現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変とは、小説家になろうとカクヨムで連載中である二日市とふろう(旧名:北部九州在住)作のWeb小説、後に商業化されたライトノベルである。
概要
今の私は、二人を救う事ができる。
……日本経済を、かつての私達を救う事ができる。
書籍版はオーバーラップからオーバーラップノベルス(新書四六刷)において第1巻が2020年10月26日に発売された。イラストは1巻から4巻までは『景』が担当していたが交代し、5巻以降は望まぬ不死の冒険者などの作品イラストを担当している『じゃいあん』が担当する。2024年9月現在既刊6巻。
北海道拓殖銀行(作中では北海道開拓銀行という名称)を買収する悪役令嬢というある紹介ツイートがバズった結果人気が爆発し(→リンク
)、出版社の目に止まり書籍化した形となっている。
作者が標榜するジャンルとしては女性向けの乙女ゲームをモチーフにしている恋愛モノであり、たしかに、攻略対象も出て微笑ましい描写もあるものの、メインストーリーはバブル崩壊時に発生した巨額の不良債権に苦しんだままリーマンショックまでくらうことになってしまった日本経済を救おうとする桂華院瑠奈が、国内外の巨大企業やハゲタカ達を相手に札束で殴り合う経済戦争、政治と関わりあう政治闘争を描く物語となっている。
Twitterなどの公式ハッシュタグは『#現代社会で悪役令嬢(Twitterリンク)
』や作者が使っている主人公のキャラ名『#桂華院瑠奈(Twitterリンク)
』だが、書籍版発売後『#拓銀令嬢(Twitterリンク)
』が一部読者のツイートがバズって広く使われている(ただし拓銀は初期に少し出てくるだけで作品の本質とは程遠く、商標的にも公式化は難しそうである)。
『このライトノベルがすごい!2022』(宝島社)の単行本・ノベルス部門の第8位を獲得した。また2022年2月発表の『次に来るライトノベル大賞2021』(ツギクル主催/KADOKAWA)の総合7位を獲得した。どちらも40代以上の男性層の支持が固いらしい。
漫画について
原作第2巻の巻末でコミカライズ連載がWeb漫画雑誌『コミックガルド』(オーバーラップ社)において行われることが正式に発表された。漫画は2022年12月4日にコミックガルドのアプリ版の『ガルドプラス』で1・2話先行連載され(以降月2回ほど日曜日に更新)、12月9日のコミックガルドの金曜定期の配信で連載開始。漫画版の作者は『デェタ』。
2023年4月4日からはニコニコ漫画においても火曜日のコミックガルドレーベルにて連載開始した。
コミックガルド(アプリ版のガルドプラスも含む)の連載形態として最新話有料、準最新話が無料となっている。2023年4月25日にガルドコミックス(オーバーラップ社)レーベルからコミックス第1巻が発売。2024年9月現在既刊3巻。
連載・執筆について
各話のあとがきに本文中の補足・注釈・用語についての解説が入ることがあり、書籍版でもWeb版と同じく挿入されている。
作品の執筆・連載形式としては、各話掲載後に過去のエピソードに挿入話が織り込まれたりするため(連載当初はさらっとしたオカルト込みの現代悪役令嬢物語の構想であり、拓銀等を救う企業救済話も後からの挿入話であった)、小説家になろうのサイトの更新チェック機能は当てにならず小説家になろうの活動報告を読むことを推奨。書籍版で設定が確定という形を取っている。
このような連載になる理由は後から文献・書物で明らかになった設定を取り入れたり、先の話で必要になった補足修正のためと言われている。執筆については書物など膨大な取材に基づいているようであるが、作者は選挙活動(野党・後に転向)に携わった過去があることを各話のあとがきで明かしておりその時の経験も一部取り入れている。
なお、存命の著名人や実在企業をモデルとする人物・団体、現在に至るも関係者が影響を受けている現実の事件などが多数登場することから、制作にあたっては出版しても問題ない内容であるか、完成稿を法務部門や弁護士がチェックしているとのこと。新シリーズとしては極めて異例なことに第一巻の発売がプレスリリースよりも1ヶ月遅延するという事態に見舞われた[1]が、編集作業において上記の工程が余分に必要である点が影響している模様。
あらすじ
時は2008年9月15日、桂華院瑠奈はとあるパーティーに出席していた。ヒロインである小鳥遊瑞穂、ヒーローであった帝亜栄一と訣別に近い別れを告げ、その場を去る。その日は米国のリーザン・シスターズ証券が連邦破産法を適用した日であった…。
現代(2000年代)を舞台にした乙女ゲーム『桜散る先で君と恋を語ろう』で破滅してしまう悪役令嬢・桂華院瑠奈に0歳から逆行転生した主人公は、バブル崩壊後に苦境に陥っていた生家と自分の周囲の状況を悟り、前世の経験や知識・情報を使って米国IT株に投資することで莫大な利益を得て親が作った負債を解消。周囲の生活状況も安定させた。
しかし世は90年代金融危機の真っ只中。預金流失と株式の売り浴びせに苦しみ倒産間際の北海道開拓銀行に勤める自身のメイドの息子が、土下座しながら瑠奈を頼ってくる。
その場で彼の母親の涙を見た瑠奈は、北海道開拓銀行を、ひいては日本そのものを経済危機から救うために立ち上がることを決意する。
世界観
この作中世界のモチーフになった乙女ゲームは悪役令嬢を金髪のお嬢様にするために凝った設定を作っていたようである。(大サトーもとい佐藤大輔氏風味の作品世界が伺える)
内容
タイトルは小説家になろうで氾濫したいわゆる「悪役令嬢」物を彷彿とさせるものだが、その実態は1990年代から2000年代にかけての日本経済を題材にしたガチガチの経済・政治サスペンス。現実とは少し違う歴史を歩んだ現代日本を描いたゲームが基となった舞台で、人々の善意も悪意もないまぜにして、経済、政治的な利益から必然的に起こりゆく大小の破滅を、超人じみた主人公が回避しようとあがく作品。
小説家になろうの作品ではありがちではあるが、作中から窺い知れる主人公の能力、人脈、見た目、生まれ、立場、運は極めて高く、更に作中舞台の基となったゲームや現実世界の日本での事象、登場人物に関してはかなり正確に記憶している。だが、それを以てしても主人公の置かれた立場はどうにもならず、世界システムは主人公とその他をまとめて飲み込もうとする。
ネット上の愛称は本の帯と作中の自称から名づけられた『拓銀令嬢』であるが、拓銀に関わる部分は第一巻の分量としてもほんの序章に過ぎない。仮想戦記(特に佐藤大輔作品)、内政やる夫モノ、狼と羊皮紙などが好きな人は嵌まる可能性あり。
登場人物
メインキャラクター
- 桂華院瑠奈(けいかいん るな)
- 本作の主人公。日本人1:スラブ人3のクオーターハーフである。
- 作品世界の原作である乙女ゲーム『桜散る先で君と恋を語ろう』では、ヒロインに敗れる悪役令嬢として断罪される。その後の状況はあまり描かれていない。ゲームでは生徒会副会長として根回しして、ヒロインの特待生小鳥遊瑞穂が神輿となっていた帝都学習館高等部の改革案の否決に動いていたが、婚約者であった生徒会長の帝亜栄一に裏切られて可決されてしまう。その後に没落したようであるが生死は不明。
- 両親とも死別しており、桂華院家の別邸の一つである田園調布の屋敷で執事の橘やメイド長の斉藤、メイドの時任・桂たちと暮らしている。父親は桂華院彦麻呂公爵の庶長兄子の桂華院乙麻呂で、母親はロシア人のナターシャ・アレクサンドロヴナ・ロマノヴァ。
- 0歳児の時から前世の記憶があったが、周囲の声からこの世界に疑問を覚え2歳くらいに父親の書斎に潜り込み百科事典や図録を眺めこの世界の事情を把握していた。瑠奈付きの亜紀の大学進学資金の問題や近所から聞こえる声で家の状況を悟り、幼女の仮面を捨てる。
- このままではいずれ屋敷は抵当に入れられる。ならば先手を打とう、と橘を連れて父親と関係が深かった極東銀行に乗り込み、その場で屋敷を抵当に5億円の資金を確保した。未来知識を使って米国IT株への集中投資で大儲けし、極東銀行や父親と関係が深かった極東グループの負債を解消し、自身や周りの人々が安心して暮らせる資金を確保。ここまでが当初の瑠奈の行動目的であった。
- しかし、経営危機に陥った北海道開拓銀行に勤める副メイド長の息子が、預金流失に際してコネを使うことに恥も外聞もなく幼女である自身に土下座して助力を請うたことから、前世のトラウマを思い出し、稼ぎ出した資金を擲って日本経済の救済に動くことを決意する。
- 原作ゲームと異なり周囲の慮る空気を跳ね除け、友人がほしいからと自分の意思で幼稚園に入園し、後に親友となる蛍と明日香と澪と出会う。原作ゲームの瑠奈の姿や、転生前の自分が体験することができなかった仲のいい親子の姿など幾度となく幻影を見ることがある。
