独立放送局

独立放送局とは、放送ネットワークに属さない放送局、系列無所属の放送局のことである。

概要

民間放送局は他の放送対象地域と相互に系列を構成し、広範囲をカバーするネットワークを構築しているが、そのネットワークに参加していない放送局があり、これを「独立放送局」通称「独立局」と呼ぶ。

なお、短波放送（ラジオNIKKEI）や衛星放送など技術的に全国放送となっているものは独立局とは呼ばれない。また、公共放送（NHK・放送大学）も系列を構築する必要がないため独立局とは呼ばれない。

ラジオにおいて

ラジオ放送に関して、AMラジオの場合は広域放送局と重複した県域放送局である。広域放送局が属する系列との重複を回避して独立局となるケースである。FMラジオの場合はそもそも広域放送が存在しないため独立局も県域放送であるが、近隣エリアの県域放送局の電波越境を前提としており、こちらも系列の重複を避けて独立局となっているケースである。

また、1990年代後半から主要都市で開局した外国語FM局は、当初は独自の放送ネットワークとして「MegaNet」が結成されたが、愛知国際放送（Radio-i）やRadio Neoといった中京圏の放送局が何れも廃局に至ったことや、FM COCOLOがJAPAN FM LEAGUE系列のFM802に吸収され同一法人下での運営になったこと、キー局であったInterFMもエフエム東京（TOKYO FM）の関連会社であるジャパンエフエムネットワーク（JFNC）の完全子会社になったのを機にJFNの特別加盟局になったことなどから、日本民間放送連盟（民放連）の放送局リストでも「その他」として扱われるようになったために事実上の解散状態となっており、InterFMを除く2局も現在は事実上の独立局となっている。

テレビにおいて

テレビ放送に関しても概ねの事情は同じであり、広域放送局との系列重複を回避して独立局となっている。このため、テレビ放送でもすべての独立局は県域放送である。

アナログ放送においては電波の周波数帯はUHF帯を使用していた。東名阪の民放テレビ局の多くがVHF帯を親局としており^[1]、独立局はUHFであることが特筆すべき特徴であったことから「独立UHF局」「独立U局」とも称されていた。地デジ化により地上波テレビ局はすべてUHF帯の周波数での放送に移行したため、現在は単に「独立局」と呼ばれている。

なお、現在の独立局と性質は異なるが、広域放送局(関東7都県)であるテレビ東京が1982年にテレビ大阪を系列局とするまでは系列無所属であったため、広域放送局かつVHFの「独立V局」が存在したことになる。

番組編成の傾向

独立テレビ局においては、ニュースネットワークに加盟することで得られるサービスエリア外の全国ニュースや海外ニュースの配信や番組配給ネットワークに加盟することで得られる全国スポンサー付きの番組を確保することが難しい。その反面、ネットワークによる縛りが無いので比較的自由な番組編成も可能であるというメリットもある。

このため、「探偵！ナイトスクープ」「水曜どうでしょう」といった同一エリア内の広域局ではネットされない番組を購入して流したり、「SakuSaku」「5時に夢中！」のような他地域の独立局が製作した番組をネット受けするといった傾向が見られる。独立局同士で製作番組をやりとりしたり、共同製作を行うケースもあり、東名阪ネット6、5いっしょ3ちゃんねる（関東独立5局会）といった機構を創設し参加している局も存在する。

特に、アニメの大量編成や独特の雰囲気を持った情報番組を数多く放送するTOKYO MXと、阪神タイガースの野球中継を積極的に行うことで地元の阪神ファンから絶大な人気を誇っているサンテレビは、それぞれ「東西の雄」として全国的に知られている。

中京圏ではTXN系列のテレビ愛知が県域放送、近畿圏でもTXN系列のテレビ大阪が県域放送であることから、放送対象地域から外れた近隣各県の独立局にてTXNの番組を数多くネットし、時間帯によって事実上TXNの準ネット局のような編成を行うこともある（歴史的経緯でテレ東との関係が断絶状態になってしまったサンテレビ・KBS京都を除く）。一方、首都圏ではテレビ東京が1都6県を対象に広域放送を行っているため、放送対象地域が重複する各都県の独立局ではTXN系番組のネットを行っていない。

