本項目では日本国内における素手によるトイレ掃除の勧奨とその是非について語る。
最初に『素手でトイレ掃除』を日本に広く広めた人物は、イエローハット創業者にしてNPO法人「日本を美しくする会/掃除に学ぶ会」相談役の鍵山秀三郎と言われている。鍵山は、高度成長期にすさみきった社員の心をおだやかにするために、まず自分から職場環境づくりを率先して行おうとして素手でトイレの清掃を行った。当初は「うちの社長はトイレ掃除しかできない」と陰口を叩く社員もいたというが、やがて社員が自ら率先してやるようになり、そうしているうちに自社社員の信用が上昇していくこととなったという。
これを聞いた多くの企業、それこそ中にはイエローハットより大会社である上場企業でも幹部社員を引き連れて成功事例に学びたいと門を叩いてくるようになったという。この結果、全国に素手でトイレ掃除という流れが広まった。なお鍵山曰く、世界にも現在は広まっているという。
ただし、鍵山の実践と、後の素手によるトイレ掃除活動にはかなりの乖離がある。鍵山はそもそも社員には強制せず、自身がひたすら続けることで社員に自発的に促した。また、彼が素手で掃除を行うのは指先で触れることで髪の毛などに気付きやすくなるという利点があるからだが、あくまで自身がそうしているだけで「つけたいならゴム手袋を着用することも問題ない」と語っている。「素手で掃除をしなければならない」とは言っていないのである。
しかしこの活動が広まった結果として、「トイレは素手でなければだめだ」というコンサルティング会社や教育活動が活発化していくようになった。有名なところでは、ダウンタウンの浜田雅功の母校・日生学園の晨行 (心行) であろうか。この日生学園は全寮制の学校であり、朝4時に起床した生徒はまず道場の床を掛け声をあげながら一心不乱に磨く。そして、トイレ清掃は素手で行い、こびりついた汚れは爪で剥がしたという。
現代でも株式会社武蔵野等の多くのコンサルティング会社が素手によるトイレ掃除を奨励している。素手のほうがきれいに落とせるという理屈の他 (これ自体は鍵山が発言している) 、金運がアップするという理屈によるものもあるようで、コンサルティング会社の中には「自分は幸せであると復唱させる」ことを行う企業もあることからコンサルティング会社とスピリチュアルの間には親和性があるのかもしれない。
芸能人でも高橋一生や松岡昌宏 (TOKIO)、槙野智章 (サッカー選手) がこれを行っていることを明かしている。
すべての道が通じたというローマが滅びた理由の一つに疫病があげられているが、疫病が流行ったのはローマにおいて排泄物が道端に捨てられていたからではないかという説があげられる。現代でも下水道の整備は感染症の予防としてとかく重要視されているが、そんな下水に通じるトイレの便器がきれいなはずがなく (というか、汚いからトイレを掃除するわけで) 、素手によるトイレ清掃で、手の傷などから感染してしまうリスクがある。トイレ清掃用シートとかで拭くくらいならばともかく、「素手でトイレを磨き上げる」などはやめたほうがよかろう。磨くなら手袋をはめて、ブラシを使用するべきである。
トイレ洗剤のなかには手荒れを起こしかねない強い洗剤もある。素手で清掃することで手荒れしてしまっては、とりわけ営業職などの見た目にこだわらないといけない職ではきつかろう。
会社が社員に素手でトイレ清掃を強制する理由の一つに、理不尽なことを要求することで、他の理不尽なことも受け入れやすくさせる洗脳が目的ではないかとする説がそこかしこで唱えられている。
なおアメリカ合衆国では、スタンフォード監獄実験において囚人役の尊厳を否定する方法に素手によるトイレ掃除の強制があった。これが尊厳を否定する方法に選択されるというコンセンサスがアメリカには存在するらしい。
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最終更新:2025/12/09(火) 17:00
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