- ゲーム由来の悪役令嬢のステータスを引き継ぎ作中に記される『チートボディ』の名の通り、容姿は淡麗かつ頭脳も記憶力は抜群であり、歌唱力、運動能力(競技選手の男子には勝てないが)も抜群である。
- 911の事件を防ぐために奔走するが、義兄は救うことは出来たものの、史実とは違い核テロ事件未遂も起こったため防ぐことは出来ずに、誕生日パーティーの際に事件が起きたため気を失って倒れてしまう。
- その後、事前知識を元にイラク戦争の準備と投資を大分前から行っていたことを恋住政権が気づき、危惧されたことで妨害を受ける。
- 転生前の主人公
- 転生する前は、普通の中産階級の家の両親の子に生まれたが、高い奨学金で大学に通い就職したところリーマンショックが直撃し、会社が倒産。ブラック企業に転職するも過労のため野垂れ死んだとのこと。両親とは不仲であったが親不孝であることは自覚していた女性。乙女ゲーム『桜散る先で君と恋を語ろう』にハマっており隅々まで設定資料集を読み込むほどだった。
- 橘隆二(たちばな りゅうじ)
- 瑠奈の執事で、瑠奈の祖父の桂華院彦麻呂公爵の右腕だった。息子と娘が一人ずつおり、妻(没落士族の出自)は清麻呂から紹介されて結婚したが死別している。息子は桂華化学工業に勤めており社内結婚し、娘も桂華製薬に務めた後に寿退社している、孫は計四人いるが同居はしておらず、瑠奈の家に住み込む時以外は桂華院家別邸近くのマンションで一人暮らしをしている。
- 過去は樺太の貧農の生まれで、戦後の混乱期に生き抜くため何でもしていたことから裏社会の事情にも詳しく、桂華院家の本業中の本業だった桂華製薬に務めたのち桂華院公爵の側近となった。
- 公爵亡き後は、公爵からの指示や乙麻呂や極東グループの処理なども含めて瑠奈がいる別邸に留まっていたようである。瑠奈がいるお屋敷の財政状況は本家からの仕送りが減っており橘の財テクを以てなんとか維持している状況であった。瑠奈が本気を出したことで瑠奈の腹心となる。
- 経営再建・合併後の桂華銀行の執行役員に就任し、桂華鉄道が設立された際には代表取締役社長となるが、瑠奈への監護が行き届かなくなるのを防ぐため孫娘の由香を瑠奈のメイドに付ける。基本的には瑠奈のやりたいことを叶えるために奔走しているが、一線はあるようである。
- 一条進(いちじょう すすむ)
- 山形県酒田市に本店を持つ第二地方銀行「極東銀行」の東京支店長の男性。勤務先柄、中小企業を相手にした融資案件や経営改善プロジェクトに関する豊富な経験を持ち、それらの業務で職場環境整備やモラル改善などの地道な努力によって成果を挙げたことで出世を勝ち取った。
- 瑠奈自身が桂華院家別邸を抵当に入れ融資の相談をし始めたことから、瑠奈たちとの付き合いが始まる。瑠奈が米国IT株に投資したことに全力で乗って、極東銀行のバブル期の負債を解消することに成功する。
- ムーンライトファンドのスキームを橘たちと協力して設立し、金融・証券方面の右腕として三海証券・北海道開拓銀行・一山証券などの買収に携わり、のち桂華銀行の執行役員を経て、桂華金融ホールディングスの初代CEOとなる。地銀時代のどぶ板じみた営業活動の経験は後々にも生きており、メガバンクのトップに上り詰め、財界人として位人臣を極めた現在でも重役室のトイレは自分で掃除しているとか。
- 藤堂長吉(とうどう ながよし)
- 桂華院本家が経営に携わっている『桂華商会』の相談役を務める壮年の男性。元は大財閥・岩崎財閥傘下の岩崎商会で大慶油田の採掘を担当した現場監督で、のち資源トレーダーを経て資源調達部長を務めていたが出世レースに敗れ退社。その際に橘に紹介され同職についていた。瑠奈たちが酒田コンビナート建設や、海外資金の国内還流(投資目的)を企図した際に瑠奈の右腕として参画することになり、赤丸商事・松野貿易・桂華商会を三社合併させた赤松商事の代表取締役社長に就任する。
後に会社が更に大きくなるに連れて、新しく商会を作り、その商会に「桂華」を名乗ることを瑠奈に懇願し、新「桂華商会」初代社長になる
- 橘由香(たちばな ゆか)
- 橘隆二の孫娘の一人。瑠奈とは同い年。祖母である隆二の妻と面影が似ているらしい。
- 隆二により瑠奈の側近として育てられ、メイド養成学校(家政学校?)も卒業している(小卒資格と持っている)。瑠奈が中学校に入学した時から学校でそばにつくようになるが、911事件後は家でも側付きされるようになる。
まだまだ未熟ではあるが、そんな由香の成長を瑠奈も楽しんでおり、最側近かつ友人として接している。
瑠奈の最側近としての誇りはあり、基本的には瑠奈最優先。
- 岡崎祐一(おかざき ゆういち)
- 東大卒で松野貿易に入社後頭角を現した商社マンで、赤松貿易の資源管理部所属。山師的雰囲気がある容姿・雰囲気に違わぬ重度のリスクジャンキーで、人並み外れた頭の切れと勝負度胸の持ち主。
- 瑠奈が複数の社員に期限を設けて10億円を増やすという課題を与えた際に「ロシアの政変」の情報を瑠奈に提出し、その報酬を以て最高額を達成した。瑠奈の神がかりな判断に惚れ込み、彼女によって変革されていく世界の行く末を傍らで見届ける権利を望む。
- のちにムーンライトファンドのアクセスを認められる部下となり、赤松商事資源監理部が子会社「桂華資源開発」として独立した際には、その社長に就任した。
- 一条には、岡崎と瑠奈は本質的に同類であり、自分の命すら平然と差し出すタイプのギャンブラーだと評されている。
- 一条絵里香(いちじょう えりか)
- 一条進の娘で、後に様々の経緯を経て瑠奈の秘書となる。もともとは一条の地元の山形県酒田市の小中高に進んでいたが東京の大学に入学した際に東京の一条の家に住むことになった。天然ボケの気がある。結婚願望が強く、就職も花嫁修業の一貫としか思っていなかったが、父が日本を代表するメガバンクのCEOであるために通常とは違う意味で就職活動がうまくいっていなかった。
一条家は瑠奈の家臣第一世代であるため、彼女の結婚相手は実はかなり重要だったりするのだが、本人はあまり気にしておらず お見合い相手と自分との教養の差に愕然としそれを埋めるべく頑張っている。
- 長森佳織(ながもり かおり)
- 桂華院瑠奈のメイドの1人。役職はメイド長付。極東ホテルだった桂華ホテルのコンシェルジュであった経験を買われて出向し、メイド入り。二児の母でもある。
- 船上庄忍
- 岡崎の部下でムーンライトファンドにグループ傘下から引っ張りあげられた帝大経済学部卒の才媛。一条絵里香とは仲が良い。グループ拡大で余剰人員を活用する関係から新規事業に悩んでいた。絵里香の発言からメイド派遣サービスの事業を思い付く。
- カリン・ビオラ
- ポータコンのCEOだったが、創業家との対立で解任されてしまう。瑠奈のオファーにより、携帯電話を世界一にするという夢に牽かれ、桂華電機連合のCEOに就任する。モデルは、カーリー・フィオーリーナ。
後に瑠奈の経営学や社会勉強を教える指導役ともなり、カリンは瑠奈をかなり可愛がっている。
桂華院家
- 時任亜紀(ときとう あき)
- 瑠奈付きのメイドで後に秘書となる。瑠奈が幼少期の際には大学受験を控えていたが奨学金を借りる前提で進学する予定だった。その実は瑠奈とは叔母姪の関係であるが、桂華院家としては非摘出子で認知してないことになっているのか、斉藤の実子であることも含めて公表していない。
瑠奈が無駄使いで購入したカメラで、瑠奈の記録を撮っている内にすっかりとカメラ好きになり、プロカメラマンの教えを請うほどになる。
- 瑠奈との関係は良好で基本的にツッコミ役。感覚としては庶民感覚に近い感性を持っている。原作ゲームでは瑠奈への忠誠心はあまりなかった模様で、瑠奈の破滅のトリガーを一つ引いてしまっている。
- 斉藤桂子(さいとう けいこ)
- 瑠奈が詰めるお屋敷(桂華院別邸)のメイド長で、桂華九段下タワーに住居を移した後も家内を差配している。年齢不詳の若い外見の持ち主。
- 昔は銀座の高級クラブのママで、桂華院彦麻呂(瑠奈の祖父)の愛人の一人であった。その関係もありメイドとなるが、彦麻呂が亡くなったことで本家とは別へ流され瑠奈のお世話をすることに。若い頃は彦麻呂に随分といい思いをさせてもらったものの、過去は過去として割り切り、瑠奈への教育に熱を上げており、大金持ちになった後でも一万円以下のお小遣い金額を設定したり、夜更かしを規制したりなど庶民感覚のルールを定めている。瑠奈がオイタをした時に叱る役目でもあり、授業参観があれば保護者代理として出席している。
- 亜紀は実子であるが公表・公言していない。亜紀の学費が奨学金ではなく瑠奈の財布(桂華院家別邸の家政費)から出せることになり、涙を流すくらいには喜んでいた。
- 桂直美(かつら なおみ)
