破産 単語

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破産とは、裁判所の命に従い債務者の資産債権者に分配する制度である。

転じて、各種ゲームでは持っている資産が枯渇し、ゲームが続行できなくなりゲームオーバーになることをすことがある(例: モノポリー)。

概要

破産の手続きにより何が起きるか簡単に説明すると、

  1. 手続き中は、各債権者からの個別の取り立ては停止される。これは、債務者への返済は、すべて配当という形で行うためである(ただし、担保などの別除権は行使可)
  2. 手続き中は、各債権者に対して個別の返済を行うことはできない。理由は上記と同じで、そのような試みは破産管財人による否認権の行使により取り消される
  3. 手続きにより、債務者が保有する資産は換され、債権者にその保有する債権額に例してに分配される。これを配当と呼ぶ(厳密には、債権の区分によって順序がある場合があるし、一部の債権は随時配当を受けられる)
  4. 破産手続きの間、債務者は財産の管理権を失う。手続きが了すると、法人の場合消滅し、個人の場合財産の管理権を取り戻す(ただし、破産自体はそれだけで、債務の支払いの免除を得るには免責の手続きが必要。通例、自己破産の場合は免責の手続きも一緒に申し立てる)

破産できるのは何か

破産できるのは個人、法人のほかに、相続財産がある。ただし、相続財産の破産については、相続放棄や限定承認などの制度があるため、通常はそちらをとることが多く、相続財産の破産の事例はほとんどない。例外的に、被相続人が破産手続き中に死亡し、それが債務過だった場合に破産手続きを続行する場合があり、その場合は相続財産の破産と同等に扱われる。

破産を申し立てられる理由

破産を申し立てられる理由(破産手続開始の原因とか破産原因と呼ばれる)は、以下の2つに制限される。

  1. 支払不能
    債権者に対する支払が行われていないこと。個人・法人の場合に適用可
  2. 債務
    資産よりも負債が多く、資産をすべて換しても負債を返済することができないこと。法人相続財産の場合に適用可

破産を申し立てられるのは誰か

破産を申し立てられるのは、以下の3つに制限される。

  1. 破産する実体
    個人であればその個人、法人であれば取締役全員の承認をもって申し立てが可である。これを自己破産と呼ぶ。通常、破産はこのルートをとることが多い。また、個人の場合、特に否定しなければこの自己破産の申し立てと同時に免責の申し立ても行ったものとみなす。申し立てには債権者・債務者と財産の概況を示す
  2. 取締役
    法人の場合のみありうる。取締役の一部により申し立てが可である。これを準自己破産と呼ぶ。取締役の一部が破産に反対していたり、そもそも連絡がつかなかったりする場合に用いる。申し立てには債権者・債務者と財産の概況に加え、破産原因の疎明が必要となる
  3. 債権
    債権者により破産を申し立てることはほとんどない。これは、予納が非常に高額になることに加え(ただし、予納部分は財団債権になり、最優先で分配を受けられる)、債権の貸し倒れが確定し、損失が発生するためである。債権者による破産申し立て債権者破産と呼ぶ。申し立てには、破産原因の疎明が必要となる

つまり、赤の他人が破産の申し立てができるわけではないということである。

破産の流れ

破産手続きは、以下のような手順で進む。

  1. 申し立て裁判所に行う。その際、各種手数料と予納を支払う
  2. 申し立て裁判所にあった段階で、必要であれば債務者の財産の保全に必要な命裁判所が発することができる
  3. 裁判所は破産原因の存在について審理を行う。また、個人で免責の申し立てがある場合、免責不許可事由がないかなども合わせて審理する
  4. 破産原因があると裁判所が判断したら、破産手続開始の決定を行う。その後、大きく分けて4つのルートに分岐する
    1. そもそも分配する資産がない場合(例として、持ちや土地やなどを持たない個人がある)
      この場合、そもそもそれ以上財産の分配について話し合う必要はないのだから、直ちに破産手続を止して終了する。これを同時止と呼ぶ
    2. すべての債権者が配当なしに同意している場合(反対している債権者に満額の弁済を行える場合も同様)
      この場合も、財産の分配について話し合う必要はないので、破産手続を止する。これを同意止と呼ぶ
    3. 自己破産であり、かつ額も少なく、さらに債権者の数も多くなく、弁護士経由で依頼している場合
      この場合は、破産管財人を立てたうえでIVほど複雑な審理を行わないで財産の分配(配当)を進める。少額管財と呼ぶ
    4. 債権者破産だったり、額が多かったり、債権者の数が多かったり、弁護士に頼っていなかったりする場合
      この場合は、破産管財人を立てたうえで、複雑な審理を行って、厳密に配当を進める。通常管財と呼ぶ
  5. IIIおよびIVの場合で、破産管財人による調の結果、っ先に弁済を受ける破産管財人自らの報酬・破産直前の従業員の給与など(財団債権)を差し引くと分配する財産が何も残らないことがありうる。この場合は破産手続を止し、破産手続を終了する。これを異時止と呼ぶ
  6. 破産管財人は、破産者が保有する資産を換していった上で、債権者に対して配当を行う。配当を行う順序は、以下のような手順である
    1. 財団債権
      破産管財人の報酬や、破産手続の費用、破産手続開始前3か以内の給与などが該当する。これらはめどが立ち次第逐次弁済を受けることができる。以下の順序で処理される
      1. 破産管財人の報酬
      2. 債権者破産、もしくは第三者予納の場合の予納還付
      3. 破産債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用請権および破産財団(破産者の財産を集めたもの)の管理、換価および費用に関する請
      4. その他
    2. 優先的破産債権
      優先して配当を受けられる債権。これらは以下の順序で処理される
      1. 租(税・地方税)
      2. 課(国民年金健康保険保険料など)
      3. 共益費用の請
      4. 雇用関係の請権(ただし財団債権に属するものを除く)
      5. 葬式費用の請
      6. 日用品の供給の請
    3. 一般の破産債権
      特に取り決めや法律上の規定がない債権はこれに属する
    4. 劣後的破産債権
      破産手続開始後の利息・損賠償・延滞税などがこれに属する
    5. 約定劣後的破産債権
      劣後的破産債権よりさらに劣後すると明示的に取り決められた債権
  7. 配当が了すると、破産手続は終了する。これをもって法人の場合は法人格が消滅する
  8. 破産手続きと並行して免責手続きが行われている場合(個人の自己破産の場合は先ほど述べた通り基本的には行う)、免責不許可事由(不当な浪費や借財産の隠ぺいなど)がなければ、免責が許可され、破産手続終了後、残りの債務は免除され、復権する

一連の手続きにかかる期間は、だいたいこんな感じである(同意止はまずないので省略)。

  • 同時止 - 申し立てから免責までだいたい3かくらい(最低で審尋2回)
  • 少額管財 - 申し立てから破産手続終結(個人の場合免責)までだいたい数かから長くて1年程度
  • 通常管財 - 申し立てから破産手続終結まで数年かかることもある

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