その他、TOKYO MX・サンテレビ・三重テレビ・チバテレ・群馬テレビではマルチチャンネル編成を行っており、スポンサー確保の観点でマルチチャンネル編成がなかなか行えない各系列局とは一線を画している。

UHFアニメ

独立U局を中心に放送されるアニメはかつて「UHFアニメ」と呼ばれていた。表現規制が緩く、在京キー局系列では放送が困難な性的表現などを含む作品も放送しているのが特徴である。

視聴率争いとはあまり関係無いことや、放送料の安さ、慢性的なコンテンツ不足の影響から、ネットワーク局においては有名芸能人などが多数出演する花形番組や人気ドラマなどが放送されるプライムタイム枠（22時台）に深夜向けのアニメを放送するケースが見られる（特にTOKYO MXにおいてこの事例が多い）。

前述の理由により2011年の地デジ化後は「独立局アニメ」となるべきであるが、名称としてそこまで普及しているわけではない（Wikipediaの記事名は2024年現在も「UHFアニメ」のままである）。もともと「○○テレビ系列アニメ」の一区分として便利な入れ物として用いられてきた経緯があるほか、深夜アニメの激増・配信サービスの台頭・サブカルの大衆化などに伴い、独立局ならではの特徴が薄れてきていることも一因だろうか。

全国独立放送協議会

独立テレビ局により結成されている業界団体。幹事はテレビ埼玉。

かつては「全国独立UHF放送協議会」という団体名だったが、前述の理由により2011年7月に「全国独立放送協議会」に改名している。こうした経緯により、独立放送協議会という名称であるもののラジオ単営局は加盟しておらず、テレビジョン放送を行っている全13局が加盟している。

独立テレビ局一覧

日本テレビ系（NNN/NNS）・TBS系（JNN）・フジテレビ系（FNN/FNS）・テレビ朝日系（ANN）・テレビ東京系（TXN）のいずれにも属していないテレビ局。

★3ch（7局） ★5ch（2局） ★7ch（1局） ★8ch（1局） ★9ch（2局） ※スピルオーバー・区域外再放送は除く 北海道 --- 青森 --- 秋田 --- 岩手 --- 山形 --- 宮城 --- 佐賀 --- 福岡 --- 山口 --- 島根 --- 鳥取 --- 兵庫 SUN 京都 KBS 福井 --- 石川 --- 富山 --- 新潟 --- 福島 --- 長崎 --- 熊本 --- 大分 --- 広島 --- 岡山 --- 滋賀 BBC 岐阜 GBS 長野 --- 群馬 GTV 栃木 GYT 茨城 --- 宮崎 --- 愛媛 --- 香川 --- 大阪 --- 奈良 TVN 山梨 --- 埼玉 TVS 沖縄 --- 鹿児島 --- 高知 --- 徳島 --- 和歌山 WTV 三重 MTV 愛知 --- 静岡 --- 神奈川 tvk 東京 MX 千葉 CTC

関東

• 栃木県： とちぎテレビ（GYT）
• 群馬県： 群馬テレビ（GTV）
• 埼玉県： テレビ埼玉（テレ玉 / TVS）
• 千葉県： 千葉テレビ（チバテレ / CTC）
• 東京都： 東京メトロポリタンテレビジョン（TOKYO MX）
• 神奈川県： テレビ神奈川（tvk）

東海

• 岐阜県： 岐阜放送（ぎふチャン / GBS）
  • AMラジオ兼営。
• 三重県： 三重テレビ（MTV）

近畿

• 滋賀県： びわ湖放送（BBC）
• 京都府： 京都放送（KBS京都）
  • AMラジオ兼営（放送地域は京都府と滋賀県）だが、ラジオはNRN系列に加盟しているため独立局ではない。
• 兵庫県： サンテレビ（SUN）
• 奈良県： 奈良テレビ（TVN）
• 和歌山県： テレビ和歌山（WTV）

独立ラジオ局一覧

Japan Radio Network（JRN）・全国ラジオネットワーク（NRN）・JAPAN FM NETWORK（JFN）・JAPAN FM LEAGUE（JFL）のいずれにも属しておらず、Megalopolis Radio Network（MegaNet）にも属していなかったラジオ局。