- 桂華院家の一族ではあるが分流(瑠奈の祖父の弟の一族)の庶子であるため「桂」を姓としている。瑠奈のお屋敷で副メイド長を務めている女性。
- 桂直之(かつら なおゆき)
- 桂直美の息子。分流とはいえ桂華院家の一族ではあるがコネを使いたくなかったため、北海道開拓銀行に就職し、貴族や財閥とは関係がない一般女性と家庭を設けた。北海道開拓銀行の総合開発部所属。
- 北海道開拓銀行が経営危機に陥った時に預金流失が起こったため、恥も外聞もなくコネを使わざるを得なくなり瑠奈に土下座をして預金を懇願する。(なお特典SSによると彼が土下座したことにより瑠奈が家や自身の幸せを越えて、日本再生や政治や経済戦争に入れ込み始めたため、橘は直之に怒りを覚えているようである)
- 北海道開拓銀行が瑠奈によって救済された後には桂華銀行のプライベートバンク部門に配属され、瑠奈たち首脳部とムーライトファンドのアクセス実務を担当している。一時は一条達の下に付いて中小企業救済プロジェクトに携わっていたが、のちに桂華信託銀行札幌支店に振り込まれる瑠奈の収入管理も仕事の一つとなる。
- 桂華院乙麻呂(けいかいん おつまろ)
- 桂華院彦麻呂と妾扱いのロシアの大公女の間に生まれた庶長子。弟の清麻呂いわく悪い人ではなく、人を疑うことを知らなかったそうである。家督を継げず、桂華院家の家業にも携われなかったことから、極東グループと組んで『極東土地開発』を創業し、当時絶頂だったバブル景気に乗ってリゾート開発に取り組み『極東ホテル』を立ち上げ一世を風靡した。しかし酒田コンビナートに関わるCOCOM違反事件をきっかけに、旧北日本政府が仕掛けた謀略に極東グループ諸共に巻き込まれ、政治的裁定の末自殺に追い込まれる。その際桂華院家の墓には入りたくないと遺言し、その通り山形県酒田市に葬られる。
- ナターシャ・アレクサンドロヴナ・ロマノヴァ
- 瑠奈の母親でロシア人。乙麻呂いわく「春のような人」であったらしい。仲麻呂の回想から日本語も喋れたようである。乙麻呂の死後、瑠奈を産んでまもなく死去する。実はロマノフ家の血が濃く、北日本政府の謀略の駒として温存されており、使われていたことが後に判明している。乙麻呂と同じく山形県酒田市で、乙麻呂の墓の隣に葬られている。
- 桂華院清麻呂(けいかいん きよまろ)
- 桂華院公爵家当主。本邸である高輪に在住。兄である乙麻呂が亡くなったことや経緯には納得していない。「足るを知る」を人生訓としており、桂華院家は本業ではバブル崩壊の影響はあまり受けなかったが、極東グループを救済せざるを得なくなったことにより苦しくなっている。亡妻の瑠璃子は岩崎財閥の岩崎化学の重役の娘であり岩崎家の傍流の娘の出自。妻に先立たれた後は再婚していない。清麻呂から瑠奈を見れば姪に当たることになる。兄のこともあり、瑠奈に災難があった際には自身が貧乏くじを引こうと考えているようである。
- 妻の縁を頼りに桂華グループを岩崎グループに合併させ、運命を託そうと考えていた。原作ゲームのストーリー上では公爵令嬢かつ次期公爵として瑠奈を養子に迎えるが、本作ではただの公爵令嬢として養女に迎えている。
- 桂華院仲麻呂(けいかいん なかまろ)
- 桂華院公爵家の御曹司で次期公爵で清麻呂の長男。ナターシャから瑠奈の後事を託されたことから、公爵家の養女に迎えられることとなった瑠奈を妹として大切にする姿勢を見せる。ムーンライトファンドが政治のやり玉に上がった際には未成年の瑠奈の代わりに後見人として公の場に出て、国会の参考人招致を受けるなど、彼女にとっては数少ない公的な場での味方の一人。
- 御曹司として育ったため譜代のスタッフを抱えていることから、信頼できる譜代の少ない瑠奈に請われて、当初は瑠奈の持つ桂華グループ、特に桂華金融ホールディングスの社外取締役となるが、恋住政権発足時に一条が財政諮問委員として引き抜かれたため、組織内統制のために取締役に立場を変える。
- 原作ゲームでは2001年9月の米国同時多発テロ事件に巻き込まれ死亡しており、瑠奈が悪役令嬢として破滅への道を歩み始める一因となった。
- 桂華院彦麻呂(けいかいん ひこまろ)
- 故人で瑠奈の祖父にあたる。戦前・戦中・戦後のフィクサーで右派の大物。もとは元老の庶子であったが廃嫡され、内務省のいわゆる警察官僚となった。ある事件の捜査打ち切りの手打ちとして、当時断絶していた桂華院公爵家の名跡を継ぎ公爵となる。ゾルゲ事件の際にある元老の代わりに台頭し、太平洋戦争中マリアナ諸島陥落の際にクーデターを主導し連合国に降伏する筋道を作る。
- また妻との結婚を機に妻の実家であった製薬会社の経営権を握り、戦時中はメタンフェタミン系の気付け薬(所謂ヒロポン)、戦後は樟脳の販売で莫大な利益を上げて製薬会社をはじめ関連企業を次々と立ち上げ、財閥・企業経営者としても活躍する。
- 愛人・妾が多く桂華院家の分流や一族とされる者だけで7家20人の子息・令嬢が存在するという(瑠奈の父方の実祖母であり乙麻呂の母親はロシアの大公女の出自だが妾扱いであった)。また、公爵家を立ち上げることになったことから弟の一族も公爵家の一員となっている。
- バブル期前に死去したが、政治家に大きな影響を残した。また遺言として家を傾ける動きがあった際には適切に処理せよという命令を橘に遺している。
- 桂華院桜子(けいかいん さくらこ)
- 旧姓は朝霧。朝霧侯爵家の次女の朝霧薫の実姉で、仲麻呂と結婚し桂華院家へ嫁入り。大学卒業後岩崎銀行の窓口で仕事をしていたが、桂華院家の事情で結婚が早まってしまい準備に大わらわで困惑していた。結婚式では薫と瑠菜に事前にブーケを半分あげてエールを送っていた。
- 北雲涼子(きたぐも りょうこ)
- 桂華院瑠奈の護衛責任者。北日本政府の工作機関出身。
帝国学習館関連・友人
- 春日乃明日香(かすがの あすか)
- 瑠奈が幼稚園で出会った女の子で後に親友になる。父親が愛媛県地盤の立憲政友党の政治家である。地元はみかんが特産で幼稚園のクラスメイトに配っているが、何が何でも自分が配っているのはオレンジと言い張る。
明日香も瑠奈に負けず劣らずのカリスマの持ち主であり 自身のクラスはほぼ掌握している。
- 開法院蛍(かいほういん ほたる)
- 瑠奈が幼稚園で出会った女の子で奈良華族(寺社系華族)の令嬢。おとなしく無口であり喋ると周囲が驚くほどである。身振りや表情で表現することが多い。明日香や瑠奈とはみかんがきっかけで友達になる。特殊能力持ちで隠れようと思えば誰にも見つけられず、姿を表した時にびっくりされることがしばしば。デジタルでも通用しない。
- 帝亜栄一(ていあ えいいち)
- 日本一の自動車メーカー『帝亜自動車』をトップに頂く帝亜財閥の御曹司。原作ゲームの攻略対象者の一人。瑠奈にコーラを勧められて気に入り、愛飲することになる。瑠奈と裕次郎、光也とつるむようになり4人で学習館カルテットと呼ばれるようになる。文武両道、芸術に至るまで何をやらせても超一流のスーパーマンで、性格は帝王教育のためか俺様気質傾向。自信家で、経営者・投資家として瑠奈を超えることを目標にする様子もある。よく「結婚しよう」などと愛の告白のようなことをデリカシーなく瑠奈に話すために怒られている。小説冒頭では、瑠奈を心配しつつも瑞穂と懇意な様子を見せている。
- 泉川裕次郎(いずみかわ ゆうじろう)
- 与党・立憲政友党の大物である泉川辰ノ助議員の次男。ただし長男・長女・次女と違い先妻との死別後に後妻との間に儲けた子なので立場が弱い(長女・次女ともに地元の有力地方議員が娘婿)。原作ゲームでは、長男太一郎が参議院選挙に落選し、辰ノ助も政争に破れて政界引退したためお家争いが発生し、性格に影を落としてしまう。瑠奈の援助で原作ゲームのような事態は防がれている。栄一と瑠奈の喧嘩を収めようとすることが多いカルテットの調整役。攻略対象者の一人。
- 後藤光也(ごとう みつや)
- 大蔵省の後藤光利主計官の一人息子で、本人も大蔵官僚志望である。メガネをかけておりクールな様子を見せる。頭脳明晰でハイテクにも明るいため、カルテットの参謀役を務める。読書好きで瑠奈と好きな本を交換し合う事が多い。攻略対象者の一人。
- 天音澪(あまね みお)
- 瑠奈や明日香・蛍より一歳年下の下級生で瑠奈を含めた擬似四姉妹となっているほど親しい。父親は貿易商で特にアンティークを営んでいたが業績が傾いており瑠奈が援助して救うことになった。帝西百貨店で西洋アンティーク人形の企画展を開くことになる。
- 姉達の影響なのか初等部の時点ではかなりの能力を持つようになり次世代のクイーンビーとも呼ばれる。しかし本人にてんでその気がないので疑似姉妹4人はいつも仲良しである。
- 敷香リディア(しすか りでぃあ)
