愛でてよし、着てよし、食べてよしの優れた生き物。ヤギと混同する子供は多い。
人とのかかわりは古く、家畜化が始まったのは古代メソポタミア(紀元前7000年頃)であるとされる。実はヤギの方が家畜化は早かったのだが、ヤギよりも羊の方が脂肪が豊富だったこと、過酷な環境下でも飼育ができる事から、羊は貴重な「財産」となった。
品種にもよるが、モコモコの毛(ウール)は古今東西を問わず重宝され、折に触れて刈り取られる。このことから綿羊(めんよう)とも呼ばれる。地域によっては「羊の毛刈りRTA競争」なんてイベントも開催される。
食用としても運用され、羊の肉は「マトン」と呼ばれる。ラム(子羊)肉が人気だが、マトンの独特の臭みはハマるとやめられない。安いし。
羊の乳は生産量が少ない為、飲料としてではなくチーズとして用いられる事が多い。フェタ(ギリシャ)、ペコリーノ(イタリア)は保存目的で塩を多く使う為に塩分が強い。ロックフォール(フランス)は地下の洞窟を利用した独自の製法で作られ、フランス最古のチーズとも言われている。
その他にも皮を加工した羊皮紙は、紙の普及以前の執筆活動を長らく支え続けた。皮革製品としても、ムートンやラムスキンとして衣服に用いられている。
意外な話だが、羊は日本ではなかなか定着しなかった。これは湿潤な環境に羊がなじめず定着しなかったことが理由で、現在では北海道や東北地方での飼育がほとんどである。
耳や尻尾の形状が人気で、ヒト型の生物の頭部や尾てい骨につけて眺めるという趣向が一部で流行している。
その一方で目を見るとキモいという人が相当数いる。漫画「動物のお医者さん」でも「横たわる三日月」と称されており、よく見ると確かにキモい。
また「羊を数えると安眠できる」という都市伝説がある。
人とのかかわりが深かったこともあり、多くの逸話が残されている。
羊の頭をした神クヌムの存在が語られている。
粘土をこね、他の神々や人類をはじめとした万物を創造したとされる。またナイル川を司る神として広く崇められ、ギザのピラミッドで知られるクフ王の名の由来(クヌム・クフウイ=クヌム神は我を守り給う)でもある。
牧羊の神タンムーズ(ドゥムジ)の存在が語られている。
妻である女神イシュタル(イナンナ)の冥府下りの際、冥府に捕らわれた妻に救助の手を差し伸べなかった事で彼女の怒りを招き、代わりに冥府へと落とされる事になった。
黄金の羊の毛皮(金羊裘)を巡る、アルゴナウタイの物語が知られる。後に羊は天へと上げられ、おひつじ座となった。
神や救世主に導かれる信徒を「羊飼いに導かれる羊」になぞらえている。
また旧約聖書では神への捧げもの、すなわち生贄としてもたびたび登場。「ヨハネの黙示録」においても「七つの目と七つの角を持つ子羊」が登場するなど、神聖な存在として描写される。
ハラールに適応した貴重な家畜であり、財産でもある。また重要な祭日「犠牲祭(イード・アル・アドハー)」でも生贄として捧げられるなど、信仰とは切っても切れない関係性にある。
かつてヨーロッパでは「バロメッツ」という、羊が果実として成る植物があると信じられていた。
「スキタイの羊」「リコポデウム」と呼ばれるこの植物は、実が熟すると中から羊が現れ、周囲の植物を食い尽くした後に死ぬ。羊毛が取れるほかにも、その肉はカニのような味がするという。
これは木綿のことを「綿が取れる植物」=「羊毛が取れる植物」と勘違いされたことから生まれている。
掲示板
35 ななしのよっしん
2022/11/23(水) 19:01:25 ID: 7UPW1UYy7Y
36 ななしのよっしん
2023/09/24(日) 01:59:49 ID: DIXCr+SK49
昔クレヨンしんちゃんで不気味なひつじをしんのすけが想像して
メェメェ鳴くシーンで大笑いした憶えがある
37 ななしのよっしん
2023/10/02(月) 03:26:56 ID: I+N8gs8Rk1
羊の放牧だけど、場所によってだいぶやり方が違うらしい
・イギリスは牧羊犬を使って群れをコントロールする
・イタリアは牧夫が子羊の頃から育てて指示を教え込んだ個体をリーダーにすることで群れを統率できるようにする
・中央アジアのほうは雇われ牧夫がざっと管理するだけで放任に近い
しかし群れの先導役としてヤギを混ぜるというのは広く分布してる。このやり方は相当古いらしい
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最終更新:2024/12/14(土) 05:00
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