畠山義就とは (ハタケヤマヨシナリとは) [単語記事]

畠山義就（1437～1490）とは、室町時代に活躍した武将である。

義就の出生

管領・畠山持国の子にして応仁の乱の最大のチャッカマン。山城・河内・越中・紀伊守護。次郎。伊予守。右衛門佐。初名は畠山義夏。

彼の父親である畠山持国は畠山氏の当主であったものの、足利義教ににらまれ、異母弟の畠山持永に家督を取り換えられていた。しかし、嘉吉の乱で義教が亡くなると、管領・細川持之の手によって義教ににらまれた人々の恩赦が行われる。こうして持国が復帰すると持永派との争いが始まる。しかし情勢はあっけなく持国派有利で進み、持国は復帰に成功した。しかし、家臣団の統率は次第に乱れ始めていたのである。

畠山持国には当初子供がおらず、さらに畠山義就が生まれた後でも妾腹だったために、持国は義就を石清水八幡宮の社僧とし、弟の畠山持富を後継者としていた。というかここだけの話、畠山義就の母親は諸侯の間を転々とする妾であり、信濃守護・小笠原持長も同母弟とされるほどで、義就が家督を継ぐことに難色を示す視方も多かったのだ。しかし1448年に持富は廃嫡され、義就が正式な後継者として認められたのである。こうして同年に元服して幕府に出仕し、1450年に家督を継いだ。

反義就派との対立

しかし、1454年、当たり前といえば当たり前だが事態は急変する。すでに亡き畠山持富の子・畠山弥三郎（畠山義富？）を擁立した家臣団が反乱を起こしたのである。義就は父・持国とともにこの反乱を抑えるが、8月に細川勝元が弥三郎を家督に据えることを支持したのである。この背景には当時の政情が細川派と畠山派で対立していたこともあった。

こうして畠山義就は父・畠山持国とともに伊賀に没落するが、12月に足利義政の支援を得て、家督に復帰。1455年に持国が亡くなるのと同じ時期に、彼は右衛門佐に任じられ、義夏から義就にこのタイミングで改名した（この記事ではややこしいのでずっと義就で来たが）。この背景には守護クラスの後継者争いに介入し、将軍権力を伸長させようとする義政のねらいがあったともなかったとも。
こうして義就は領国へ下り、弥三郎派の討伐を進めていった。さらに大和に進出し、筒井氏らを追い払っていったのである。こうした大和への軍事介入は次第に義就への義政の信頼を減じていった…。

ここで、弥三郎派のために政界を追われていた山名宗全が復帰する。さらに畠山義就が足利義政へのパイプ役として頼んでいた三魔の一人・今参局が失脚したのである。こうして細川勝元、山名宗全の支援を得た弥三郎派は1459年に赦免。弥三郎は直後に亡くなったものの、代わって弥三郎の弟・畠山政長が家督を継いだのである。義就は隠居を命じられ河内若江城に下国し、加えて討伐軍が送られた。しかし、義就の抵抗はしぶとく、嶽山城に立てこもり、1463年に落城すると、大和の吉野に潜んでいった。

復権と応仁の乱

しかし、1463年に実母の日野重子が亡くなったとして、唐突に斯波義敏らとともに畠山義就は足利義政から赦免されたのである。さらに翌年にも再度赦免され、義就は依然吉野に潜んでいたが、状況は変わりつつあった。そして義就は1465年の挙兵の際に援助されたことにみられるように、斯波義廉と連携。さらには赤松氏旧領をめぐる対立などから山名宗全が大内氏や畠山義就への援助を始める。

こうして1466年に、ついに畠山義就は動く。河内方面に進出したのち、山名宗全を通じて再度赦免を認めさせる。そして文正の政変の余波もあり、1467年1月には家督に復帰したのである。さらに1月18日、上御霊社に立てこもった畠山政長を攻撃する。応仁の乱の始まりである。義就は山名宗全を中心として、斯波義廉、土岐成頼、一色義直らと西軍を結成。5月から戦いは京中に移っていく。8月には味方の大内政弘の大軍勢が到着し、一気に攻勢を仕掛けていくのである。

義就の最期

ここからの戦いの詳細は応仁の乱の記事を参照してほしい。ともあれ、1477年の終戦後、畠山義就は河内に下国し、大和や和泉にも勢力を張った。これに対し細川政元、畠山政長らの軍勢が差し向けられるが、政元とは早々と和睦し、政長に対しては優位に立っていった。1486年には足利義尚から赦免されるが、帰京できず、晩年は病気がちで1490年に高屋城で没した。