織田信長伝とは、光栄(現コーエーテクモゲームス)より発売された、戦略シミュレーションゲームである。
いわゆる英傑伝シリーズの第4作目であり、戦国時代を舞台にした作品としては第3作目の「毛利元就 誓いの三矢」に続く2作目になる。
発売日は1998年9月で、プレイステーション版とWindows版が発売されている。
また、廉価版が2002年に発売されている。
概要
任天堂のファイアーエムブレムシリーズと同じようなターン制SRPGのシステムを採用している作品であり、ストーリーとしては戦国武将織田信長を主人公とし、天下統一を目指す。
ゲームの流れとしては、ストーリーイベント・戦闘前準備・戦闘が繰り返されるシンプルな内容となっており、シリーズの第1作「三国志英傑伝」や前作「毛利元就 誓いの三矢」のように自拠点を歩き回って情報や仲間等を集めるといった部分は削除されている。その他にも前作では豊富だった職業の大部分がなぜか自軍だけ使えず、顔グラも同社の信長の野望・武将風雲録からの使いまわしが多いため、全体的に手抜きの印象が見えなくもない。一方でストーリー分岐の多さや後述する仕様の特徴などから、力の入れどころがはっきりした作品と言える。
難易度は高め。敵のレベルは自軍の平均レベルに応じて変動する仕様であり、能力値のインフレが敵味方ともに激しい。ステージの構成などから、この手のSRPGに慣れていないプレイヤーには序盤から苦しい展開となっている。また加入する仲間が固定されており、さらに中盤以降は有力なキャラ(武将)が特定のマップで一時的に合流するとはいえ、離脱してしまうので、ただでさえ高い難易度をさらに高くしている。
特徴
ストーリー分岐
織田信長を主人公としたストーリーであるため、基本的には史実や逸話、講談などのエピソードや合戦を取り入れた展開が主軸である。しかし、戦闘の展開(負けてもゲームオーバーにならずに話が続いたり)やストーリーイベントでの選択肢に応じて大小様々な分岐が発生する。分岐次第では桶狭間の戦いが起こらず今川義元の侵攻を籠城戦で迎え撃ったり、本能寺の変そのものが発生しなかったり、発生しても生存して戦いを続けたりとIF展開が多様になっている。
装備と兵種の変更
兵種(職業)が減らされたことは上記の通りだが、一方で同じ武将が複数の兵種に変更できるようになっている。これまでの英傑伝シリーズでは、そもそも兵種変更ができなかったり、兵種変更に特定のアイテムを必要とする仕様であった。織田信長伝では武将ごとに装備できる武装が設定されており、レベルアップなどで使用できる武器が増えていく。武装を変えることで兵種を変えることができる他、レベルアップで特技を覚えるときにも兵種は影響されるので、戦場での活躍や将来的な運用を想定して育成を考えることになる。
武将特性
モブや固有の武将関係なくすべてのユニットが特性を持っている。モブなどは特性が統一されているものの、固有名を持つ武将の特性は千差万別であり、相手に応じて戦い方を変えないと苦戦を強いられることも珍しくない。特性の効果も様々であり、特定の武装を強化したり、毎ターン耐久値(HP)や技能値(MP)を回復したり、地形やターンに応じて補正がかかったりする。
装備の派生
武器や防具の更新は戦闘前準備に行う。本作では商人から武器を買う(といっても強力な武器は売ってない)ほか、鍛冶屋に装備を鍛えなおして強化する。鍛冶屋には装備ごとにレベルがあり、強力な装備を作るには装備を大量に強化してレベルを上げるを上げる必要がある。一方で鍛冶屋にも体力値に相当するパラメータがあるため、一度に何度も強化することができない。また、武器にも系統が存在しており、攻撃力を重視した武器に強化するのか、それ以外、つまり命中値やその他のパラメータを重視した強化にするのか考える必要がある。
