第十一駆逐隊

第十一駆逐隊（だいじゅういちくちくたい）とは、旧日本海軍の部隊の一つ。

日露戦争直後から都合七度の多数にわたって編成されている。

　第十一駆逐隊（1905年～1912年）

概要

所属駆逐艦
型	艦名	転入出・損失
東雲型駆逐艦	叢雲 [I]
東雲型駆逐艦	夕霧 [I]
東雲型駆逐艦	不知火 [I]
東雲型駆逐艦	陽炎 [I]

東雲型三等駆逐艦＜叢雲＞、＜夕霧＞、＜不知火＞、＜陽炎＞で編成。鎮守府の所属ではなく、日清戦争直後から一次大戦前までのあいだ設置されていた竹敷要港部（長崎県対馬に所在）の隷下に新編された。

1912年2月、竹敷要港部の廃止に先立って解隊・消滅。
＜叢雲＞、＜夕霧＞は第三駆逐隊、＜不知火＞は第十駆逐隊に、＜陽炎＞は第十三駆逐隊に編入された。

主な駆逐隊司令

時期	名前	備考
1909年8月4日 -	菅野洋七 大佐（海兵17期）	1909.12/1以降第十駆逐隊司令と兼任。

年表

年	日付	出来事
1905年（明治38年）	12月12日	竹敷要港部隷下に新編。
1912年（明治45年）	2月1日	解隊・消滅。

　第十一駆逐隊（1915年～1918年）

概要

所属駆逐艦
型	艦名	転入出・損失
樺型駆逐艦	松 [I]
樺型駆逐艦	榊 [I]
樺型駆逐艦	杉 [I]
樺型駆逐艦	柏 [I]

第一次世界大戦の勃発により急遽建造された樺型駆逐艦四隻で編成。

1915年5月、佐世保鎮守府隷下に新編され、シンガポール方面での通商護衛にあたる。同年12月、第二艦隊第二水雷戦隊に、1916年12月には第一艦隊第一水雷戦隊に編入。

翌年2月、地中海に護衛戦闘のため派遣される第二特務艦隊を編成し、マルタ島を基地に対潜護衛に従事。＜榊＞の被雷・損傷と引き換えにイギリス輸送船＜トランシルヴァニア＞船員救助などの功を上げる。

いまだ地中海に留まっていた1918年4月、駆逐隊番号の振り直しを受けて第二三駆逐隊に改称され、消滅。

主な駆逐隊司令

時期	名前	備考
新編時	大谷幸四郎 中佐（海兵23期）	1915.12/13大佐昇進。

年表

年	日付	出来事
1915年（大正4年）	5月1日	新編。
	12月13日	第二艦隊第二水雷戦隊（旗艦＜出雲＞）を編成。
1916年（大正5年）	12月1日	第一艦隊第一水雷戦隊（旗艦＜出雲＞）を編成。
1917年（大正6年）	2月2日	第二特務艦隊（旗艦＜明石＞）を編成。
	4月13日	地中海マルタに入港。
	6月11日	＜榊＞被雷。艦首切断。
1918年（大正7年）	4月1日	第二三駆逐隊に改称・消滅。

　第十一駆逐隊（1918年～1919年）

概要

所属駆逐艦
型	艦名	転入出・損失
神風型駆逐艦（初代）	春風 [I]
神風型駆逐艦（初代）	初雪 [I]
神風型駆逐艦（初代）	時雨 [I]
神風型駆逐艦（初代）	初春 [I]

初代神風型駆逐艦＜春風＞、＜初雪＞、＜時雨＞、＜初春＞の4隻で編成。

1918年4月、駆逐隊番号の振り直しを受け、呉鎮守府所属（11～20を配当）の第六駆逐隊が改名したもの。

翌年4月、横須賀鎮守府（1～10番）に転属したことで第七駆逐隊と改称したため、わずか一年で消滅した。

　第十一駆逐隊（1919年～1921年）

概要

所属駆逐艦
型	艦名	転入出・損失
東雲型駆逐艦	陽炎 [I]
雷型駆逐艦	朧 [I]
雷型駆逐艦	曙 [I]

旧式化した東雲型駆逐艦と雷型駆逐艦で編成。
＜陽炎＞は二度目の参加となる。

横須賀鎮守府所属の第八駆逐隊の所属艦がまるごと呉鎮守府に転属して第十一駆逐隊を編成したもので、1921年1月には解隊され消滅した。所属艦は解隊後、雑役船や掃海艇に類別を変更されている。

　第十一駆逐隊（1921年）

概要

所属駆逐艦
型	艦名	転入出・損失
春雨型駆逐艦	朝霧 [I]
春雨型駆逐艦	村雨 [I]
白雲型駆逐艦	白雲 [I]
白雲型駆逐艦	朝潮 [I]

春雨型駆逐艦の＜朝霜＞、＜村雨＞と白雲型駆逐艦＜白雲＞、＜朝潮＞の4隻で編成。

先代第十一駆逐隊の解隊時、佐世保鎮守府所属の第二七駆逐隊が呉鎮守府に移籍したことで第十一駆逐隊と改名されたもの。

日露戦争以前の旧式艦で編成されており、前二代とおなじく一年程度のあいだ沿岸警備に従事したのち解隊、消滅した。

　第十一駆逐隊（1921年～1924年）

概要

所属駆逐艦
型	艦名	転入出・損失
神風型駆逐艦（初代）	追風 [I]
神風型駆逐艦（初代）	疾風 [I]
神風型駆逐艦（初代）	弥生 [I]
神風型駆逐艦（初代）	綾波 [I]	1923.2/15転出
神風型駆逐艦（初代）	卯月 [I]	1923.2/15編入

