石切丸(刀剣乱舞)とは (イシキリマルとは) [単語記事]

石切丸(刀剣乱舞)とは、ブラウザゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』に登場する刀剣男士である。

イラストレーター：細越裕治　／　CV：高橋英則

概要を使った祈祷を？ああ、違うのか

石切丸という。
石をも斬る神刀、とは言われるけれど、もっぱら腫れ物や病魔を霊的に斬ることが多いな。
何せ、神社ぐらしが長いものでね。いくさよりは神事のほうが得意になってしまったよ

（刀帳）

石切剣箭神社の御神刀。
この刀剣自体が御神体であり神社暮らしが長いためか、外の世界には少々疎い。
実のところ切れ味よりも、腫れ物治療・病気快癒などの力を期待される。
優しい眼差しで皆を見守っている。

（刀剣乱舞絢爛図録）

刀種は大太刀。刀派は三条。

緑を基調とした狩衣に烏帽子を被り、浅沓を履く、いわゆる神官風の戦装束を纏う。また内番衣装は幅広の帯を締めた和装となっている。
よく見ると瞼に紅を履いているが、これは目から悪いものが入らない為の魔除けを意味する化粧「目弾き」である。

気性は穏やかで、普段は大変おっとりしている。
また装い通りに元は神社に祀られる御神刀である事もあってか、「病気治癒がお望みかな？……おや、参拝者ではないのか」「参拝客が来ないというのは、新鮮でもあり退屈でもあり……」などとのんびり口にする。
包容力を感じさせる台詞から、審神者からは往々にして「先生」だの「パパ」だのと呼ばれることも。

本人曰く「いくさよりは神事のほうが得意になってしまった」とのこと。
しかし武器としての本分を忘れたわけではなく、初期実装の全刀剣男士中で機動＆偵察ワースト・打撃トップ・衝力３位という、トップクラスの超・攻撃特化型である。
機動については初期から特になった後もほとんど上昇せず、博多藤四郎(刀剣乱舞)の64に対し、石切丸は13という段違いの足の遅さで、これはしばしばネタにされる。一方で、複数の敵を同時に攻撃できる大太刀の特性もあり、火力もあいまって頼もしい戦力になる。

戦の中で傷ついても「平静を保たねば……」「平常心、平常心」と自分を落ち着かせようとするが、本気を出して真剣必殺を繰り出す時には激昂し、「この、罰当たりめ！」と大喝する。
ちなみに真剣必殺になると片脱ぎになるが、普段はちゃんとアンダーウェアを着ていることが、図録および公式絵師のTwitter上で判明している。

にっかり青江(刀剣乱舞)と共に出陣させると回想が発生。
霊と言えど幼子を斬った為に神剣にはなれないとされた青江に対し、「何百年かすれば、またかわるかもしれないよ」と優しく声をかけた。

極実装

2018年 12月29日、コミックマーケット95の広告にてシルエットが初公開。「太太刀極はじめました！」というタイトルに対して「冷やし中華か！」とツッコミが多数寄せられ、その日のTwitterで「冷やし中華」がトレンド入りする珍事があった。冬なのに。

ツイートを読み込み中です
 https://twitter.com/tkrb_ht/status/1078803727501250562

その後2019年 02月26日、蛍丸(刀剣乱舞)と共に極が実装。レア度の上昇に伴い刀装のスロット数が一つ追加された。Lv80で修行に出す事が可能。
大太刀極の特徴として「一定の確率で攻撃力が２倍になる」仕様が追加され、発生した時には青い斬撃のエフェクトが入る。またステータスは全体的に上昇し、特に打撃・統率が大きく上昇している。

修行に出向いた先は、自身が奉納されている石切劔箭神社だった。「御神刀をやってる時が一番しっくりくる」というのがその理由。
そこで己の姿を省みつつ、御神刀である時期が長すぎたと告白。戦よりも参拝者の厄や病魔を断つ事に納得せざるを得ないと手紙にしたためる。しかし付喪神として審神者の下で戦ってきた事と、御神刀である事は矛盾しないと悟り、両者を「切り離して考えるのがよくない」と結論を出す。
人に仇なすもの、歴史に害なすものを斬る事に乖離はないと語り、帰還を果たした。