- 瑠奈の一年先輩の侯爵令嬢。ロシア人の血を引くと見られ、瑠奈と同じ金髪の持ち主。父親は元北日本政府の秘密警察長官で、併合時に内応する際の政治的取引として不逮捕特権とセットで侯爵位を与えられた。このことから学内でも孤立して、いじめの標的となっていたが、その悉くに痛烈な反撃をかましてきたことから「ワシリーサ」の綽名を持つ。悪役とも見られかねない立場であったが、紆余曲折の末、似たような境遇の瑠奈の友人となる。政治に絡まない部分だとポンコツツンデレの面もある模様。
- 朝霧薫(あさぎり かおる)
- 朝霧侯爵家次女の侯爵令嬢で瑠奈の1学年上。容姿は大和撫子と言い表せるような美人。華族の中で高位の家格をもつものが入会できる学内派閥の雲客会に入っている。姉は仲麻呂の婚約者の桜子。親戚になるため瑠奈に接触したが、結果的に友人寄りの立場に落ち着く。
- なお母親が岩崎家出身である縁で朝霧侯爵家は財閥の岩崎男爵家から援助を受けているため、貧しい華族も多い雲客会では立場が浮いており、友人として瑠奈にいて欲しいと思う部分もあるようだ。
- 華月詩織(かづき しおり)
- 校内でできた友人の1人。華月子爵家令嬢。実は華月子爵家が桂華院家と親族関係にあるため、瑠奈とは親族である。原作ゲームでは瑠奈の運命の最後のトリガーを引いてしまっている。
- 栗森志津香(くりもり しづか)
- 校内でできた友人の1人。出自から一番、一般人の感覚に近いものをもっている。
- 実は実家立て直しのため 瑠奈の元に送られた人質であり生贄のようなものであった。
しかし当の瑠奈がぶっ飛んでいたので 今はその辺を気にせずのんびりと暮らしている。
- 高橋鑑子(たかはし あきこ)
- 校内でできた友人の1人。剣道少女であり竹刀を持ち歩いている場面に遭遇したことがある。
- 待宵早苗(まちよい さなえ)
- 朝霧薫が連れてきた自身の友人の少女。待宵伯爵家の長女であり瑠奈の文化祭で披露した歌声に惚れてファンになり、友人となる。
- 小鳥遊瑞穂(たかなし みずほ)
- 原作ゲーム「桜散る先で君と恋を語ろう」のヒロイン。帝都学習館高等部になると入学してくる特待生の一人。書籍版1巻当時では冒頭でしか登場していなかったが2022年公開の書籍版公式サイト上のSSでパーソナリティーが一部公開された(後にWeb版では「小さな女王様」編に組み込まれた)。瑠奈に憧れつつ、瑠奈が一人しか選ばないと踏んで瑠奈に群がってきた男子を狙ってみようかという軽い気持ちが生まれたきっかけが描かれている。が、1話冒頭を見ると18歳時点では、ゲームと同様に栄一と仲良くなっている。非華族で父親は喫茶店を手伝いつつ社会正義に一家言あるフリージャーナリスト、母親は喫茶店経営の庶民出身。
- 高宮晴香(たかみや はるか)
- 帝都学習館学園中央図書館館長の女性。出自は伯爵家の令嬢であり同じ華族と結婚したが子宝に恵まれなかったため離縁され家に戻された過去がある。勉学好きであったこと、上流階級が集う文芸サロンにいたことから出版社勤務を経て、帝都学習館学園中央図書館の職を打診され就任して以来図書館の長年の主。リベラルな思考を持つ。
政治家
- 泉川辰ノ助(いずみかわ たつのすけ)
- 橋爪内閣で大蔵大臣を務める立憲政友党所属の衆議院議員。泉川派の領袖で大蔵族。派閥に所属する加東議員の元ネタからすると、泉川派は史実の宏池会系である可能性がある(Web版では加東とは別派閥の架空の派閥だった)。
- キャラクター造形としては架空の人物だが、立場でいえば史実の三塚博(ただし三塚氏は清和会)の立ち位置であり、史実と同じく護送船団方式を守ろうとする。大蔵省の不祥事(○○○○しゃぶしゃぶ事件)で引責辞任するが、のちに渕上内閣の党副総裁として返り咲く。
- 渕上総理大臣が病に倒れて政権を手放した際、「七家老」の合議により後任の総裁となり、党内政治における中立性を保つため派閥を加東に譲る。総理大臣就任時に半年後の解散総選挙を公言し、どうせ期間限定の選挙管理内閣だから、と入閣待機組の議員に大臣の椅子を分け与えた。
- 桂華グループとは二人三脚に近い関係であり、四国新幹線や石油の権益更新についても認可している。半年の任期を全うした後の立憲政友党の総裁選では自らは出馬せず林幹事長を支持し、林内閣では副総理兼大蔵大臣に就任する。林内閣後の総裁選では派閥で推した恋住ではなく阿蘇経済企画庁長官を推薦したことから、自らに同調した議員らと共に派閥を離脱する形で独立した。
- 加東一弘(かとう かずひろ)
- 山形県酒田市を地盤とし、立憲政友党の幹事長を務める国会議員。瑠奈の父親が取り組んでいた酒田コンビナートの事業の成功と山形新幹線新庄駅延伸に力を注ぐ。瑠奈のお披露目の際にも同派閥の泉川辰ノ助とともに顔を見せ瑠奈の父親の乙麻呂を救えなかったことを瑠奈に謝罪している。参議院選挙で大敗し幹事長を退任している。
- 泉川が総理大臣になった際に派閥を譲られて会長となり、盟友の山口議員率いる山口派の支援を受けて泉川内閣後の次期総裁選に立候補するが、派閥内や党内の支持をまとめきれずに失脚する。その際に立ちはだかったのはかつての盟友・恋住だった。恋住が総裁選に立候補した際には一転して彼を支持し、党の要職に返り咲く。この際、恋住を支持せず泉川が推薦した阿蘇に投票した議員を派閥から除名している。恋住政権下では秘書が起こした不祥事の責任を取って辞職する事になり余波で桂華グループまで飛び火しそうになる。元ネタは加藤紘一。
- 橋爪(はしづめ)
- 本編開始時の立憲政友党総裁。内閣総理大臣。1998年の参議院選挙で敗北し退陣する。林内閣退陣後の総裁選で復活を目指して立候補するが、マスコミや世論を味方に付けた恋住旋風の前に惨敗を喫した。元ネタは橋本龍太郎。
- 渕上恵一(ふちがみ けいいち)
- 立憲政友党所属の国会議員。橋爪内閣で外務大臣を務める。参議院選挙の敗北確定後、内閣退陣が濃厚になると、いち早く挙党一致体制の構築に成功し総理大臣に就任する。泉川の長男が勝利した際に泉川派の領袖の辰ノ助を取り込みにかかる。そばにいた瑠奈に気づき、辰ノ助に助言した瑠奈に感謝した。
- 総理就任後は瑠奈に電話を掛け、鮎川自動車の巨額の不良債権による経営不安についてアドバイスを請うている。その後は精力的に総理として活動するが、2000年の暮れに脳梗塞の前兆症状を呈し、ドクターストップにより政権を手放す。その際、瑠奈に彼女が被害者でいられるのはここまでだと忠告した。
- 元ネタは小渕恵三。
- 泉川太一郎(いずみかわ たいいちろう)
- 泉川家の長男。参議院選挙で県選挙区で戦うが、大蔵省スキャンダルによる親の引責辞任と同党複数立候補のため苦戦を強いられる。瑠奈の手助けにより比例区に選挙の場を移し、瑠奈が支援した北海道企業の支援やどぶ板によりかろうじて当選し参議院議員となる。
- 恋住総一郎(こいずみ そういちろう)
- 大蔵族の立憲政友党議員で、橋爪内閣の厚生大臣。橋爪内閣退陣後の総裁選では挙党一致体制に逆らい立候補したが、いち早く党内を掌握した渕上外務大臣の前に自派の票でさえ取り纏められない屈辱的な大敗を喫する。
- 渕上内閣では、兄貴分である林が幹事長に就任した後を受けて林派の領袖を務める。泉川内閣の際には幹事長に就任して党内を纏め、泉川総理退任後の総裁選挙と首相指名選挙対策では党内工作を担当した。林内閣退陣後の総裁選に立候補し、組織に頼らない劇場型選挙で地滑り的な勝利を収めた。
- 瑠奈によって世界が動かされていることを良しとせず、イラク戦争の後方支援に事前知識で知って準備していたことを知り、止めに入る。瑠奈に対し、『君に資格が無い』と告げている。
- 泉川曰く、恋住は生粋の派閥政治家だという。元ネタは言うまでもなく小泉純一郎。
- 林楽斗(はやし がくと)
- 立憲政友党所属の国会議員。林派(史実の清和会)の領袖。渕上内閣では挙党一致体制のもと幹事長に就任する。その際、盟友である恋住に林派の領袖への就任を要請する。泉川内閣後の総裁選と首相指名選挙では党内工作を恋住、党外工作を乃奈賀に依頼する。
- 林内閣自体は官僚や国会議員のスキャンダルが相次いだこともあり早々に倒れるが、総裁選に仕掛けを残していった。元ネタは森喜朗。
- 柳谷吉保(やなぎたに よしやす)
- 立憲政友党所属の国会議員。泉川と同派閥であり渕上内閣時に金融再生委員長に就任する。桂華グループと泉川の意向に沿った政策を取った。元ネタは柳沢伯夫(史実における宏池会)。
- 山口卓巳(やまぐち たくみ)
- 立憲政友党所属の国会議員。山口派(史実における近未来政策研究会)の領袖。恋住、加東とは盟友。泉川内閣後の林総裁が選出された総裁選とその後の首相指名選挙では恋住から妨害されるが立候補した加東と行動を共にする。林内閣退陣後の総裁選では、盟友の恋住を加東とともに推し、結果論功行賞で立憲政友党副総裁に就任する。元ネタは山崎拓。
