現実改変の問題点
収容上の問題
現実改変者はとにかく何から何まで改変できる (ことが多い) 。どんな脅威であっても――核兵器、生物兵器、化学兵器、その他一般に人間にとって脅威であり得るもの、そしてアノマリーであっても自分の思うままに作り変えたり、消してしまったりすることができる。笊に水を貯めておけないように、彼らにとっては自分の意識さえあればすべての脅威はないも同然なのである。
仮に彼らと友好的な関係を築けているのであれば――なお警戒せよ。なにしろ、それはすなわちあなたが彼らにとって都合のいい存在に成り下がっていることを示すからだ。
故に、彼らの意識を恒久的に喪失させる=殺害することが唯一無二の手段であるのだ。
なお、現実改変者は意識したものであればいくらでも対処できる。そのため、対現実改変者の終了施行ではとにかく現実改変者の意識の外からいきなり銃弾を脳幹に二発撃ち込むなど、気付かれずかつ速やかに事を終えることが要求される。
ただし、ごく少数の現実改変者は意識がないときでも現実改変を限定的に起こせることが知られている。
作劇上の問題
現実改変者はとにかく何から何まで改変できる。これはすなわち、どんなに強いアノマリーが来ようともそれに勝ってしまうということでもある。これをそのまま残すと、物語が非常に陳腐になってしまう。このため、現実改変者がそのままアノマリーとしてカウントされるには、物語としての厚みを要求される。SCP-3480 (オリンポス山) や SCP-239 (ちいさな魔女) が現在でも生き残っているのはその物語性こそが主要因といえる。単に強いだけなら脳幹に2発銃弾をくれてやるのだ。
――とはいったものの、SCP-682 (不死身の爬虫類) やSCP-076-2 ("アベル") は現実改変に対しての耐性があることも知られている。現実改変ごときに負けるようでは最強の壁は超えられないということなのだろうか。
現実改変者の段階
現実改変は世界オカルト連合によれば、以下の4段階を辿るとされている。
Phase 1: 拒否 (Denial)
最初の段階では自分が現実改変能力を有するなんて信じられるはずもなく、なにかの偶然であると信じ込んだりするなど合理的な理由をつけて自身の能力の存在について認知を拒絶する。いくつかのケースではここで終了し、当然財団や世界オカルト連合といった正常性維持機関も気づくことなく終わる (そうそう都合よくカント計数機なんか持っていないからだ) 。
だが多くの場合は次のフェーズに進む。
Phase 2: 実験 (Experimentation)
自分の能力について知った後は、それがどれくらいのものなのか、試してみようとする。例えば、おもちゃのコインを貨幣に変えたり、ボロボロのカバンをブランド物に変えたりするなどである。
暫くの間はこのフェーズに留まるが、じきに次のフェーズに進むことになる。
Phase 3: 安定 (Stability)
このフェーズにおいては、彼らは能力の境界を決定し、それにともなって自身の現実改変能力の制御を行うようになる。
そして必要に応じてのみ能力を使用し、普通の日常を維持しようとする。場合によっては、能力を使用することさえやめてしまう。しかし――
Phase 4: お子様神 (The Child-God)
哀哉、結局多くの現実改変者は自制を失い、幼稚な全能感に身を委ね、とにかく堕落し世界を好き勝手に歪曲しだす。
こうなってしまっては、もはや脳幹に二発の銃弾をくれてやるより方法がなくなるのだ。
SCP-019-JP (普通のボノボ) などはあまりに典型的な例と言えよう。こいつは自身の全能性に溺れ、数多くの窃盗、暴行、殺人、強姦、[削除済]を繰り返し、それを糾弾されると癇癪を起こす残忍で幼稚で女性蔑視のきらいのある男であった。