演習戦闘
ストーリーの進行に合わせて発生する。いわゆる稼ぎMAPであり、寄り道するかはプレイヤーの選択次第。負けても特にデメリットなく進行する。敵はモブキャラしかでないものの、数が多い、地形が相手に有利、ギミック上不利な展開になりやすいと何とも面倒なステージばかりだが、早解きに成功すると非売品の強力な装備や多額の資金が入手できる。
織田軍武将
各人物の詳細に関してはリンクを参照されたし。
- 織田信長(装備可能:刀、槍、鉄砲、弓)
本作の主人公。ストーリーは彼の初陣である吉良大浜の戦いから始まる。全体的にバランスの取れた高い能力値及び成長値を持っており、特性にも恵まれている。最前線で戦わせても問題ない強さだが、彼のユニットが撤退すると負けるため、過信は禁物である。
- 丹羽長秀(装備可能:刀、弓、大砲)
最初から加入しており、しかも離脱しない上に、早い段階で大砲を使えるだけでなく、特技での援護性能も有用と「米五郎左」の異名を体現したかのような使いやすさがウリ。何気にユニットグラフィックも固有だったりと、全体的に優遇されている。
- 佐久間信盛(装備可能:刀、鉄砲)
能力値や成長値的には命中と運気が低い点を除けばそこそこだが、特性や特技に恵まれず、能力値の割には攻撃をよく外し、よく攻撃を受ける。前線で戦うよりは後方からの援護向き。史実同様追放することができる(追放した場合は全軍のレベルが上がる)が、追放しなかった場合は・・・。
- 前田利家(装備可能:槍、鉄砲)
序盤から戦力として中核になる槍騎馬隊であり、特技「略奪」で序盤の苦しい財政面を支える武将。ステータス的には運気が他よりも伸びやすい点を除けば、やや平均より上。中盤以降では主力を担うのは難しくなる。史実同様、勝家や成政らと共に北陸の攻略を担うため離脱してしまう。
- 池田恒興(装備可能:槍、弓、鉄砲)
信長の乳兄弟であり、最初から加入してくれる。能力値的には目立つところはないものの、特技が支援に優れている。前線でも後方でもそこそこの活躍ができるが、やはり活躍どころは支援面だろう。
- 河尻秀隆(装備可能:槍、鉄砲、大砲)
最初から加入している武将の一人。強力な装備である大砲を装備できる点、特技も攻守ともに補助ができる点など有用どころが多い。史実では武田攻略後に甲斐の統治を受け持つが、本作では離脱しない。欠点は騎乗ユニットでないため機動力が低めなところか。
- 佐々成政(装備可能:槍、弓、鉄砲)
能力値的には攻撃面での成長が伸びやすい。最初から鉄砲兵として活躍できるだけでなく、弾込めのターンでも特技で支援できるため無駄が少ない。中盤以降は勝家、利家らと共に北陸へ向かうため、離脱する。
- 森可成・森長可(装備可能:刀、槍、鉄砲)
森蘭丸の父と兄。序盤に父・可成が加入し、中盤で戦死すると子の長可が引き継ぐ。槍騎馬隊として攻撃・耐久面に優れている一方で技能値や運気はとにかく伸びない。強力な特技を覚えるので技能値を補うとよく活躍する。
- 柴田勝家(装備可能:刀、槍)
序盤では信長の弟・信行を支持しているため、強敵として立ちはだかる。「掛かれ柴田」「鬼柴田」の異名通り、攻撃・耐久面での能力値・成長値が高いが、反面知力の低さゆえに敵の計略系の特技に弱い。中盤以降は利家・成政らと共に北陸に向かうため、離脱。分岐ルート次第ではそのままいなくなってしまう。
- 林秀貞(装備可能:弓、軍配)
史実同様、序盤は信長の後見役でありながら信行を支持する。最初に加入する軍師系ユニットで、周囲の防御力UPや高い知力を活かした計略系の特技で活躍できる。しかし、知力以外の能力値は低めで、支援能力も後続の軍師系武将に後れをとってしまう。信盛同様、中盤で追放ができるが、メリットは信盛に比べると乏しい。
