男女平等(だんじょびょうどう)とは、男性と女性が平等であること。
一口に男女平等と言ってもいろいろな考え方が存在する。
なお、日本国憲法の14条では以下のように記されている。
すべて国民は、法の下(もと)に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
平等主義は、長らく人間の欲望として潜在的に存在したと言える。古代ギリシャ社会から、キリスト教、仏教、そして近代化以降へと。但しそれはいずれも、成年男子や信者の間、もしくは国民国家の一員として枠組みの中にいる者のみの平等主義であったとも言える。そして現在も資本主義に合う限りにおいて、具体的には労働の場面、という足かせは残っている。社会制度と密接に関連しているので、あらゆるものが平等主義と衝突するし、乗り越えるべきものともされる。
有史以前から、人間は主に二つの性を持っていた。男性と女性である。絶対的ではないが、生物学にはX染色体とY染色体を持つ者が男性、X染色体だけ持つ者が女性と呼ばれる。他に性器の形や髭の有無などで判断される。但し、生物学的な性(SEX)だけでなく、人間が社会的生物であり、制度的な側面を持つので、社会的な性(ジェンダー)と呼ばれる性もある。また性的志向(好きになる相手)と性的自認(自分が思う性)もあり、正確には男女二分法は機能しない面もある。
とはいえ、今も男女二分法は機能している。それは歴史的にその当時の強い男性ないしは女性に都合いい社会が構成され続けてきたからである。これと平等主義は衝突する。武力が物を言う世界では一般的に筋力のある男性が正しいとされる。その社会に準じて文学や芸術も男性が行う事が多かった。日本では漢文が男性のもの、ひらがなが女性のものとされることもあった。しかし文学面では、女性の活躍も皆無ではない故に、社会変革に先行して女性の書く文章が存在することもある。
政治的には、国民国家成立後が問題になる事が多い。啓蒙思想の表れであるフランス人権宣言も、男性市民が主語で書かれているなど、男子普通選挙権が当初の国民国家のスタンダードであった。これに女性が反抗する事は、当のフランスやアメリカ、イギリス、日本でも起きている。ここからが男女平等の始まりとされることが多い。その始まりは参政権であったが、人権概念が経済の自由から社会権、アイデンティティへと移行するのと軌を一にして、男女平等も変遷している。また国や地域、社会構造によって、全ての問題はパラレルに存在しているとも言える。白人女性が黒人男性と女性を搾取する(奴隷制度)こともあるし、キャリア的に成功した女性が貧困にあえぐ者の犠牲の上に立っている事もしばしばある。また女性がキャリア的に成功するためには、育児や出産をする事は許されず、一般的な男性に沿った労働環境、つまり長時間労働と低い賃金を甘受してキャリア形成をするしかないこともある。
男女平等はかつては強い男性像というのが確固としてあった故に、その男性像を支える人命を尊重しない社会を変えるという目的が比較的分かりやすく受け入れられた。しかし社会自体が複雑化、多様化してきた現在、変えるべきものが多変数化してしまい、目的達成が困難になっているとも言える。そもそも生物学的に男性ないしは女性であるからといって、ジェンダーや性的志向は固定化されないし、大衆消費社会である以上は、欲望も多様である。画一的な問題設定は受け入れられない。
あらゆる属性について言えることだが、もう女性というだけで政治的権利はない、経済の自由もないと言えるほど社会は後退出来ないところまで来ているので、他の差別と同様に粘り強く対話を積み重ねて、合理と不合理を検討していくしかないだろう。
昨今の日本では、前述のような男女平等な社会を目指す「男女共同参画社会基本法」などの法律が制定されていて、教育現場や企業活動などにおいて是正が進んでいるとされる。かつては姦通罪というのが女性差別的なものとしてあった。強姦罪は男性被害者にとって救いがなかったが、現在は強制性交等罪となり、男女問わず加害者を罰する。