- 岩沢真(いわさわ まこと)
- 元立憲政友党所属の参議院議員で元運輸大臣。芥川賞作家でもある。瑠奈が都知事選挙の出馬を依頼した際、瑠奈を題材にした小説を書くのを認めることを条件に受諾した。[2]元ネタは石原慎太郎。
- 武永信為(たけなが のぶため)
- 恋住内閣で経済財政担当大臣に就任した民間人閣僚。恋住内閣の経済面の番頭。新自由主義的な政策の信奉者であり、時価会計制度の導入など大企業に短期利益や株主を重視した経営を強力に促す政策を推し進め、桂華グループにも真っ正面からケンカを売る。元ネタは竹中平蔵。
米国関係者
- アンジェラ・サリバン
- 米国資本のファンド「パシフィック・グローバル・インベストメント・ファンド」(いわゆるハゲタカファンド)のファンドマネージャー。というのは表の顔で裏の顔はCIAのエージェントであり、民主党政権[3]のスタッフ(日本大使館付情報分析官)である。瑠奈がムーンライトファンドの資金を持ってグッドバンクと化した桂華銀行を購入しようとした際に、直接訪ねて警告を発した。
- 2000年の大統領選挙で共和党候補が勝利したため、民主党員であったアンジェラは転職を予定していたが、その際に橘から手打ち兼米国からの監視役を兼ねた桂華院瑠奈の秘書として招聘され、受諾する。報酬はそれまで内定していたファンドマネージャー以上だと見られている。
以降は瑠奈の秘書として働いていたが、それまでの経歴を買われ桂華金融ホールディングス2代目CEOとなるべく実績を積むべく桂華金融の関連会社の社長となる。
CIAでもあり、瑠奈の秘書でもあり、桂華金融の重要人物でもありということで、テロの暗殺目標となったこともあったのだが、当の本人は自分の命が狙われたことよりも、そのテロに瑠奈が巻き込まれたことにブチギレ、黒幕などを徹底的に調べ上げ破滅に追い込む気満々。
- エヴァ・シャロン
- 桂華院家のメイドで役職はメイド長付け。正体はCIAの紐付き。アンジェラが秘書になった際にともに入る。支持政党は明言はしていない。ロシア側のカウンターパートのアニーシャとは仲は良くない。アンジェラが不在のときは彼女が秘書的業務を行うことがある。
- 共和党大統領
- テキサス州の石油会社出身。2000年の大統領選挙を共和党候補として戦い、史実でも歴史的接戦となったフロリダ州を制して当選する。その影には、前世知識を元にフロリダ州にターゲットを絞り、選挙運動のために会社を買収して応援活動を繰り広げた瑠奈の尽力があった。元ネタはジョージ・W・ブッシュ。
- 砂漠の英雄
- かつて湾岸戦争で多国籍軍総司令官を務めた退役軍人。米国に設立する大規模PMCのCEOとして、白羽の矢を立てられた。当初は再び世に出ることに難色を示していたが、長年米国の社会問題であった退役兵士のホームレス化の解決策としてゲーテッド・コミュニティの警備業務に彼らを雇うという瑠奈の構想を聞かされたことで、実現の見込みが無い最善ではなく、偽善であろうと手の届く最良を是とする姿勢に感銘を受け、CEO就任を受諾する。元ネタはノーマン・シュワルツコフ。
- 国務長官
- 2000年の大統領選挙で発足した共和党新政権の国務長官。湾岸戦争当時の統合参謀本部議長。2001年1月の大統領就任式に出席するため瑠奈が渡米した際、かつての部下だった砂漠の英雄を訪ねる名目で、新国務長官の初仕事としてお忍びで瑠奈と面会した。元ネタはコリン・パウエル。
その他
- 帝亜秀一(ていあ しゅういち)
- 自動車メーカーである帝亜グループ代表で栄一の父親。架空の人物。恋住内閣の発足時、一条と同じく経済財政諮問会議の委員に就任する。
- 岩崎弥四郎(いわさき やしろう)
- 帝都岩崎銀行の頭取にして、岩崎財閥代表。架空の人物。岩崎男爵家当主。朝霧桜子と朝霧薫の祖父でもある。仲麻呂を評価しており桜子と仲麻呂と婚約させる。鳥風会にも桂華製薬グループの幹事銀行(メインバンク)としてオブザーバーとして参加した。 初対面では瑠奈に対して、瑠奈が保有する企業まるごと岩崎財閥入りしないかと野心丸出しの提案をするなどアクの強いところを見せていたが、根は誠実な人物
- 前藤正一(まえふじ しょういち)
- 警視庁公安部外事課所属の警部。瑠奈を巻き込んで桂華院家などの過去の因縁の解消を込みで手打ちを含めた仕掛けを行う。名前の元ネタは後藤喜一。
- 石川信光(いしかわ のぶみつ)
- 帝西百貨店の冬のキャンペーンに向けて起用されたグラビア写真の大家。オカマ口調。一見不審人物だが、芸術家としての目と腕は確か。キャンペーン準備のために売り場を訪れた際、居合わせた瑠奈を口説いてポスター写真のモデルに仕立て上げ、彼女のあだ名が「小さな女王様(リトル・クイーン)」となるきっかけを作った。キャラクター造形は架空の人物だが、モチーフは篠山紀信。
- 神戸総司(かんべ そうじ)
- とある大学の教授で一条絵里香の所属するゼミの恩師。天才学を研究のテーマとしており桂華院瑠奈に注目している。実は帝都学習館学園出身であり、高宮とも知己がある。テレビのコメンテーターとして人気であり、政治家の武永とも親しい。
- アニーシャ・エゴロワ
- 桂華院瑠奈のメイドであり、役職はメイド長付。アンジェラやエヴァなど米国の情報機関の紐付きが瑠奈の回りに置かれ監視を受け入れた一方バランスを取るためにロシア側の目も受け入れることに決めたため加入。そのような経緯もありロシアの情報機関の紐付きである。高い機密情報もアクセスできるらしい。メガネっ子。瑠奈が岡崎を側近に引き上げたことで岡崎に対して常日頃からハニトラ工作をしているらしい。
- カール・ロンドリンゲ
架空の人物。瑠奈が香港で出会った欧州貴族。孫のフランツと共に挨拶する。実は強引に瑠奈と出会うように要求してきたらしい。ロンドリンゲ家のモデルはハプスブルグ家。
用語集
原作ゲーム(架空)
- 桜散る先で君と恋を語ろう
- 小鳥遊瑞穂を主人公に、帝亜栄一、泉川裕次郎、後藤光也をヒーローとした架空の乙女ゲーム作品。ヒットしたようで設定集などの関連商品の刊行や世界観が続いたスピンオフ的な続編が作られその都度悪役令嬢が増えたようである。その悪役令嬢(転生者)が瑠奈を含めて一同に会するスピンオフが小説家になろうにおいて『悪役令嬢カルテットカルテル
(→リンク
)』のタイトルで掲載されている。2016年に執筆された作品で初期設定であるため、現在のこの作品と瑠奈の設定が違うことに留意する必要がある。(姓が桂花院、ファッションで生計を立てられている等)
地域・国
- 山形県酒田市
- 最上川の水運と日本海交易の結節点として江戸時代から栄えた地方都市。史実では山形県には服部敬雄というドンがいたが、彼の地盤は山形市であったため、作中・史実とも酒田まで影響力を伸ばしたか不明である。新幹線の基本計画線では羽越新幹線で駅が作られる都市となっている。
- 樺太(からふと/サハリン)
- 北海道と宗谷海峡を隔てて数十キロ北方にある島。史実ではアイヌが居住していたが、ロシア人が徐々にウラルからシベリアを経て樺太にも入植し、明治時代に樺太千島交換条約で領有権が確定する前は日露の住民が混在していた。条約以降はロシア領、1905年に日露戦争の賠償として日本が南樺太を獲得し、1945年までは南樺太は日本領として日本が統治していたが、第二次世界大戦のにおいて日ソ中立条約破棄とソ連参戦により占領されサンフランシスコ平和条約において日本は領有を放棄したことになっている。日本領時代の南樺太の中心都市は豊原で、北樺太の中心都市はオハ。
- 北日本民主共和国
- 南樺太に存在した架空の分断日本。満州戦争の際に北樺太からソ連の侵攻を受け、占領地にソ連の衛星国として建国された共産国家。1994年にクーデターが起き日本に統合された。北樺太はソ連の自治区だったが、ソ連崩壊前の政治的混乱期には北日本が統治を代行しており、北日本が日本に統合する際、日本政府はどさくさ紛れで北樺太も日本へ併合した。
企業・団体
- 桂華グループ
- 元は公爵家本家が管轄している桂華製薬グループを指す名称だったが、旧極東グループと瑠奈が所持しているムーンライトファンド傘下の桂華銀行グループ(桂華銀行、極東生命)、赤松商事とその傘下の帝西百貨店グループ、桂華ホテルが合流している。社長会として親睦会議の「鳥風会」が定期的に開かれている。
- ムーンライトファンド
- 広義では桂華院瑠奈が所持している、米国シリコンバレーに本拠を置くヘッジファンド。橘・一条たちによる狭義では瑠奈の私有財産を収めた口座のことである。複数の国に設置されたペーパーカンパニーを経由して、スイスのプライベートバンクに実体を置いている。
- 極東グループ
