義経とは、2005年に放送された第44作目のNHK大河ドラマである。
1966年に放送された大河ドラマ「源義経」以来となる、義経を主人公にした源平ものの大河ドラマ。主演はタッキー&翼の滝沢秀明。「源義経」が純粋に義経の一生を描いたのに対して、本作は宮尾登美子が平清盛など平家の人物を新解釈で描いた「宮尾版平家物語」を原作にしていることからも分かるとおり、平清盛をはじめとする平家の描写の比重がかなり高くなっている。
物語の大きな軸として、清盛が側室に迎えた常磐の連れ子となった牛若(義経)と親子のような絆で結ばれるようになり、義経は幼き頃に清盛から聞かされた「新しき国」を目指すために戦い続けるというコンセプトになっている(清盛が持っていた福原の都の完成予想図の屏風が重要なキーアイテムとなって、終盤まで登場する)。
しかし、平家の描写に力を入れた反面、肝心の義経の活躍場面が大幅に削られてしまい、義経を描きたいのか、清盛ら平家を描きたいのかという、中途半端でどっちつかずな印象を与えてしまったことは否めない。また、永井路子や司馬遼太郎から「義経は軍事の天才だが、政治的には無能」と酷評されていることもあり、義経の考える「新しい国」が最後まで抽象的で伝わりにくかったという点もある。
義経に関わる登場人物のキャラクターは、クレジットでは資料提供となっている村上元三の小説「源義経」(1966年の大河ドラマの原作小説)をほぼそのまま踏襲しており、こちらもまた事実上の原作と言える(義経の幼馴染・うつぼの存在や、伊勢三郎が蟹に似た顔のムードメーカーであることなど)。
キャストは後述の通り、NHK連続テレビ小説のヒロイン経験者が多数出演している他、若手アイドルからベテランまでバランスの良いキャスティングとなっている。特に常磐御前を演じた稲森いずみの美しさは絶賛され、それまでトレンディドラマの出演が多かった稲森はこれ以降、「篤姫」の滝山、「八重の桜」の照姫など、大河ドラマで多くの当たり役を演じるようになった。また、義経の少年時代を演じた神木隆之介は、7年後の2012年に放送された大河ドラマ「平清盛」で、成人した義経役を演じている。また、大河ドラマの常連俳優でもあった大御所俳優・丹波哲郎は、本作が大河最後の出演作となったが、放送時には肺炎の病状が進行して頬がげっそり痩せこけてしまい、ファンに衝撃を与えた(この翌年、丹波は霊界へと旅立っていった)。
なお、本作が放送される直前には、うつぼ役の上戸彩が出演したオロナミンCのCMでは、滝沢が牛若丸に扮して登場するバージョンがテレビに流れて話題となった。
本作のチーフディレクターである黛りんたろう(作曲家・黛敏郎の息子。アニメーターにりんたろうとは別人)は、大河ドラマ「秀吉」や連続テレビ小説「すずらん」できらびやかかつ幻想的な演出を手掛けている。本作ではこうした演出がさらにパワーアップしたのだが、ウィキペディアではべた褒めしているのに対して、ネットでは賛否両論が耐えなかった。五条大橋の対決のバックで明らかに巨大すぎる月、義経の八艘飛びで飛び散る砂金(義経を追いかける平知盛を目くらましにするため、部下の喜三太がばらまいたという演出)、静御前が鶴岡八幡宮で舞うと吹雪のように降り注ぐ紅葉の嵐、といった具合である。
その中でも、義経が衣川の戦いで自害するクライマックスの場面。義経が刀に首を当てて自害したその瞬間、立てこもった持仏堂が突然大爆発したかと思うと、持仏堂から白い光が天空に向かって吹き出し、オープニングに登場する白馬(義経の魂らしい)がいななきながら、空を掛けていくというものであった。あまりにもシュールな展開に、多くの視聴者が呆気にとられて、当時の2chなどでは格好のネタになり、俗に義経ドッカーンと揶揄され、その様子を再現したAAまで作られた。一方、弁慶の立ち往生は、演じた松平健の顔写真を貼り付けた張りぼてに、弓矢が突き刺さるという妙にしょぼいものであり、この落差がさらに拍車を掛けたのは言うまでも無い(「源義経」の緒形拳や、「武蔵坊弁慶」の中村吉右衛門がそれぞれ演じた弁慶の最期が壮絶な名シーンだけあって、期待していたファンの失望も多かったらしい)。
この最終回がどんなものだったか、以下のリンク先を見ればおのずから理解できるだろう。
大河ドラマでは、その少し前に連続テレビ小説のヒロイン役でブレイクした女優を出演させるケースがよく見られるが、本作では朝ドラヒロイン経年者が7人も出演しており、これは歴代大河で最多となる。但し、尾野真千子と夏木マリが主演した「カーネーション」は本作の6年後に放送された作品であり、「カーネーション」でブレイクした尾野は当時、まだ知名度の低い若手女優であった。
義経の配役 | 朝ドラ主演作(主人公の名前) | |
---|---|---|
戸田菜穂 | 輔子 | ええにょぼ(朝倉悠希) |
中江有里 | 建春門院滋子 | 走らんか!(今宮美樹) |
高野志穂 | まごめ | さくら(松下さくら) |
中越典子 | 建礼門院徳子 | こころ(末永こころ) |
石原さとみ | 静 | てるてる家族(岩田冬子) |
尾野真千子 | 萌 | カーネーション(小原糸子) |
夏木マリ | 丹後局 | カーネーション(晩年の小原糸子) |
掲示板
16 ななしのよっしん
2022/11/10(木) 09:41:00 ID: HfFXZbpSvj
小栗旬氏が梶原景季で出てたよねこれ
「1200(正治二年)小栗旬が父と共に小栗旬の差し向けた軍勢に討たれる」になるのか…
17 ななしのよっしん
2023/03/22(水) 07:29:19 ID: rfPKZGhBrn
>>13
義経は常に父親的な存在を求めている感はあったね
最初は清盛、次は頼朝、その次は後白河帝、最後に秀衡
父を欲しているように思えてならなかった
それだけに長い間本当の父だと信じて慕っていた清盛から
「わしは平家、そなたは源氏、決してそれを忘れるな」と言われて茫然自失になってるのは理解できた
渡哲也が演じた清盛のこのセリフは大河史に残る名言だと思う
18 ななしのよっしん
2024/01/31(水) 17:57:22 ID: Kayz7q9k5h
>>16
こっちでも「立場の違いで板挟みになってキレる」場面があって良くも悪くも苦労人が似合うんだなって思ったね。
あと、なにげに平家の女性陣が頑張ってた印象。
壇ノ浦の後の生き残り組の「恨みを向けたいんだけどそれを口にしたら惨めになるだけ」ってな感情を義経に向ける目力とかスゴいなと。
あと、後藤真希が浮くかと思ったら普通に演じていて良い感じだったと思う。
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最終更新:2024/04/19(金) 21:00
最終更新:2024/04/19(金) 21:00
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