国政においては、平成23年度の全体の歳出のうち10兆円前後が男女共同参画社会の関連事業に割り当てられている。毎年変動があるが、平成29年度も8兆円計上されている。但しこれは「男女共同参画社会」の部門に10兆円渡しているわけではなく、あくまで国庫の歳出の中で「男女共同参画社会」に関係がありそうな部門に出している予算である。その内容としては、女性に対する相談室やカウンセラーの設置、雇用機会是正のための助成金といったものから、国民・厚生年金などの高齢者対策、薬物乱用防止事業、はたまた多くの大学生がお世話になっているであろう日本学生支援機構の奨学金といった、一見「男女平等」のソレとは関連が薄そうなものも含まれている。また、政治分野や司法分野への女性参画拡大など、男女平等が進んでいない分野については予算がゼロなど、実質的には対応できていない点もある。総額では社会保障費(年金、医療等)で膨らんでいるようで、社会改革という意味では遅れているとも言える。但し、役所の資料はえてして予算と中身が必ずしも一致しないので、実際の事業まで見ないとわからない。
政治分野におけるジェンダーギャップ指数は144位中104位である(2016年)。
教育現場における是正として代表的なものは、中学・高校の技術・家庭科の男女両方における必修化がある。戦後すぐは男女とも家庭科ないし技術のどちらか一方を選択し履修するシステムであった。しかしその後家庭科の履修者が著しく減ったことから、女子学生のみ家庭科が必修化されることになった。現在では女子差別撤廃条約の批准などに伴い、技術・家庭科とも男女両方の必修科目になっている。尚、小学校では戦後から今までずっと家庭科が全児童必修科目になっている。
制服は最も分かりやすい男女規範の表れである。以前は制服廃止運動もあったが、現在は制服がファッションとして浸透した結果、逆に制服を着る事で個性化しようとする人たちもいる。但しファッションは必ずしも全世界共通ではないので、例えばスカートも日本では女性特有とされるが、スコットランドでは”スカート”(キルト)は、男性の民族衣装である。また性自認が女性の生物学的に男性である人や逆のパターンの人、総称して性別違和のある人達は、見た目の性別だけで服装を決めつけられるのを嫌う事がある。ランドセルについては、今では自由化されつつあるが、一昔前は男子は黒、女子は赤と決められていた。まだまだ教育の世界は旧態依然とした性規範がまかり通ることもあり、子供のこころの成長と合わない結果、自殺してしまったり、不登校児童を生むこともある。
部活動や体育の授業でも根強い男女の区別はある。一般的に男女で能力差があるのはやむを得ないのは前提としても、男女別チーム以上に、男女で違う競技を教えること(男性なら柔道剣道、女性ならダンス)が常態化しており、個人の関心に応じた教育が受けられないこともある。
性教育がないがしろにされることで、男女の間で身体に関する科学的な知識が共有されないこともある。アダルトビデオやエロ漫画、一部のウェブページが性知識だという男性もいる。女性もそんな男性からセックスを求められた結果、重大な怪我を負うこともある。
教育分野におけるジェンダーギャップ指数は、144位中76位である(2016年)。
企業活動においては男女雇用機会均等法に基づき、「男性のみ」「女性のみ」の雇用が禁じられているほか、職務の割り当てや昇進などにおいて差別をしてはならない。ただし女性の場合、母体を保護する立場から肉体労働や放射線被ばくについては制限がかけられている。これは女性の雇用機会を奪うと同時に、男性に危険な仕事を押し付けたままであるともいえ、今後においても無視できない課題である。
加えて、採用の際に一定の女性専用雇用枠を確保し、職場における女性の割合を増やそうという「ポジティブ・アクション」と呼ばれる動きもある。これは「女性が働いている」という前例を作ることにより女性の就職・昇進のハードルを下げたり、労働意欲を刺激して人材の質を向上させることを目的としている。しかしそれによって男性の雇用機会が理不尽に削られてしまったり、女性に対する雇用や昇進のハードルが極端に下がってしまい、人材の質が下がる恐れが指摘されている。女性の管理職が少ない事は指摘される。その場合、女性上司が少なくロールモデルがいない、上司になると家庭との両立がしづらくなる等の声が女性側から上がる。
近年では、女性自衛官(普通科、特科などを含む)や女性消防士、男性の看護師や保育士なども目立つようになった。現状ではいずれも精々全体の5%くらいに満たないが、割合は漸増傾向である。
経済分野におけるジェンダーギャップ指数は、144位中118位である(2016年)。
日本は先進国の中で、特に男女差別の強い国であるという認識が存在する。2012年10月に公表された世界経済フォーラムの男女平等度ランキングによれば、日本は135カ国中101位と言われている。2016年現在は144位中111位である。