- 元は、赤色革命の際に亡命したロシア人達が起こした企業が集まって形成されたグループ。瑠奈の父親の「桂華院乙麻呂」が、同グループと組んで『極東土地開発』を立ち上げ、バブル期のリゾートブームにのりホテル事業も手掛け『極東ホテル』を立ち上げる。元々ロシア人の血を引いていた縁から令嬢のナターシャと結婚したことでバブル期に急拡大したが、酒田コンビナート建設の際のCOCOM違反事件による乙麻呂の死やバブル後の債務過多により経営危機となり公爵家本家の桂華グループに吸収される。傘下企業は「極東土地開発(後に会社更生法申請)」「極東ホテル(後に再編して桂華ホテル)」など。極東銀行は関連企業扱い。
- 極東銀行
- 山形県酒田市を地盤として創業した架空の第二地方銀行。東京支店が置かれている。規模の小ささから飲み込まれることを危惧し、バブル期前後に創業した極東グループ、特に極東土地開発と特に親密な関係を持つが、バブル崩壊後は不動産関連の開発事業を主力としていた極東グループへの融資が巨額の不良債権と化し、財務状況が悪化して苦境に陥る。
- 三海証券
- 98年の金融危機の際に経営危機に陥っていた中堅証券会社。作中では極東銀行が証券会社のような業務を手掛け始めて大蔵省から目を付けられたため、解決するために買収する。結果、桂華ルールの適用の先例となった。抱えていた不良債権額は800億円。
- 現実におけるモデルは三洋証券。ここが倒産したことで金融コール市場が麻痺し金融恐慌が発生したが、瑠奈は先手を打ってそれを防ごうとした。しかし、連鎖破綻の完全な阻止には至らず、続けて一山証券と北海道開拓銀行をも救済せざるを得なくなる。
- 一山証券
- 日本の四大証券に数えられた大手証券会社。モデルは山一證券。総会屋への利益供与事件によって経営陣が総辞職したことに加え、債務を帳簿上誤魔化すために「とばし[4]」や「にぎり[5]」といった不正手段をとっており、これが原因で日銀特別融資を受けることができず、護送船団方式でも救済できない状態となって、史実では自主廃業[6]に追い込まれた。
- そこで瑠奈達は、既に日銀特融を受けている三海証券を存続母体として逆さ合併を仕掛けることにより、一山証券の負債処理による損失までも日銀特融でカバーする[7]というウルトラCを敢行することになる。このことは大蔵省証券局に対する大きな貸しとなった。負債総額は2600億円。
- 北海道開拓銀行
- 北海道札幌市に拠点を置く下位の都市銀行。元ネタは北海道拓殖銀行。バブル期の乱脈融資が焦げ付いたことで2兆3000億円という莫大な不良債権を抱え込んでおり経営危機に陥っている。史実では結局倒産し、銀行株が紙屑と化したことにより、それを担保に他所の金融機関から融資を受けていた[8]地場企業や自営業者が一斉に吹き飛んで、北海道経済が崩壊した。
- 作中では、三海証券、一山証券を救ったことで金融コール市場の麻痺防止、一山証券からの資金供給の継続など状況は改善していたが、結局報道番組の出演者の放言をきっかけに売り浴びせにあっていた。
- 本来であれば、企業買収のセオリーは「まず100%減資で株主責任を明確化し、そののち第三者割当増資で自己資本を注入して経営権を握る」という手順を踏むのだが、この場合は上記の構造からそのまま減資を行うと北海道の地元経済が壊滅するため、「先にムーンライトファンドがTOBで現行の株式を買い占めた上で、100%減資でそれをドブに捨てる」という手間も金も余計に掛かる方法を採った。[9]
- 三海証券・一山証券を救済し大蔵省証券局に大きな貸しを作ったのに続き、ここで身銭を切って地域経済ごと北海道開拓銀行を救済して銀行局にも恩を売った[10]ことで、瑠奈達は日銀特融を前提とした桂華ルールの本格運用を飲ませる[11]ことに成功した。
- 桂華金融ホールディングス
- 金融持株会社第一号として認可され設立された。国の意向により持株会社化されたのは言うまでもない。傘下に桂華銀行、桂華信託銀行、極東生命、桂華海上保険を置いた。
- 桂華銀行
- 極東銀行を母体に、北海道開拓銀行、長信銀行、債権銀行といった経営危機の下位都銀や、三海証券、一山証券といった証券会社を、逆さ合併や日銀特融を駆使したウルトラCで繋ぎ合わせてグッドバンクに生まれ変わったメガバンク。設立時点で8兆円もの日銀特融が投入されており、実質国有化されていたことから競売に掛けられることになった[12]が……。入札直前に発生したロシア国債危機により、大口の機関投資家は軒並み大混乱に陥って総撤退する羽目になり、入札当日に現れたのは桂華院家だけであった。
- 長信銀行
- 元ネタは日本長期信用銀行。企業の設備投資への融資を目的に設立された国策銀行。バブル崩壊後、融資先企業の財務状況悪化から2兆円という膨大な不良債権を抱えており、北海道開拓銀行が救済されると代わって売り浴びせにあったため、こちらも桂華ルールで救うことになる。
- 史実では、大規模工場をもつ大企業が資金調達を間接金融(銀行)から直接金融(株式発行・社債の発行)に移行したことにより、代替顧客として開拓したバブル期のリゾート会社やノンバンク<への融資が焦げ付いたことで負債が膨れ上がっていたうえ粉飾決算を行っていた。宏池会の宮沢元総理と知己があったという。
- 政治案件が強い銀行でもあり、ここが救済されて不良債権が顕在化しなかったことにより、政治家から瑠奈達に裏からお礼がなされた。[13]
- 債権銀行
- 元ネタは日本債券信用銀行。作中では長信銀行と同時に桂華ルールを適用し救済される。
- 史実ではもともとは朝鮮や中国東北部の中央銀行として設立された朝鮮銀行が母体で、終戦に伴ってそれが閉鎖されたのち残余財産を元に設立された国策銀行。主に中小企業への融資を担当していたが、バブル期に行ったノンバンクや不動産への融資がバブル崩壊で焦げ付いたことにより、3兆1500億円もの不良債権を抱え込んで結果的に破綻した。
- こちらも政治的案件が強い銀行で、史実では平成研究会の金丸信副総裁と深い繋がりがあったと言われている。
- 共鳴銀行
- 泉川内閣時代に桂華金融ホールディングス傘下に入り救済されたが、桂華ルールが適用された。元ネタはりそな銀行。
- 長信信託銀行・債権信託銀行・一山信託銀行→桂華信託銀行
- 長信・債権・一山各銀行の子会社であり信託銀行業務を行う、後に桂華金融ホールディングスが設立された際に合併する。
- ムーンライトファンドが海外で挙げた利益はともかく、日本国内で発生した利益には桂華院家分家の有象無象が手出ししてくる可能性があったため、橘・藤堂・一条の策として、瑠奈が日本国内で所持している企業の株や債権の配当金を入金している口座をここに設けている。
- 口座を開設した当初の利益は500億円(ちなみに公爵家のみの桂華グループの利益は100億円程度)であった。なお瑠奈自身はこの口座の存在は知らない。
- 赤松商事
- 下位総合商社の松野貿易と赤丸商事に、桂華グループの桂華商会を合併させた会社。史実のモデルは兼松貿易と丸紅商事。
- 酒田コンビナートの事業計画とムーンライトファンドの日本国内への資金の合法的還流のために資源ビジネスをする構想を聞かされた藤堂が、規模的に桂華商会では手に余るため業界下位の中小商社の買収を提案したことが設立のきっかけとなる。
- ムーンライトファンド資金で赤丸商事を買収した後に、松野貿易を桂華ルールを適用しつつ(日銀特融は除く)他銀行へ貸しを作る形のスキームで買収。どちらも不良債権がかなりの額で積み上がっており、アジア通貨危機で被害を被っていた。
- 帝西百貨店グループ
- 史実のセゾン・西武百貨店グループ。バブル期のレジャー・不動産への過剰投資で苦境に陥っていたが、DK銀行(史実の第一勧業銀行)を救う意味もあり桂華ルールによって救済され、赤松商事の傘下に置かれた(コクド・西武鉄道グループとは別)。
- 瑠奈が冬のキャンペーンのモデルの撮影に応じたところ、その広告キャプションの「小さな女王様」が綽名として広がっていくことになる。
- 桂華製薬グループ
- 桂華院公爵家が古くから所持しているグループ会社。本家本元の桂華製薬、そこから派生した桂華化学工業、桂華商船(原料を運搬する船会社)、桂華倉庫(原料や製品を保管する倉庫)、桂華海上保険(船舶保険)、桂華商会(原料仕入、販売先の開拓)を持っていた。後に桂華商会は桂華グループの赤松商事に吸収され、海上保険は桂華銀行ホールディングスの傘下に入ることになる。
- 桂華ホテル(旧:極東ホテル)
- 桂華院乙麻呂が設立したホテル・リゾートグループの極東ホテルの後身。瑠奈が最初に再建に関わったためこち、瑠奈が住居や経営的本部を置く九段下のビルの所有が桂華ホテルであることから桂華グループの本家本元という地位になる。不良債権物件を売却した後は、新宿・大阪・京都・名古屋・仙台・神戸・広島・福岡・函館・札幌に大型ホテル、北海道・沖縄・軽井沢に大型リゾートを保有するほか、レストラン船「アクトレス」号も所持している。帝西百貨店グループのホテルも移管されたが、瑠奈の手が入った以後は由布院温泉や黒川温泉の中型リゾート開発も勧めている。