- 金森長近(装備可能:槍、弓、大砲)
加入時は槍兵だが、最初から大砲を装備できる。能力値や成長値的には平均的で目立ったところが少ない。北陸組なので、中盤に勝家らとともに離脱する。
- 木下藤吉郎/羽柴秀吉(装備可能:槍、鉄砲、軍配)
加入時点では特技や特性に恵まれないが、成長していくと支援系に特化していく。能力値的には前線でも戦えるため臨機応変に使い分けるといいだろう。中盤以降に中国方面攻略のため離脱する。
- 滝川一益(装備可能:刀、鉄砲、投器)
「進むも滝川、退くも滝川」とうたわれた名将であり、最初に加入する忍者ユニット。能力値の成長的にも特技や特性的にも優れており、主戦力となりうる強さをもっている。離脱しないのも彼の強みの一つ。
- 蜂須賀正勝(装備可能:刀、鉄砲、投器)
史実では秀吉の腹心として活躍した武将。一益に続く忍者ユニットであり、防御以外の能力値が高い。特性によって成長が早く、かなり早い段階から主戦力として活躍できる。本作でも秀吉に同行して中国攻略のため離脱する。
- 明智光秀(装備可能:刀、槍、弓、鉄砲)
本作でもストーリーを左右する重要な武将。加入時は鉄砲兵だが、なんでもそつなくこなせる万能型であり、前線での槍働きも後方からの支援も可能。軍配は装備できないが、軍師系の特技や特性を持っているのも強み。
- 不破光治(装備可能:弓、鉄砲、※投器)
史実では安藤守就、稲葉一鉄、氏家卜全と共に西美濃4人衆と言われた武将。PS版のみ投器を装備できる。PC版ではステータスが低い、特技にも恵まれないと使いどころが難しい。中盤以降は勝家らに同行して離脱する。
- 蜂屋頼隆(装備可能:刀、弓、鉄砲)
史実では秀吉から羽柴姓を許されるほどの武将。本作では前線を張れるほど強くもなく、特筆するようなところもない。かろうじて速力が伸びやすいため追撃が発生しやすいかもしれないといったところ。毎度「手柄を立てて見せる!」と意気込む様には哀愁を感じざるを得ない。
- 蒲生氏郷(装備可能:刀、弓、鉄砲)
大半の武将が遠征で離脱する頃に加入する。史実でも信長に気に入られ、自ら陣頭で戦った名将ということもあって能力値は高い。特技も補助面に優れており、後半の主力になりうる武将である。
- 九鬼嘉隆(装備可能:刀、鉄砲、大砲)
九鬼水軍を率いて「海賊大名」と呼ばれた武将。数少ない海上での戦いを得意とするが陸上での戦いが基本のため本人は不本意の模様。ううむ…
大砲を装備できる強みを活かして活躍させよう。うぉー
- 細川藤孝(装備可能:刀、弓、軍配)
一流の文化人であり、武将としても有能だった幕臣。知力が伸びやすく、耐久・防御が伸びにくい典型的な後方担当。その分支援能力に特化しているため、後ろから計略や支援に徹すると強い。
- 筒井順慶(装備可能:槍、鉄砲、※投器)
大和の豪族であり、ギリワンこと松永久秀と鎬を削った武将。なのだが、能力値が低く、よくこれで久秀に対抗しようとしたのか疑問に感じてしまう。PC版では忍者にできないためますます使いづらい。特性や特技を活かして立ち回らないとまともな戦力にはなりそうにない。PS版では問答無用で忍者にするべし。
- 織田信忠(装備可能:槍、鉄砲、軍配)
信長の嫡男。離脱した遠征組の代わりに加入する。順慶と同様能力値が低く、扱いが難しい。彼が後継者で織田家は大丈夫なのだろうか。軍配を装備できるが軍師としての活躍ができるわけではないのでおとなしく後方から戦わせよう。
関連動画
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