このランキングは「健康」「教育」「雇用」「政治参加」の四つの観点から、調査国における男女の有り方を評価している(女性専用車やレディースデーなどの待遇の差は考慮していない)。日本は「健康」と「教育」における数値は優秀であるものの、「雇用」と「政治参加」の評価がかなり低く、結果としてランキング中かなりの下位に属している。
”平等は利益や権利の平等であり、義務や負担の平等でもある”ことが社会的な合意事項となっておらず、世間一般で語られる男女平等が女性から見た利益、権利等の平等に限られ、事実上の女性優遇となっていることが問題視されている。”現実が理念に追いついていない”のではなく理念自体が(おそらくは意図的に)歪められているため、過渡期の現象と楽観視できない懸念を含んでいる。男性は童貞であることが、恥とされる。時に妻帯者でないことが管理職候補と見なされない事もある。逆に主夫や家庭を重視して仕事を休む人は企業や勤め人から軽視される傾向もある。
一方で女性の職場進出と比べ男性は「男性は働いて家計を支えるもの」「女房子供を養えない男は甲斐性無し」など旧来の役割分担上の責務や社会的要求から未だ解放されていない現状もある。
現状においても特定の職業の中には、男性が優先的に雇用されたり、女性が雇用されても昇格出来ない場合がある。これは女性が妊娠期間中何か月か働けない時期があること、寿退社など企業側の負担があること、セクシャルハラスメント等の社内での犯罪の危険回避から雇用しづらい場合と、圧倒的に男性が多い前例から女性が身体的に男性に遅れを取るのではないかと思われる場合である。この際には、疑似科学的な個人差を無視した判断が下される場合も多い。また、女性が今まで与えられなかった権利を主張し、それが認められる過程で過度な権利が与えられ平等ではなくなってしまう事も多い。女性は処女である事が神聖視され、非処女が叩かれる事がある。
男女の身体的能力差は現実に存在するにもかかわらずそれを本人が認めないが故に問題になる場合も多い。
男女平等ならこの時点ではどちらが悪いとは言えない筈ですがコメントは…
掲示板
2446 ななしのよっしん
2024/11/04(月) 02:50:50 ID: 1iGbqmdHdc
合計特殊出生率は子育て支援の手厚い東京や近郊の首都圏よりも、
ロクな子育て支援のない地方の方が高いってデータ?
そして、その「女性が活躍している」地方の方が女子の大学進学率が低い
(逆に未だに専業主婦ができている女性の率が高い地域は、女性の大学進学率も高い)
これらを合わせてしまうと、むしろ女子枠推進を主張している人らにこそ不都合な現実が浮かび上がるのですが、それは…
2447 ななしのよっしん
2024/11/04(月) 04:59:51 ID: xhW6KPWmvA
>>2443
女子枠、女子限定奨学金、女子限定家賃補助、女子限定食費援助、女性限定研究職公募
企業に女性社員の管理職比率公開の義務付け、男女共同参画基本法etc
こんだけ色々女子支援の制度があるのに根拠は?の意味が分からん、見りゃ分かるだろ
>>2444
>また、15歳から29歳という日本の第一子平均出産年齢30.4歳(平成25年数値・厚生労働省発表)にとどかない年齢層での、女性労働力率と出生率との間にも相関が見られなかった。
>しかしながら、第一子出産後から子どもが大学院を卒業するくらいまでとみられる30歳から59歳の年齢階層においては、女性労働力率と出生率との間にははっきりと「中程度の正の相関がある」ことが判明した。
これは要するに子供が生まれたから費用を稼ぐためにパートに出る、という事を示しているわけでしょ
子供が産まれたから女性が働くという話であって働く女性が増えると子供も増えるという事を意味しない
「女性が社会進出すると少子化に
(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
2448 ななしのよっしん
2024/11/04(月) 06:04:50 ID: ffQ3tzc3Ly
あ、ちなみに今年4月1日には困難女性支援法が施行されたよ
コロナ禍後半の2022年に交付された法律だけど
急上昇ワード改
最終更新:2024/11/08(金) 12:00
最終更新:2024/11/08(金) 11:00
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