第1解答科目とは、最初に解答する科目のことである。
2012年以降の大学入試センター試験・大学入学共通テストにて、2科目連続で試験が行われる「地理歴史・公民」と「理科」の受験科目指定に使用される。
一例として2011年と2012年の東京大学における文科各類の入試を例に取り、センター試験利用入試の仕組みとともに解説する。
(※以下、必要な場合は適宜「センター試験」を「共通テスト」に読み替えること)
2011年と2012年において、東大文系に出願するためには、センター試験で下記科目を受験することが条件となっていた(このほか国語・地歴公民・外国語が課されていた)。
教科 | 科目 |
---|---|
数学 | 『数学I・数学A』(必須) |
『数学II・数学B』などから1科目選択 | |
理科 | 「物理I」「化学I」「生物I」「地学I」から1科目選択 |
教科 | 科目 | 実施時間 |
---|---|---|
理科① | 「理科総合B」「生物I」 | 09:30 - 10:30 |
数学① | 「数学I」『数学I・数学A』 | 11:15 - 12:15 |
数学② | 「数学II」『数学II・数学B』など | 13:30 - 14:30 |
理科② | 「理科総合A」「化学I」 | 15:15 - 16:15 |
理科③ | 「物理I」「地学I」 | 17:00 - 18:00 |
試験時間が重ならない限り受験科目は自由に選ぶことができたが、センター試験でどの科目を受験したかによって各大学への出願可否が判断されていた。上記に例示した東大文系の場合は以下の通りだった。
出願が通ったとしても足切りと二次試験で不合格になる可能性もあるが、出願欠格だとそのスタートラインに立つことすらできないため、受験する科目選びは慎重に行う必要がある。特に数学の場合は途中まで両科目とも同じ問題が続くため、「数学I・数学A」を解かないといけない受験生が「数学I」を解いてしまう致命的ミスが多発している。
しかし、理科や地歴公民に関しては2011年まで選択肢の自由度が比較的高く、本来受験予定の科目とは別の科目を腕試しに解く受験生も多かった。必要数以上の科目を受験した場合は高得点科目の得点が合否判定に使用されるため、受ける必要のない科目を肩慣らしのために受験する人も多かった。
例えば物理選択の受験生が当日思い立って物理のほかに化学も受験した場合、物理の点数のほうが高ければ予定通り物理の点数が採用され、まぐれで化学のほうが高得点だったら化学の点数が採用されることとなっていた。
教科 | 科目 | 実施時間 |
---|---|---|
理科 | 「理科総合A」「理科総合B」 「物理I」「化学I」「生物I」「地学I」 |
2科目選択:09:30 - 10:40 1科目選択:10:40 - 11:40 |
数学① | 「数学I」『数学I・数学A』 | 13:00 - 14:00 |
数学② | 「数学II」『数学II・数学B』など | 14:50 - 15:50 |
前年との変更点として、理科と地歴公民の試験時間がそれぞれ1つに統合され、時間内で最大2科目を自由な順序で受験できるようになった。これにより物理と地学など、今まで不可能だった組み合わせでの受験も可能になった(一方、理科3科目での受験は不可能になった)。
この変更により1科目受験者と2科目受験者の試験会場を分ける必要が生じたためか、受験する科目数をセンター試験の出願時に指定するよう変更が行われ、「1科目選択の受験生が当日思い立って2科目受験」するようなことはできなくなった。
実際の試験は下記のような要領で行われる。
2科目受験者 | 1科目受験者 | |
---|---|---|
問題冊子配布 解答用紙(第1解答科目)配布 |
問題冊子配布 解答用紙配布 |
|
09:30 | 試験開始(第1解答科目・60分) | |
10:30 | 試験終了、解答用紙回収 解答用紙(第2解答科目)配布 |
|
10:40 | 試験開始(第2解答科目・60分) | 試験開始(60分) |
11:40 | 試験終了、解答用紙回収 | 試験終了、解答用紙回収 |
ここで、2科目受験の中間10分間では途中退席したり問題を見たりすることはできないが、第1解答科目の回答時間であれば第2解答科目の問題を見ることが可能な点に着目したい。つまり、第1解答科目を捨てて白紙で提出すれば、第2解答科目を倍の120分かけて解くことも理論上可能になってしまった。
これではあまりにも不公平なので、理科と地歴公民を1科目をいままで「高得点科目」で合否判定していた大学の多くは、必ず60分以内で解き切る必要がある「第1解答科目」での合否判定に変更することとなった。上記に例示した東大文系の例だと以下の通りになる。
第1解答科目の選択を間違えた影響で出願に失敗し、浪人が確定してしまう受験生が毎年出ているようである。大学の募集要項は隅から隅まで確認し、せっかくの受験機会を無駄にしないように注意したい。
※正確な情報は大学入学共通テストの実施要項および大学入試センターの公式Q&Aを参照してください。下記内容により発生した損害に関してはいかなる責任も負いかねます。
掲示板
1 ななしのよっしん
2023/01/14(土) 13:38:18 ID: /YACBsVLi9
配布ミスが無くなるよう社会科の問題冊子を一冊にまとめるという話は何だったのか
あのビニール袋開けにくくてイライラする
2 ななしのよっしん
2023/01/15(日) 14:01:49 ID: wW+j/mbLQA
>>1
2025年の新課程から地歴と公民を跨ぐ科目(地理総合、歴史総合、公共)が出現する予定なので今度こそ1冊になるかもしれん
いやまあそもそも地理歴史科と公民科を分けずに社会科に戻せやとも思うが
3 ななしのよっしん
2023/06/10(土) 16:01:52 ID: wW+j/mbLQA
↑結局1冊にならないようで……
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/25(木) 15:00
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