絶版(ぜっぱん)とは、
書籍がなんらかの理由でそれ以上増刷や出荷がされることがなくなり、新たに書店に出回らなくなること。基本的にはこれ以上売り上げが伸びる見込みがなくなり、在庫を保有するコストに売れ行きが見合わなくなったためか、本の内容が古くなって新版や改訂版などが出たためだが、作者及び遺族の意向、内容にクレームがついた、出版社が倒産した、権利が複雑で揉めてしまった、作者や出版団体が不祥事を起こした、などの原因もあり得る。
かつては書籍を作る際には、印刷の元となる「版下」を作り、そこから印刷を行っていた。それを絶つ、すなわち処分してしまうともうその本を新たに印刷することが物理的に不可能となることから「絶版」という言葉が生まれたわけである。
現在はDTPでデジタルデータとして版下が作成されているため、物理的な意味での「絶版」はほぼあり得ず、一般に「絶版」とされているものの多くは「品切重版未定」のことを指す。これは文字通り「もう在庫がないし今のところ重版(増刷)する予定も無いよ」ということである。この場合、出版社はその作品の出版権を放棄したわけではないので、著者が突然大ブレイクしたとか、映像化が決まったとか、久しぶりのシリーズの続刊が出たとかして売り上げが見込めるようになると、増刷・重版され在庫が復活する場合がある。
なので、出版社が完全にその本をそれ以上出版するつもりがなくなった場合のみ「絶版」という言葉を使うのが正確な用法だが、まあ実際の事情は読者にはわからないことが大半なのであまり厳密に考える必要はない。
売れない本が絶版になるのは、在庫自体の物理的な保管コストがかかることと、在庫は会計上資産になるので税金がかかってしまうためである。現代は本が売れないのを出版点数で補っているため、売れ行きがこのコストに見合わなくなった本は早いサイクルでどんどん断裁され絶版になる宿命にある。また基本的に本というのはたくさん部数を刷らないと印刷コストが価格に見合わなくなってしまうため、数十冊とか数百冊程度の部数の増刷というのは(もともと高価なハードカバーでもない限り)難しく、まだ多少は売れる見込みがあったとしても、見込まれる売り上げが増刷するコストに見合わなければ絶版・重版未定となってしまう。角川文庫はこれを避けるため、数十部程度から増刷が可能な小ロット重版を実現していたりする。
絶版(あるいは品切重版未定)になってしまった作品は、運よく売れ残っていて且つ出版社に返品されたり処分されなかった本を本屋を巡って探すか、中古本を古本屋で探すか、海賊版を頼るか(ダメだぞ!!)、 図書館にないか探す、などしか閲覧する方法がなくなる。インターネットが普及する以前は足繁く古本屋巡りをしたり、古書店に頼んで入荷連絡をしてもらったりなどしないといけなかったが、現在はネットでの古書流通が非常に活発で、絶版書籍の入手は比較的容易になっている。
大作家・人気作家の初期の本、何らかの事情で回収されてしまった本などレア度の高い絶版本の中には、ものすごく高値がつく物もある。
転じて、工業製品など出版物以外の物にも絶版という言葉が使われることがある。この場合は「廃盤」とか「生産終了品」とか言われることもある。これも書籍と同様、絶版車などは一部マニアに需要があり、昭和の車が今でもものすごくごくまれに走っているのを目撃した人もいるのではないだろうか。
こういった「廃盤」となってしまった製品・パーツを専門に買取・販売する専門店や、「絶版」になってしまった単行本・書籍を復刻する「復刊ドットコム」、絶版になったマンガを無料公開している「マンガ図書館Z」のようなサービスも存在する。
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最終更新:2025/01/21(火) 18:00
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