Ah 繰り返す 時を見逃すな
熱く燃えて生きる OUR HISTORY AGAIN!
獅子の時代とは、1980年に放送された第18作目の大河ドラマである。全51話。
脚本は「男たちの旅路」「ふぞろいの林檎たち」などの作品で知られる山田太一。今でこそ、大河ドラマはオリジナル作品が中心だが、当時は原作小説をドラマ化したものが主流であり、脚本家による書き下ろしの大河は今作が初となる。
また、音楽はロックバンドのダウン・タウン・ブギウギ・バンド(放送当時はダウン・タウン・ファイティング・ブギウギ・バンドと改名)のボーカルにして、山口百恵ら多くの歌手にポップス曲を提供していた宇崎竜童を抜擢。まだロックバンドやエレキギターは不良というイメージがつきまとっていた時代だけに、オファーが来て一番驚いたのは宇崎本人だったという。
ドラマの劇伴もロックづくしの斬新なものであり、ドラマ中盤からクライマックスで歌われる挿入歌「OUR HISTORY AGAIN」は、今でも宇崎のライブで未だにリクエストが絶えない隠れた名曲である。
そして本作の大きな特徴は、主人公をはじめ登場人物の半数以上が、架空のオリジナルキャラクターということである。それまでの大河は歴史上の人物の一代記がほとんどだったが、名も無き市井の人々の視点で描かれたドラマという点も画期的であった(過去にも、主人公が架空の人物である三姉妹、主人公こそ実在の人物だがその詳細がほとんど謎で劇中の活躍がほぼオリジナルの黄金の日日など前例はある)。
さらに本作では、幕末の動乱~明治維新にかけてを、破れた旧幕府側の視点から描いたという点でも、それまでの大河と一線を画していた。民間人×歴史の敗者側という二つの組み合わせを大河ドラマで描ききったということでも、本作の功績は大きい。
当時既に東映の大スターだった菅原文太が、強靱な反骨精神を持つ主人公の会津藩士・平沼銑次を好演、もう一人の主人公である薩摩藩士・苅谷嘉顕を4年前の大河「風と雲と虹と」で主演した加藤剛が演じた。
先述の通り、名も無き市井の人々の物語であるため、登場人物の多くは架空のオリジナルキャラクターだが、彼らが歴史上の人物と接する展開を違和感なく丹念に描かれている。
ドラマの序盤(第1回〜第5回、総集編第1回に相当)はパリ万国博覧会ということもあり、パリで大規模なロケを敢行した。第1回の冒頭では、現在のパリの姿が映された直後、リヨン駅を日本のサムライ(徳川昭武の訪欧使節団)が歩いてく姿から始まる。当時のパリっ子たちの中には、日本人は今でもちょんまげを結い、着物を着ていると思った人も多かったらしい。
物語は、このパリ万国博覧会で会津・薩摩という敵として出会った二人の主人公・平沼銑次と苅谷嘉顕が異国の地で友情を育み、幕末~明治時代の激動の動乱を逞しく生きていく姿も本作の大きなテーマである。嘉顕は大久保利通の目指す近代日本に深い感銘を受け、本来なら歴史の勝者である薩摩の役人という身分を捨て、やがて民間の憲法草案を作るさなか、悲劇的な最期を遂げる。そして銑次も、嘉顕の意志を受け継ぐが如く、やがて秩父事件に身を投じて歴史の荒波の中へ消えていく。
物語の最終回、銑次の生死はわざと明らかにされず、その後も銑次はどこかで駆け抜けているような結末で幕を閉じる。菅原文太は本作と自分が演じた銑次に深い愛情を持ち続け、反権力を貫き、晩年に俳優を引退し土と友に生きたその後の彼の人生は、まるで銑次という役柄が乗り移ったどころか、まさに一体化して銑次そのものになったと言っても過言では無い。
幕末という視聴率が取りにくい題材に加え、あまりにも斬新な内容だったためか、視聴率は当時の他の作品に比べると奮わなかったが、その骨太なエネルギッシュな作風から今でも多くのファンから高く評価されている。会津の人間から描いた幕末という点では「八重の桜」、近代日本を民間人の視点で描いたという点では「いだてん」など、後の大河ドラマにも受け継がれている。
15:57から、獅子の時代について解説あり。
掲示板
1 ななしのよっしん
2021/11/13(土) 00:17:25 ID: UXScfFzaqf
金子様が好きだったなー。
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最終更新:2024/04/25(木) 07:00
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