初代神風型駆逐艦4隻で構成される。

1921年末、先代第十一駆逐隊の解隊と同時に横須賀鎮守府所属の第九駆逐隊が呉鎮守府に移籍、さらに第十二駆逐隊から＜綾波＞を加えて第十一駆逐隊と改名されたもの。

1923年2月、＜綾波＞は第十二駆逐隊に戻り、引き換えに＜卯月＞を編入。先代同様老朽化が進んでいたこともあり、1924年には解隊され消滅した。

年表

年	日付	出来事
1921年（大正10年）	12月1日	第九駆逐隊、呉鎮守府へ移籍。第十一駆逐隊に改称。＜綾波＞を編入。
1923年（大正12年）	2月15日	＜綾波＞、第十二駆逐隊に転出。＜卯月＞編入。
1924年（大正13年）		解隊。

　第十一駆逐隊（1928年～1943年）

概要

所属駆逐艦
型	艦名	転入出・損失
特I型駆逐艦	吹雪 [II]	1930.12/1転出 1936.12/1編入 1942.10/11戦没
特I型駆逐艦	白雪 [II]	1943.3/5戦没
特I型駆逐艦	初雪 [II]	1929.3/30編入 1943.7/17戦没
特I型駆逐艦	深雪	1929.6/29編入 1934.6/9喪失
特I型駆逐艦	叢雲 [II]	1942.3/10編入 1942.10/12戦没
特II型駆逐艦	夕霧 [II]	1943.2/25編入 1943.11/25戦没
特II型駆逐艦	天霧	1943.2/25編入

新造の特型駆逐艦で編成。老兵ばかりだったそれまでの第十一駆逐隊に対し、最新鋭艦による駆逐隊となった。

1928年12月末、呉鎮守府において＜吹雪＞、＜白雪＞の二隻で編成され、第二艦隊第二水雷戦隊に編入。翌年3月に＜初雪＞を、6月に＜深雪＞をそれぞれ加え4隻編成となったが、1930年12月、＜吹雪＞が第二十駆逐隊に転出し、3隻となる。

しかし1934年6月、演習中の衝突事故によって＜深雪＞を喪失。さらに翌年9月、第四艦隊事件に遭遇して＜初雪＞が損傷するなどの悲劇に見舞われる。1936年7月、呉警備戦隊の隷下に入り、12月には＜吹雪＞が復帰した。

1937年7月、第二艦隊第四水雷戦隊を新編。1938年12月に第二艦隊第二水雷戦隊、1940年11月には第一艦隊第三水雷戦隊に編入。太平洋戦争勃発後の1942年3月、第十二駆逐隊から＜叢雲＞（先代に続き二回目の登場となる）を編入し、久々に4隻編成を取り戻す。しかし同年10月、サボ島沖夜戦で＜吹雪＞、＜叢雲＞を相次いで喪失。その代わりに1943年2月、第二十駆逐隊から＜夕霧＞、＜天霧＞を編入するも、翌月にはビスマーク海海戦で＜白雪＞を喪う。

さらに7月、ショートランド空襲で＜初雪＞が戦没。11月にはセント・ジョージ岬沖海戦で＜夕霧＞が戦没したことで残存艦は＜天霧＞一隻となり、第十一駆逐隊は解隊された。＜天霧＞は第十九駆逐隊に転出した。

主な駆逐隊司令

時期	名前	備考
編成時	千谷定衛 大佐（海兵34期）
1930年12月1日 -	南雲忠一 大佐（海兵36期）
1931年10月10日 -	小沢治三郎 大佐（海兵37期）
1939年11月15日 -	有賀幸作 中佐（海兵45期）	1940.11/15大佐昇進。

年表

年	日付	出来事
1928年（昭和3年）	8月10日	（舞鶴海軍工廠にて＜吹雪＞竣工。）
	12月18日	横浜船渠にて＜白雪＞竣工、＜吹雪＞とともに第十一駆逐隊を新編。 第二艦隊第二水雷戦隊（旗艦＜鬼怒＞）に編入。
1929年（昭和4年）	3月30日	＜初雪＞竣工、編入。
	6月29日	＜深雪＞竣工、編入。
1930年（昭和5年）	12月1日	＜吹雪＞、第二十駆逐隊に転出。
1934年（昭和9年）	6月29日	演習中の衝突事故により＜深雪＞を喪失。
1936年（昭和11年）	7月1日	呉警備戦隊に編入。
	12月1日	＜吹雪＞、第二十駆逐隊より転入。
1937年（昭和12年）	7月28日	第二艦隊第四水雷戦隊（旗艦＜木曾＞）を新編。
1938年（昭和13年）	12月15日	第二艦隊第二水雷戦隊（旗艦＜神通＞）に編入。
1940年（昭和15年）	11月15日	第一艦隊第三水雷戦隊（旗艦＜川内＞）に編入。
1941年（昭和16年）	12月8日	（太平洋戦争勃発。）
1942年（昭和17年）	3月10日	＜叢雲＞、第十二駆逐隊より転入。
	10月11日	サボ島沖海戦。＜吹雪＞戦没。
	10月12日	同上。＜叢雲＞戦没。
1943年（昭和18年）	2月25日	＜夕霧＞、＜天霧＞、第二十駆逐隊より転入。
	3月5日	ビスマーク海海戦。＜白雪＞戦没。
	7月17日	ショートランド空襲。＜初雪＞戦没。
	11月25日	セント・ジョージ岬沖海戦。＜夕霧＞戦没。
	12月7日	解隊。＜天霧＞は第十九駆逐隊に異動。

　関連項目

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• 連合艦隊
• 戦隊(日本海軍)
• 駆逐隊
• 駆逐艦
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