- AIR HO
- 北海道が地元の航空会社。北海道経済を救うためムーンライトファンドが買収し、極東ホテル系の傘下企業として桂華グループ入り。
- アジア通貨危機で東南アジアのLCCが購入予定の飛行機が宙に浮いたところを赤松商事が購入してリースを担当することで機材コストを抑え、貨物便枠の活用、帝国空輸とのコードシェア(共同運行)、プライベートジェット仕様機[14]の富裕層向けレンタルなどの施策で赤字脱却を試みる。元ネタはAIR DO。
- 帝亜グループ
- モデルはトヨタ自動車グループ。戦後・いくつかの企業を買収してグループ化・財閥化した。二木財閥の外様に位置しているが資本力の大きさから半独立状態にある。
- リーザン・シスターズ
- 米国の老舗大手証券会社。元ネタはリーマン・ブラザーズ証券。サブプライムローンから派生した金融危機により、2008年9月15日に連邦破産法を適用し倒産した。史実のリーマン・ブラザーズ倒産はリーマンショックと呼ばれ、金融派生商品も絡んでいた[15]ことから全世界の経済に影響が波及した。
- KDK帝都歌劇団→桂華歌劇団
- 大阪に路線網をもつ関西電鉄グループ傘下の歌劇団。パパラッチを始めとする芸能方面からの非合法なアプローチから瑠奈の身柄の安全を守るため、芸能界とのコネクション構築を兼ねて買収した。以降は全国の帝西百貨店のホールで公演を行うことになる。
- 元ネタは宝塚、松竹に並ぶ三大少女歌劇団であった近畿日本鉄道傘下のOSK日本歌劇団。バブル時の過剰投資で近鉄は巨額の不良債権を抱えており、リストラの一貫として解散を決定した。史実では団員による存続運動が行われ、規模を縮小して活動を継続している。
- 北海道の劇団
- 瑠奈がファンの劇団で、深夜に放送されている旅番組もファンである。元ネタはTEAM NACSとCreative Office Cue。
- 総合百貨店
- 大手百貨店グループ。バブル期に出店拡大方針を取っており、新規出店の際の土地建物を担保として資金調達を行っていたことから、バブル崩壊以降は担保価値の下落に伴って膨れ上がった負債を抱えている。桂華グループが救済として帝西百貨店と合併させた。
- 元ネタはそごう。98年頃の金融危機時に前記の資金調達方式が完全に行き詰まり、貸し渋りによって資金繰りが立ち行かなくなったことで極度に経営が悪化した。史実では7&iホールディングス傘下となっている。
- 肥前屋
- 総合スーパーマーケット。DK銀行の不良債権処理の際、生贄となる形で貸し渋りにあい資金繰りに行き詰まったため帝西百貨店グループ入りした。
- 元ネタは長崎屋。史実ではドン・キホーテグループ傘下となっている。
- 湾岸石油開発
- サウジアラビアで原油の採掘権の権益を保有していた会社だが、権益の更新期限が2000年2月に迫っていた。しかし、サウジアラビアからの権益の更新条件が、鉱山鉄道の建設投資2000億円の確約であり、会社側が難色を示したため暗礁に乗り上げている。
- 未来を知っている瑠奈は会社ごと買収し、ムーンライトファンドから建設資金を出すことで原油の採掘権益を更新した。なお、買収した際に赤松商事傘下となる。元ネタはアラビア石油。史実では権益の更新はせず終了している。
- 桂華鉄道
- 鉄道持ち株会社。香川鉄道を購入する際に鉄道業を管轄する会社として設立された。京勝高速鉄道も傘下に納めている。社長は橘が就任した。
- 京勝高速鉄道
- 千葉県船橋市にある西船橋駅から八千代市勝田台にある勝田台駅を結ぶ第三セクター鉄道会社・鉄道路線。都心直結の地下鉄東西線(史実の東京メトロ東西線)と相互直通運転をしているため利便性は高く営業利益は高いものの、バブル期に建設したため建設費やその借入利子が高騰して莫大な長期借入金を抱え込んでおり[16]、その負債を返済するために運賃が高額となって利用者に負担を掛けていた。桂華グループはムーンライトファンドを通して自治体から株式を一千億円で購入し、運賃を値下げした。元ネタは東葉高速鉄道(東葉高速線)。
- 香川鉄道
- 元ネタは四国・香川県の地方私鉄だった琴平電鉄。総合百貨店の債務保証をしていたため連鎖倒産を避けるために桂華鉄道を作り、買収し傘下に納める。安全対策やサービス徹底がされてないなどガバナンスがいまいちだったようで、グループ入り後は徹底される。
- 新常磐鉄道
- 元ネタは東京都の秋葉原駅から茨城県つくば駅までを結ぶ、首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス。秋葉原駅から東京駅までの延伸と、地下鉄乗り入れのための資金提供のために三千億円を投資する用意がある模様。
- 四国新幹線
- 史実では未成線の基本計画線となっている新幹線。作中では整備新幹線となっているが、桂華鉄道が全額出資して建設することになった。まず、岡山から高松までを結ぶことを予定している。投資額は4000億円。なお飛行機には勝てると見積もられている。
- ドッグエキスプレス
- 中堅の運送物流会社。作中では配送事業部を鉄道貨物輸送と絡めている。元ネタはフットワークエキスプレス。史実ではコミケの配送も担うなどしていたが、倒産してしまう。シンボルキャラクターは犬であった。
- 越後重工
- 新潟県に拠点を持つ重工業会社。鉄道車両製作も得意としていた。泉川内閣時に桂華グループに救済されるが、岩崎重工から買収の提案があった。元ネタは新潟鐵工所。史実ではIHI傘下に入る。
- 四洋電機
- 業界下位の総合電機メーカー、桂華グループに救済される。元ネタは三洋電機。
- 史実では新潟県中越地震の半導体工場被災で保険金を掛けていなかったことが致命傷を受けたといわれている。創立当時の兄弟会社だった松下グループに吸収されるが、携帯電話や電池、一部の白物家電以外の不要な事業は中国企業(ハイアール等)に売却されることとなった。
- 鮎川自動車
- 業界2位の自動車メーカー。元ネタは日産自動車。淵上総理大臣から瑠奈にグループとして抱えて救済を打診されるが、瑠奈は自身が無理だと拒否し、史実通り外資に任せる代わりにつなぎ融資や下請けの救済として「桂華部品製造」を立ち上げることになる。
- 史実ではルノーの資本を受け入れ一部製造工場を閉鎖してリストラで赤字を脱却する。なお業績回復した後に復活した工場も存在する。
- 岩崎自動車
- 業界下位の総合自動車メーカー、岩崎グループの一員だったが、リコール隠し事件での裁定で鮎川自動車傘下に移り、鮎川自動車にうつった際に切られた下請けは桂華部品製造に吸収された。元ネタは三菱自動車。
- 史実では2000年に起きた三菱リコール隠し事件により壊滅的な打撃を受け、日産グループ傘下に移る。リコールは、自動車に不具合が発生した場合は国にリコールを届け出て、世間に発表し無償修理することが義務付けられているが、この事件では国に届け出ず、無償点検キャンペーンや車検時にヤミ改修していた。なお、このリコール隠しで不具合が原因で死亡事故が発生している。この事件は経済小説の題材ともなったほどの大事件だった。
- ゼネラルエネルギーオンライン
- アメリカの総合エネルギー取引とITを主に事業としていて取引していた企業。元ネタはエンロン。桂華グループにも食指を伸ばしており、カルフォルニア州の水事業において瑠奈に提案してもいる。岩崎自動車も債権を持っており、それをテコに桂華グループに介入しようとする。
- 史実では不正経理・会計操作による粉飾決算により破綻したが、負債総額も莫大であり世界にインパクト・ショックを与えるほどの衝撃を与えた。
- 古川通信
- 大手総合電機機器メーカー。IT土建とも。作中ではファンドの仕手戦に巻き込まれる。元ネタは富士通。古河グループの一社でスパコン事業では当時NECとともに開発に勤しんでいたが現在は一社で取り組んでいる。
- 帝国電話
- 桂華銀行団が古川通信の社長の解任を求めたところ、古川通信の社長が帝国電話の社長の親族であったことから桂華グループのシステム開発発注に対して受注停止に追い込む。
- TIGバックアップシステム
- 栄一、裕次郎、光也の三人が古川通信の株を売却して得た60億円と、瑠奈がポケットマネーから出した60億円を元手に設立したIT会社。ITバブルが崩壊した米国に拠点を置き、破綻したIT会社を買収した。日本との時差の関係で効率的に事業を回せるのが強みとなっている。社長は栄一、副社長は瑠奈。
その他
- 華族(かぞく)