放送エリア	radiko対象エリア	局名 愛称など	AM周波数（kHz）	FM周波数（MHz）	備考
埼玉県	関東広域圏	エフエムナックファイブ NACK5		ときがわ 79.5	旧社名「エフエム埼玉」 1998年までの親局送信所所在地は道場（現:平野原）だった。
千葉県		ベイエフエム bayfm		千葉 （船橋市三山） 78.0	旧社名「エフエムサウンド千葉」
神奈川県		横浜エフエム放送 FMヨコハマ Fm yokohama		大山 84.7	2013年6月までの親局送信所所在地は横浜市磯子区だった。
		アール・エフ・ラジオ日本	横浜 1422	横浜 92.4	旧社名「ラジオ関東」
山梨県		エフエム富士 FM-FUJI		甲府 83.0	1992年3月まではJFN系列だった。
岐阜県	中京広域圏	岐阜放送 ぎふチャン 岐阜放送ラジオ	岐阜 1431	上加納山FM 90.4	テレビ兼営（こちらも独立局。ラテ両波でネットワークに属していないのは当局が唯一）。
京都府		エフエム京都 α-STATION		京都 89.4
兵庫県	近畿広域圏	ラジオ関西 CRK	神戸 （淡路） 558	神戸 （摩耶山） 91.1	1978年まではNRN系列だった（但し、一部の番組ネットは継続中）。 旧愛称「AM KOBE」

元独立局

• 極東放送→JFN
  • 現在のエフエム沖縄の前身。アメリカ合衆国による沖縄統治下で同国の宗教放送として開局、日本へ返還された際に民間放送へ転換した。しかしAM特有の諸外国からの混信が問題となっていたことから1984年9月にFM放送へ転換、その際にAM時代から経営支援を受けていたエフエム東京（TOKYO FM）の計らいによりJFNへ加盟した。
•  茨城放送（IBS、i-fm）→NRN
  • 開局から長らく独立局だったが、2001年4月にNRNに加盟。但しそれ以前からニッポン放送制作のプロ野球中継を中心に番組のネット受けをしていた。
• 兵庫エフエム放送（Kiss FM KOBE）→JFN→独立局→JFN
  • 旧法人である兵庫エフエムラジオ放送によって開局するも、阪神・淡路大震災や事実上の親会社であったダイエーの経営不振などの影響で2003年4月にJFNに加盟、その直後に社名も当時の愛称であったKiss-FM KOBEに変更する。しかし2010年に粉飾決算をしていたことが発覚、これを理由にJFNを除名され再び独立局となる。その後同年10月に放送免許が現法人に譲渡され、翌11月に再びJFNに加盟した。但しJFN除名後もTOKYO FMやJFNCからのネット受けは継続されていた。
• エフエム大分（Air-Radio FM88）→JFN
  • 独立局として開局し独自スタイルを試みるも挫折、結局開局1周年を迎えた1991年10月にJFNに加盟した。上記のKiss FMとは奇しくも開局日が同日。
• 新潟県民エフエム放送（FM PORT）→廃局
  • 新潟県では2局目となる県域FMラジオ局として開局。開局直後にJAPAN FM LEAGUEを離脱するなどの不幸もあったもののリスナーや地域に寄り添った番組やアニメ・ゲーム・アイドルなどといったサブカルチャーを取り扱った番組を多数放送したことで大きな支持を得た。しかし2018年頃から経営が悪化、新たな大口スポンサーを探すなど生き残りを模索するも力尽きてしまい2020年6月に惜しまれつつ閉局・停波してしまった。なお、同日には外国語FM局のRadio NEOも廃局に追い込まれている。

関連動画

関連コミュニティ

関連項目

• 日本の放送局一覧

地上波テレビネットワーク一覧

1 NHK総合	2 NHK Eテレ	3 （独立局）
4 NNN/NNS （日本テレビ系）	5 ANN （テレビ朝日系）	6 JNN （TBS系）
7 TXN （テレビ東京系）	8 FNN/FNS （フジテレビ系）	9 -
10 -	11 -	12 -

※一部地域ではチャンネルが異なります

脚注

1. *アナログ放送では、在京局はNHK+民放5局がVHF、在阪局はNHK+民放4局がVHF（テレビ大阪がUHF）、在名局はNHK+民放3局がVHF（中京テレビとテレビ愛知がUHF）だった。