全体的にデザインは大きく変わらない。左肩や腰回りに防具が追加され、よりいくさ刀としての側面が強くなった。
おっとり穏やかな気質もそのままで、優しく審神者の事を気にかけてくれる。近侍に据えると「体調を崩すのは不摂生が原因。まずはそこを是正するべきだね」「本業に励むのもいいが、熱中しすぎはよくない。平常心あってこそだよ」と、こちらを嗜めながら気遣ってくれている事が再認識できる。
ボスマス到達時には「神頼みだけで戦は勝ち得ない。皆、気を引き締めるんだ」、誉獲得時には「これに驕らず、今後も励まないとね」と、あくまでも謙虚。尊い。
戦においては毅然と敵に立ち向かい、「厄災、断つべし！」と本領を発揮。真剣必殺では「神刀への狼藉の報い、その身に受けよ！」と鉄槌を下す。
そして刀剣破壊時には「私がいなくなっても、日々節制を保ち、よく、生きるんだよ。災厄は、私が引き受けていくから……」と、最後まで審神者の事を気遣っており、愛情の深さが伺える。破壊ダメ絶対。

大太刀極の中では打撃・必殺が1位となっており、頼もしさは相変わらず。機動については変わらず刀装や馬で補っていく必要があるが、スロットが１つ増えたのは大きい。

逸話を思い出さないとねえ。

大阪府東大阪市の石切劔箭神社（いしきりつるぎやじんじゃ）に伝わる宝刀。
この神社は地元では「石切さん」、でんぼ（腫れ物）を切って治してくれるという伝承から「でんぼの神様」とも呼ばれ親しまれている。

神社の伝承によれば、平安時代の刀工・三条宗近作とされる。
なお茎に入っている銘は「有成」。宗近の子とも、宗近が改名する前の名ともされるが、他に在銘作が確認されておらず、詳しい事は解っていない。

ゲーム内では大太刀だが、刃長は76.1cmと、実は三日月宗近よりも短い。その為、初めて実物を目にした審神者が驚いたという感想がよく聞かれる。

神社の創建は伝承によれば神代（皇紀2年）であり、極めて古い。また数度羅災して記録が焼失しており、刀剣の由来は不明。
昭和14年（1939年）に重要美術品の指定を受けている。過去に流出したが、その後買い戻されて神社に戻ったと伝わる。

常設展示はないが、春と秋の例大祭に合わせて、宝物殿（穂積殿宝物館）において一般公開される。

2018年 9月29日～ 11月25日、京都国立博物館の「京のかたな　匠のわざと雅のこころ」に展示（後期のみ）。ゲームとのコラボで等身大パネルおよび描きおろしイラストが別館で展示、グッズも販売された。

2019年 3月26日、石切劔箭神社が改元奉祝および御祭神の佩刀とする為に作刀当時の石切丸を復元、矢筒と共に奉納する事を目的とし、クラウドファンディングが開始。ゲームもこれに賛同して多くの寄付が寄せられ、開始から3時間45分で目標額の1000万円を達成。最終的に7976万円（達成率797％）、パトロン総数は7,982人となり、大きな話題となった。
4月より河内國平刀匠による作刀が開始。写しの作刀にあたり、本歌である石切丸の茎尻の錆と和釘、玉鋼を材料として使用。更に鍛錬の為の火造りは神社の御神木を松炭に混ぜ使用する。
奉納は2020年（令和2年）5月17日を予定。

補遺

「石切丸」（石切）の名を持つ刀剣は複数存在する。
例を挙げれば、源氏の棟梁・源義朝の長男で「悪源太」と呼ばれた源義平の佩刀が「石切」と伝わっている。

嫡子悪源太義平は生年一九歳、練色の魚綾（ぎょりょう）の直垂に、八龍とて胸板に龍を八つ打て付たる鎧を着て、高角（たかづの）の甲の緒をしめ、石切と云太刀を帯、石打の矢負、重藤の弓持って、鹿毛なる馬の逸り切りたるに鏡鞍置せて、父の馬と同頭に引立たり。

（平治物語）

源義平はこの石切を携え、保元の乱の前哨戦・大蔵合戦に勝利し、剛勇な武将と恐れられた。しかし平治元年（1159年）、平治の乱において源氏が敗れると、義平は落ち延びる途中で石切を「青葉の笛」と共に他者に託したという。
翌永暦元年（1160年）、捕らえられた義平は京・六条河原にて斬首に処されたが、太刀取りに当たった難波経房に向かい、