稲荷心経とは、神仏習合の信仰によって生まれた、稲荷神 (ダキニ天・倉稲魂命等々) への礼拝時にささげるお経である。
真言宗東寺の末寺である愛染寺で編纂されたお経であり、その名が示すとおり般若心経と稲荷信仰のエッセンスが含まれている。サンスクリット経典を典拠としていないため偽経とされ、神仏分離以降は見向きもされなくなってしまったが、かつては祝詞とともによく唱えられていたとされる。
稲荷心経奉讃文
そもそも稲荷心経と申す御経は 文字の数わづかに九十四文字なれど
諸経の華を選み出されたるお経にして
その昔 源頼朝 日夜これを持誦したる功徳により
程なく世を取りたまへり
かくも霊験ある御経なれば われら一途に念誦したてまつらば
百八煩悩を解脱して 諸願成就疑ひなきものなり
稲荷心経本文の前に唱えるとよいとされている奉賛文。稲荷心経の効力をうたい読経を薦めるものである。
稲荷心経
本体眞如住空理
寂静安楽無為者
鏡智慈悲利生故
運動去来名荒神
今此三界皆是我有
其中衆生悉是吾子
是法住法位
世間相常住
皆得解脱
即得解脱
掲諦掲諦
波羅掲諦
波羅僧掲帝
菩提薩婆訶
多呪即説呪曰
をんきりかくそわか
本体とは、真理そのものであり、それは空 (くう) の理 (ことわり) に住している。寂静、安楽であり、永遠絶対な者である。
その (鏡で照らすように正確な) 智慧と慈悲による利益のため、常に動き回り行き来するものがいる。これを荒神と名づける。
今、(仏を除いた) 全世界はみな (如来である) 私のところにある。そしてその中で生ける者全てが私の子供である。
これは真理そのままの姿であり、生滅変化してやまない世間の相も永遠にそうであることが本来なのである。
(これを心得れば) 貪・瞋・癡の三毒煩悩はみな、解脱を得る。直ちに解脱を得る。
(陀羅尼音写; サンスクリット推意『往けるものよ 往けるものよ 彼岸に往くものよ 彼岸にはるか往く者よ 悟りよ共にあれ』)
(真言音写; だいたい「邪行の垢を取り除いて幸せにしてくださいますよう心からお願い申し上げます」という意味)
他のお経のように音読み (呉音) で読経されるものと思われる。最後の真言はカッコ内を飛ばし、ひらがな部分を3回唱える。
既述のとおりサンスクリットの典拠はないが、「今此三界 皆是我有 其中衆生 悉是吾子」と「是法住法位 世間相常住」は法華経からの引用となっている。また、陀羅尼は般若心経のものと同一である。
奉賛文無し。
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最終更新:2024/04/19(金) 17:00
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