糸使いとは、小説・漫画・ゲーム等の創作に登場する"糸"状の道具の扱いに長け、特にこれを武器として使用する人物、あるいはその技能そのものの呼称の一つである。
なお、扱う"糸"の種類、登場する作品により『ワイヤー使い』『鋼線使い』『鋼糸使い』『妖糸使い』『斬糸使い』等、多くの名称が存在する。
創作などに多く見られる一般的な戦闘スタイルとしては、鋭利かつ強靭な極細の"糸"による斬撃を主な攻撃手段としている。
石材や木材は勿論のこと、果ては金属、場合によっては更に硬度の高い結晶などであっても容易く切断を可能とする。無論、人体などひとたまりもなく、骨ごと四肢を断つ描写はもはやお約束か様式美(美しいとは言い難いが)となっている。
どの場合であっても描写される切断面は非常に鋭利かつ扁平であり(金属の場合は鏡面状になめらかである事が多い)、人体やそれ以上に柔らかく軽い物体、また硬軟混ざり合った物(パーツの詰まった機械装置や書籍が収められた本棚)などであってもブレのない『一つの線』で幾何学的に切り離してしまう事で、刀剣類などの通常の刃物とは一線を画する切れ味が強調されている。
"糸"の素材や構造は
など、作中の世界観、設定によって多種多様である。
また、最初から切断を目的とせず(後述)、強度や利便性を重視したタイプも数多く確認されている。
こちらに用いられる素材は弦楽器用の絹糸やピアノ線、組紐や編んだ髪など、実際に存在するもの[1]の割合が高く、
用途、太さの違いなどから、"糸"との区別のために"紐"と称される事も。
殆どの場合、前述のように"糸"は非常に強靭な素材で作られている。
そのため、斬撃以外にもその強度に物を言わせた多様な攻撃パターン、活用法が描写されている。
主な手法としては標的を絡めとる緊縛、更に拘束したまま振り回し加速させた後の地面、建築物への叩きつけ、絞殺[2]など。直接攻撃の他にも、視認性の低さを生かした転倒、切断用のワイヤートラップなどが挙げられる。
戦闘以外に用いる方法として、高所や断崖絶壁によじ登る、谷間やビルの間を渡る、ラペリングに用いる等、投げ縄や鉤爪付きロープの代用としたり[3]、 巻き戻す力を利用して慣性、重力およびその加速度を無視した文字通りの『ワイヤーアクション』を繰り広げたり、 変わり種では"糸"を編み上げる事で人の顔面や【自主規制】を模造したり、大口径銃弾すら防ぐ即席の盾を作り上げたりと、使用者の技量次第ではあるものの、その応用の幅も広い。
"糸"を操ることから来る連想なのか、糸使いは同時に人形使いである事も多い。
というよりは人形使いが"糸"も使えることが多い。もっとも、2つの技量への注力度合いは様々であり、人形使いとして『"人形"が破壊された場合の保険』にとどまる場合もあれば、『一部、或いは完全な自律行動を可能とする"人形"とのコンビネーション』を戦法に組み込むケースも存在する。
一方、糸使いが人形使いと呼べるほどに"人形"の操作に精通していることはむしろ稀で、斬撃などと同様に、あくまで攻撃のための一手段にとどまっている場合がほとんどである。
操る対象も『重量物(標的への投擲、誘導)』、『人間他生物やその死体[4]』など、"人形"そのものを操る者はあまり見かけられない印象を受ける。
長大な糸、それも場合によっては数本、数十本のすべてを正確に動作させるための精密な操作と高い集中力を必要とし、自傷の危険性などのリスクも大きいことから『高い技量と素質を要する玄人好みの技術』のイメージが強く、携帯性と殺傷能力の高さから暗殺者の使う暗器として登場する頻度も高い。
これらの特殊性や専門性などから導き出されるイメージからか、使用者は頭脳派や天才肌、年長者など、冷静沈着・知性派(或いは狡猾)である事も多く、人を容易に切り刻むことの出来る殺傷能力の高さ、切断の過程・結果の酸鼻さ、奇襲・視界外からの遠隔攻撃を可能とする一種の悪辣さ[5]から、冷酷・残忍な性格の者も少なくない。
どちらかと言えば主人公側から見て敵対する陣営に属する傾向があり、剣や槍、斧に代表される他の近接攻撃に比べ圧倒的なリーチを持つこと、同時に多数を相手取る事も可能であること、前述のように狡猾な戦法で威力を発揮する特性などから『手練の古強者』、『人を弄ぶ卑劣漢』、『効率と確実性のみを重んじる暗殺者』など、『難敵』としての立ち位置にあるのが多いことも特徴の一つである。
その一方、これらの面が災いしてか自陣営に所属する『味方』である事はあまり多いとはいえず[6]、むしろ基本的には中立、不干渉のスタンスをとっている人物の方が目立つ。
また、再現の困難さからこれを精密に操作するアクションゲーム等は確認できず[7]、あくまで『中~遠距離の近接物理攻撃』の枠組みに収められているのが現状であると思われる。
フィクション限定の戦闘技能ながらその歴史は比較的長く、それゆえに登場する作品も多いことから描写、原理、設定は上記にある通り相応に練り込まれており、あらゆる物を裁断するその威力や残酷極まる殺害表現、独特のアクション[8]などケレン味も非常に強い事から、創作物の中でも『セカイ系』を始めとするシリアス色の強い能力バトル物との親和性は非常に高く、中二病・邪気眼患者を中心に[9]一定の認知度、人気を得ていると言えるだろう。
"糸"による切断型の一例 |
"紐"による絞殺型の一例(03:46~) |
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最終更新:2024/03/29(金) 00:00
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