百武賢兼とは (ヒャクタケトモカネとは) [単語記事]

「百武賢兼」（ひゃくたけ・ともかね 1538 ～　1584）とは、肥前の熊・龍造寺隆信より

「その武勇百人に勝る（自若年武封百人因慈可禰）」

として「百武」の姓を賜った知勇と忠義と信義を兼ね備えた名将であり、龍造寺四天王及び両弾二島にその名を連ねる勇将であり、沖田畷の戦いで龍造寺隆信に殉じた忠臣。

名は「百武」であり「百式」ではない。

龍造寺四天王

成松信勝

百武賢兼

木下昌直

江里口信常／円城寺信胤

両弾二島

大村弾正

犬塚弾正（犬塚鎮家）

百武志摩守（百武賢兼）

上瀧志摩守（上瀧信重）

概要

清和源氏・源義家の子・源義隆の孫・戸田信義を祖とする戸田氏の戸田兼定の子に生まれる。始めは戸田兼道を名のった。

父の代に龍造寺氏の家臣となり、祇園原の戦いで龍造寺隆信の父・龍造寺周家ら主だった龍造寺一族と共に父・戸田兼定が戦死すると、龍造寺隆信・龍造寺政家親子に仕えて、植木合戦や多布施口の戦いや今山合戦で剛勇を振るって戦功を上げる等、龍造寺隆信に従って各地を転戦した事から、龍造寺隆信の旗本の中でも武勇に優れる四名、所謂「五人揃って龍造寺四天王」の一人に数えられた他、「弾正」と「志摩守」を名のった二名ずつの勇将を讃えた「両弾二島」（二人の弾正と二人の志摩）の一人にも数えられ、その武勇を讃えた龍造寺隆信より「百武」の姓を賜り、百武賢兼と名を改めて「百武」姓の一族の始祖となった。

領地経営や重要拠点を守るディフェンスに定評があった事から、龍造寺隆信の居城・佐嘉城と柳川城の間に位置する蒲船津城を任せられ、田尻鑑種が龍造寺隆信に叛いた際は田尻鑑種の一族を説得して開城させ、田尻鑑種を降伏させたりする等、知勇に長けていた事が伺える。

龍造寺隆信が、柳川城欲しさに放浪時代に世話になった亡き蒲池鑑盛の子の蒲池鎮漣ら蒲池一族を抹殺すると、信義を失って龍造寺家は滅ぶと予見し、百武賢兼の予想通りに田尻鑑種や黒木家永や有馬晴信らが龍造寺隆信の信義に悖る行為により離反し、島津義久と手を組んだ有馬晴信討伐の為に龍造寺隆信自ら参戦した沖田畷の戦いに竜造寺四天王五人の一人として、百武賢兼は龍造寺隆信の本陣の護衛を務めて従軍した。

戦国最強の釣り師・島津家久により龍造寺軍全体が瓦解し、本陣の龍造寺隆信の元へと島津の兵が殺到すると、百武賢兼は龍造寺隆信を逃がす為の盾とばかりに踏みとどまって勇戦し、40名程の従者と共に全員討死した。

※その他「百武賢兼」の詳細についてはＷｉｋｉｐｅｉｄiaの該当記事参照の事。

女傑「円久尼」

百武賢兼の妻は今泉長矩の娘で、旦那に負けず劣らぬ大力で荒馬を乗りこなし、大薙刀を得物に戦闘にも参加する女傑であったと言われており、二人の仲は龍造寺隆信が取り持ったと言われている。

百武賢兼が、蒲池鎮漣を謀殺して放浪時代に世話になった蒲池鑑盛の一族を抹殺しようとする龍造寺隆信の態度に納得いかず柳川の戦いへの参加を拒んで自宅でニートしていた際に、鎧を投げつけて百武賢兼に出陣を促した。

※放浪時代の龍造寺隆信に助力を惜しまなかった蒲池鑑盛の一族に対する信義に欠ける行為に、

こたびの鎮漣ご成敗はお家を滅ぼすであろう

と言って大泣きした百武賢兼はついに出陣することはなかった。

百武賢兼が沖田畷の戦いで龍造寺隆信を守って戦死を遂げると、髪を下ろして尼になり、亡き夫の居城・蒲船津城の城主の務めを果たして、筑後奪還に攻め込んできた立花道雪と高橋紹運と言う大友家の猛将二人を相手に戦い、城を包囲される中で数少ない城兵を督励し、偽兵の計と円久尼の縦横無尽の活躍の果てについには撃退した。