用した戦闘スタイルをとったり、牙突を分析され見切られても同様にスタイルを切り替えるなど、斎藤は己の技に対する絶対の自信を持っているといえる。
「牙突」の弱点
牙突は刀を左手一本で握り、右手は照準かつ突き手の反動荷重とするため前方に突き出される。また基本的に突進撃であるため、技の最中はその視界が極端に狭くなる。
故にその性質上、右腕の外側に一瞬生じる死角に滑り込まれるとどうしても反応が一瞬遅れる。これが牙突の弱点であり、斎藤一は作中でもこの弱点を突かれたことがある。
ただし、これはあくまでも「牙突」という技が持つ弱点であり、「斎藤一」の弱点足りえない。
作中で牙突を使用し回避・反撃をされたシーンは以下の通り。
- 対・緋村剣心
道場での戦いにて。
これは剣心自体が「二度以上対峙した」と言う例外であり既に技を見られた事があり、 加えてその戦いの中でも複数回使用していたため見切られ、「龍巻閃」によって回避と同時に後頭部にカウンターを叩き込まれた。しかし斉藤はこれでも倒されず、戦いそのものは結果的に痛み分けに終わっている。
- 対・盲剣の宇水
志々雄のアジトでの戦いにて。
心眼により常人よりも早く正確に相手の動きを見切る能力に加え、攻撃を受け流す事に特化した盾「ティンベー」により打突の瞬間を見切られ受け流されて回避、反撃を受ける。
しかし至近距離から繰り出された牙突・零式まで見切ることはできず、盾ごと上半身を吹き飛ばされて宇水は撃破される。
- 対・志々雄真実
アジト最奥部にて。扉をぶち破りながらの弐式による奇襲はクリーンヒットしたかに見えたが、当たったのが偶然志々雄が「ニの轍を踏まないように重点的に固めてある」額だったためにダメージとならず。至近距離にて「零式」を再度繰り出すが、元々の志々雄の実力に加え、両足にダメージを負っていた状態だった事が災いし、志々雄に初見で見切られた上に反撃をされ、唯一一矢報いる事が出来ないまま終わった。
- 対・四神の青龍
雪代縁のアジトの島海岸にて。
「技を見切る事に長ける」と豪語する青龍に、右腕を使用不能にする程度のダメージを与えたものの致命傷を回避され、青龍は上述の牙突の弱点を長々と解説しながら見切ったと宣言し、その通りに「同じように繰り出した2回目の牙突」も回避するが、3回目に繰り出された「牙突の構えのままでの右手での突進」をモロに食らい、アゴを捕まれ砕かれる。その後武器の青龍大刀も牙突・零式を食らい粉々に粉砕された。
以下は「牙突を見切った」と豪語し勝ち誇っていた青龍を撃破する斉藤を見ての剣心の台詞。
斎藤一が牙突を返した程度で倒せるのならとうの昔───
幕末の京都で拙者と斉藤の決着はついているでござるよ…
緋村剣心
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