牛島満

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牛島満（うしじま・みつる 1887年7月31日～1945年6月23日）とは、沖縄戦で散った日本の軍人である。最終階級は陸軍大将。

概要

鹿児島県出身。陸軍大学校卒。

責任感が強く、公平と正直を併せ持つ真摯・温厚な性格で知られ、滅多に部下を叱責しない人物だったという。

生い立ち

牛島は明治20年、鹿児島出身の両親との間に4人目の子として生まれた。出生地は東京だったが、彼が生まれてすぐに父親が死去した為、鹿児島に戻っている。
陸軍軍人だった父親の後を継ぐため、明治30年に陸軍幼年学校、明治39年に陸軍士官学校、２年後に20期生として卒業。近衛歩兵第四聯隊に配属。大正元年に陸軍大学校に入校。同期は、マレーの虎こと山下奉文、最後の陸軍大臣こと下村定らがいる。

陸大卒業後、シベリア出兵が始まり、ウラジオストクにシベリア派遣軍野戦通信参謀として赴任。大正9年、陸軍歩兵学校教官を務める。大正13年、少佐に進級。歩兵四十三聯隊大隊長を拝命。

昭和3年、歩兵二十三聯隊に配属。同年中佐に心境。昭和5年、下関要塞参謀。昭和7年陸軍戸山学校、教育部長となり、大佐に進級。

昭和11年に起こった226事件では、出張中の為事件には、遭遇しなかった。しかし、翌年には反乱加担者を出した歩兵第一聯隊の聯隊長に任ぜられ、朝鮮・満州間の国境線の抗日ゲリラや馬賊との戦闘に従事した。

支那事変

昭和12年、少将に進級。歩兵第三十六旅団長に任じられる。その後、間もなく支那事変が勃発。
朝鮮半島から列車で国民党領内に入り、精鋭中国国民政府軍第14軍の傘下の部隊と交戦。激戦の末、勝ったものの、予想を上回る犠牲者が出た。
その後、膠着状態にある上海方面に出動。南京攻略から武漢作戦まで戦い抜き、「鬼旅団長」と渾名された。

陸軍士官学校校長に

昭和14年、歩兵第三十六旅団を転出。同時に陸軍予科士官学校兼陸軍戸山学校校長に就任。中将に進級。
しかし、同年に第十一師団長に親補され満州国境に展開する。
昭和17年、陸軍士官学校校長に就任。有利な戦況なため楽観的な空気が支配する中、教官・生徒に注意を与えている。

沖縄戦

1944年8月に沖縄へ第三十二軍司令官として赴任。
着任してすぐに、戦闘に巻き込まれるであろう住民の避難を検討したが、疎開の方針を巡って泉県知事と対立した。
間もなく輸送船による日本本土への避難が始まるも、米潜水艦による魚雷攻撃で「対馬丸」が撃沈された為計画が頓挫した。輸送船による避難が頓挫すると沖縄北部に疎開させた。しかし、結果的にマラリア熱や栄養失調で死亡する住民が大半を占めた。

牛島自らも住民に交じり首里司令本部作りを手伝った。

1945年1月に泉守紀沖縄県知事に代わる新知事に島田叡氏を推薦した。

3月に慶良間諸島、4月1日に沖縄本島へアメリカ軍が上陸。3日には沖縄本島が南北分断された。

当初、八原高級参謀が立案した、本島内部まで誘い込み自ら有利な地形で待ち伏せする”戦略的持久作戦”を展開した。しかし、大本営から消極的と批判され、長参謀長から説得される形で総攻撃の許可を出した。

5月4～5日に浦添・西原で米軍へ総攻撃を仕掛けるが圧倒的な物量により失敗。第三十二軍は版数の兵力を失った。

首里城地下の壕を拠点にして持久戦に持ち込む。安里では善戦したものの米軍に押され、5月22日に首里放棄を決定、それ以降は南部へ撤退しながら摩文仁の壕を拠点に戦闘を続けた。この判断が住民被害を増やした一因とされる。

6月11日に牛島司令官はサイモン・ボリヴァー・バックナー中将から降伏勧告を受けるも黙殺。18日にバックナー中将が戦死（1954年に大将に昇進）したことが21日に判明、長勇参謀長らが大喜びする中で牛島司令官はバックナー中将の死を悼んだという。

その日に最後の命令を出す。

全将兵ノ三ヶ月ニワタル勇敢戦闘ニヨリ遺憾ナク軍ノ任務ヲ遂行シ得タルハ同慶ノ至リナリ。
然レドモ、今ヤ刀折レ矢尽キ、軍ノ命旦夕ニ迫ル。
既ニ部隊間ノ連絡杜絶セントシ、軍司令官ノ指揮困難トナレリ。
爾後各部隊ハ各局地ニオケル生存者ノ上級者コレヲ指揮シ最後マデ敢闘シ悠久ノ大義ニ生クベシ。

残った兵へも降伏や停戦はせず戦い続けよという内容であるが草案は長野作戦参謀。また、よく言われる「最後の一兵まで」の字句は、長参謀長が追加した。

23日、長参謀長らと共に自決。これをもって沖縄戦における組織的戦闘は終結したものの、残存部隊と住民は抵抗を続けた。

この6月23日は沖縄県「慰霊の日」となっている。

死後に大将に昇進したとも、6月20日に大将昇進が決定していたともいう。

アメリカでは第2次世界大戦中の日本軍の名将と言えば「陸の牛島、海の田中（田中賴三中将）」というほど高い評価を受けている。

辞世

矢弾尽き天地染めて散るとても 魂還り魂還りつつ皇国護らん

秋待たで枯れ行く島の青草は 皇国の春に甦らなむ

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