- 作中では現代(2000年代)でも通用している制度。作中世界では「一代」制度が作られているようで総理大臣になると一代伯爵を授爵され、事務次官を歴任すると一代男爵が与えられるらしい。作中世界では戦後のドサクサで「不逮捕特権」が与えられたため、不正の温床になっている。なお不正の主な要因は脱税が多いらしい。
- なお、各家の法律である「家範」がありそれに沿ってトラブルは処理されるが、謹慎レベルから自裁まで大きく幅がある。
- 史実では1946年にGHQ指令により廃止されている。武家大名や大名の重臣、公家や神社・寺社系の家系(門跡寺院)、維新に勲功があった人物が授爵された。なお内閣総理大臣などになる場合でも授爵された場合があったり、優秀な人物を特旨をもって叙爵する場合もあったようだ。貴族院で各爵位の違いで任命されたり、互選して選出されたこともあったようだ。
- 明治から昭和にかけての戦前で、経済観念がない華族ではすでに華族の没落は始まっていたようで、家政に苦しんでおり、家政が上手だった尾張徳川家の当主に頼って家財の処分を図り美術館として立て直したところもある一方、没落して断絶した、または断絶する寸前(紀州徳川家など)、借金で首が回らなくなり、訴えられ有罪判決になり爵位を返上している家もあった。
- 戦後は、華族という制度が無くなったが、旧華族家の親睦団体として「霞会」という組織が設けられており、霞が関ビルディングのオーナーの一つでもある。
- 不逮捕特権
- 現実では、国会議員が、逮捕されるような疑いがあっても国会会期中には司法警察員(検察、警察など)から国会の許可の議決がない限り逮捕できないという事象を示す言葉である。
- 作中では華族が犯罪を犯した証拠があっても逮捕されない特権。起訴はできるかは不明。爵位によって何個か枠が増減があるらしい。出来た経緯は戦中のクーデターに原因があるらしい。華族が不逮捕特権を行使する犯罪は脱税が多いらしい。特権であるため国民からの不満は根強い。
- 家範(かはん)
- 華族が定めた自身の家中の規範(ルール)。作中では、憲法や法律に超越して、隠居から自裁まで認められている面があり史実から強化されている面がある。史実では、勅令である華族令第八条に基づいており、宮内省の宮内大臣に規範を届け出ると法的に保護されるというもの、つまり法的裏付けができたものであった。そのため法律の枠内に収まっている。その家範に反した場合、家督から排除される廃嫡や放逐なども行われている。戦後廃止された。
- 桂華ルール
- 経営危機の金融機関を合併するに当たって、瑠奈達が用いた救済パッケージ。
- 「相手先の役員は総退陣させる」「不正行為があれば当事者には刑事責任を取らせる」「簿外を含めた不良債権[17]は全額整理回収機構に送る」「金融市場の不安定化を避けるため、合併時に日銀特融を受ける」という四つの施策をセットにしている。
- 帝都学習館学園
- 幼稚園・小学部・中等部・高等部・大学部を抱える幼小中高大一貫教育の私立学園。学費が高いため、生徒は華族や政治家・官僚・財界人の富裕層子弟が中心。小中高大とも試験入学で幅広く受け入れているが、上記の事情から庶民層は限られるようである。高等部からは特待生として幅広く門戸を開いており、庶民層もある程度入学している模様。派閥として華族系が占められる雲客会、財閥系の競道会、政治家系の緑政会、官僚系の苗木会がある。元ネタはおそらく学習院。
- 九段下桂華タワー
- 旧債権銀行本店ビルの跡地に建設された瑠奈の本拠。地下階は地下鉄東西線の九段下駅にある専用ホームと直結し、一階は店舗、下層階は赤松商事資源管理部(実質ムーンライトファンド)のオフィス、上層階は桂華ホテルの高級スィートが入居しており、最上階は瑠奈の私邸兼オフィスとなっている。フロア構成以外のビル自体のデザインの詳細は不明だが、場所的に元ネタは北の丸スクエア。[18]
- 七家老
- 渕上首相が倒れた際に集まった立憲政友党の幹部議員と外部の有力者による会合の通称。事実上総裁選をせずに後継総裁を選出した。構成者は、泉川副総裁、林幹事長、鶴井政調会長、村下参議院議員会長、乃奈賀幹事長代理、赤城官房長官に加え桂華グループの橘を加えた7人。史実では5人組(森、亀井、村上、野中、青木)だった。
- なお、史実では宏池会の党役員だった池田総務会長は体調不良で欠席していたが、電話でその都度議事は伝えられており合議に同意したとされる。結果的に山崎派(近未来政策研究会)と旧河本派(番町政策研究所)だけ排除される形となり、後の党内対立の引金を引いたと言われている。
- 派閥
- 主に自由民主党内の国会議員グループを指す。政策集団、村とも呼称する。基本的には派閥のトップや幹部クラスのから総裁が選ばれ、首相に選出される。木曜日に定例会を行う事が多い。大枠では保守本流(吉田茂率いる旧自由党)、保守傍流(鳩山一郎率いる旧日本民主党)に大別できる。
- 保守本流系の派閥は、宏池会、平成研究会、志公会(元宏池会)、有隣会(元宏池会)であり、保守傍流の派閥は、清和政策研究会、志師会(元清和政策研究会)近未来政策研究会(元清和政策研究会)、番町政策研究所(現在は志公会に合流)がある。
元ネタ企業・人名
店舗特典SSまたは発売記念公開SS(ショートストーリー)
関連静画
既刊
原作
コミカライズ
関連項目
関連リンク
脚注
- *第二巻もプレスリリースから1ヶ月の延期となった
- *史実よりも選挙1回分早いタイミングとなる。
- *モデルは第二次クリントン政権
- *時価が原価割れした金融資産を、社内に設けた書類上の子会社に一時的に簿価で売却して、決算の間だけ本体の財務を健全に見せる手法。現代では粉飾決算の一種とされる。のちにリーマン・ブラザーズも同様の手法を用いていたことが知られている
- *大口の優良顧客に対して、運用利回り保証や損失補填を提供すること。必然的に、売買内容について顧客の同意を得ない一任勘定を伴うことから1991年の証券取引法改正によって禁止されたが、実態としてはそれ以降も慣習的に横行していた
- *史実では山一證券は北海道拓殖銀行の主幹事証券会社として紐付けられており、最後まで北海道拓殖銀行への資金供給を継続していたが、これも経営悪化の一因と言われている
- *このとき、桂華ルールにより一山証券の経営陣は再度の総退陣に追い込まれた上、旧経営陣に至っては刑事訴追を受け、逆さ合併で看板までも捨てさせられた。このため世間からは合併ではなく取り潰しと見做され、日銀特融の裏技適用に対する批判の声は挙がらなかった。なお、1997年に米国LCCのバリュージェット社が、墜落事故の悪評を払拭するために同様の方法を採ったことがある
- *高度成長期からバブル期くらいまでは、銀行、特に都市銀行の株式は下手な不動産や国債並みに信用度の高い優良資産と見做され、高い担保価値を持っていた。そうでありながら前二者ほど入手の敷居は高くなかったため、銀行株を購入してそれを担保に資金を借り入れる中小企業や自営業者は多かった
- *当然ながら、IT株投資で莫大な現金を握っていたムーンライトファンドあればこその手段である。なお、この後合併していく銀行や企業も軒並みこの応用で減資と新規資本注入を繰り返しながら吸収していったため、ムーンライトファンドが稼ぎ出したあぶく銭は片っ端からドブの中に消えていく状態となっている
- *さらに新銀行の頭取などの経営陣に大蔵省からの天下りを引き受けることまでやっている
- *銀行局としても、証券局が不良債権処理に成功した手前失敗は許されず、尻に火が点いた状況だった
- *さすがに、自力で立て直した極東銀行の取り分は瑠奈たちに保証されていた
- *内閣情報調査室からの監視が外れた
- *ビジネスジェット仕様だが、小型とは言え双発旅客機(B737-700ER)が素体なので、内装は「空飛ぶホテル」とでも呼ぶべき大変豪華なもの
- *負債額が63兆円と余りに巨額で、CDS(債務保証保険)の支払いが大量に発生したために保険会社が連鎖的に破綻し、保険の支払いを受け損ねた投資家達が損失処理や当座資金を確保しようと資産を売りまくったことで、株式・国債・資源先物・為替・不動産などありとあらゆる相場が世界中で大暴落し、それらを担保としていた融資が焦げ付いてさらなるCDSの清算が発生し、と負のスパイラルが一気に回った
- *史実では土地収用委員会が機能していなかったのも原因となった
- *合併の際に保有資産は全て時価で再計上されるため、単に「時価が取得価格を割り込んだ不動産」のようなものは、その時点で資産価値がリセットされて不良債権ではなくなる。ここで処理されるのは、そもそも回収の見込みが全く立たないまま塩漬けにされていた融資のようなどうしようもない案件である
- *現実では一階はファミレスとコンビニとコーヒーショップ、下層階はメルク(外資系製薬会社)と野村総研のオフィス、上層階は高級賃貸マンションとなっている