禰寝重長とは (ネジメシゲナガとは) [単語記事]

「禰寝重長」（ねじめ・しげなが 1536 ～ 1580）とは、例の一族・島津氏の隣の大隅国・肝付氏に属して島津氏旗下の種子島氏と争った武将であり、激戦の最中でも腹が減っては戦が出来ぬと戦場でご飯を食べ始めてしまう事に定評のある、温州蜜柑の栽培を日本で最初に行った人物。名前は「しげたけ」とも読む。

概要

平安時代以来より大隅半島南部に勢力を張る古郡司系在地領主であり、建部氏を出自とする禰寝氏当主・禰寝清年の子に生まれる。父より家督を継いだ頃は、

悪政を敷く種子島恵時を誅する

として種子島恵時を破って屋久島を手に入れるが、種子島氏に取り返されて、また取り返してを繰り返す「仲良く喧嘩しな」状態となっていた。

大隅国一代の英雄・肝付兼続が伊地知重興らと共に島津家に対抗した際には、肝付氏の廻城に攻めてきた島津忠将を肝付兼続らと協力して戦死させるなどして優位に立ち、指宿攻めの際には、最強のお留守番・島津義久を相手に苛烈なる激戦を繰り広げた。

この激戦の最中、昼時になったところで禰寝重長は突然座り込んで昼飯を食べ始めてしまい、乱戦の中で何やってんだ空気読めよといいたくなるところをやんわりと「このような場所で危険です」と忠告して飯を食うのを家臣がやめさせようとしたが、禰寝重長は、

古来より、腹が減っては戦ができぬという。
それにもし、飯の最中に命を落としてしまうならば、その男は所詮それまでだったということよ。

といって飯を食い続けたらしい。いやそれなにか違うから。

こんな豪胆な逸話の持ち主なのに「信長の野望」では後年の貿易の成果を重視した政治担当に能力設定されている。

その後も鹿児島攻めに参加して島津氏に対して優位にたっていたものの、肝付兼続が没して肝付氏の力が衰えた事にタイミングをあわせた島津義久からの和睦の使者を、一度は、

肝付氏と袂を分かつことは自分の身を滅ぼすことである。
ゆえに和睦はできぬ。

と、乱戦の最中で昼飯が食える豪胆ぶりを表すような武人な返事を返した。が、続いて肝付良兼が死んで、後をついだのが「信長の野望・革新」の最低能力武将・肝付兼亮。もう肝付オワタ確定だから島津とともに九州の覇者になる道を進もうぜ！とかいったかどうかは解らないが、島津義久は協力する利を説き、熱意に負けた禰寝重長は単独で講和した。

島津に与した事に怒り有頂天になった肝付兼亮は、禰寝重長のもとへと軍を進めるが、その援軍と言う口実により島津義久の肝付兼亮討伐が決定し、禰寝重長も島津方として肝付兼亮と戦った。

その後は種子島氏との「仲良く喧嘩しな」を続けながら明国との貿易を行い、

でお馴染み温州蜜柑の栽培を日本で最初に行った人物とされている。

※その他「禰寝重長」の詳細についてはWikipediaの該当記事参照の事。

その後の禰寝氏

島津家臣・薩摩藩士として続くが、禰寝の地は取り上げられて反対側の薩摩半島・日置に移封されてしまった。更に重長の孫の代で血筋は断絶する。このため性格の悪さと子沢山な事で有名な藩主・島津家久（忠恒）の子が跡継ぎとなって、血筋の上では島津氏庶流として乗っ取られてしまった。とはいえ、それ故に薩摩藩では重きをなすことになる。

その一方で、本来は建部氏の出自なのだが後に平氏、平重盛の子孫を名乗り始める（※島津氏は源氏）。そして遂には平重盛が「小松殿」と称されていた事を理由に「禰寝」の名字を「小松」に改めている。源頼朝の落胤の子孫を自称する島津本家にケンカ売っているようにも見えるが（実際揉めたらしい）なんとか認めてもらった。