聖地巡礼とは、
本項では、双方の聖地巡礼について扱う。
イスラーム(イスラム教)のものが特に著名である。イスラームではアル=マッカ(メッカ)にある「マスジド=アル・ハラーム礼拝堂」(またはその中核を成す聖域「カアバ」)を「ハッジ(聖地)」としており、生涯に一度はマッカに巡礼し「神殿の周りを回る」などの巡礼作法を行うこと(実際の作法はもっと長い)が、裕福かつ体力のあるムスリムに奨励されている。
イスラーム成立当時、砂漠の広がるサウジアラビア一帯を踏破するのは片道だけでも大変な苦行であった。現在は交通の発達により飛行機で世界中からすぐに来れるため、かつてほどの困難は無くなった。しかし、大巡礼期にあまりに多くの巡礼者が集中するため、サウジアラビア政府はその人数に制約を設けなければいけない状況となっている。大巡礼期とはイスラーム暦12月8-12日に行われる大巡礼(ハッジ)に行われる特別な儀礼の時期であり、この時に巡礼を行い、帰還した者は他のムスリムから「アル=ハッジ」という尊称とともに崇敬されるという。なおハッジの時期以外には小巡礼(ウムラ)と呼ばれる別の省略作法により参拝を行うため、大巡礼とは区別されている。
なお、キリスト教・ユダヤ教におけるイェルサレム(エルサレム)、仏教におけるカイラス山なども「聖地」であるが、これらは巡礼について特に定めていない。巡礼を奨励しまた巡礼者を厚遇する点でイスラームは特徴的である。
国内における宗教聖地としては、仏教の「比叡山(天台宗)」「高野山(真言宗)」、神道の「伊勢神宮」などがある。
特にこの3つは「巡礼の旅」の典型的な例として、古代から小説や随行紀、日記などによく頻出する。
余談だが「メッカ 作法」でググると、トップに出てくるのは…。
小説や映画の舞台となった場所を指して聖地やメッカなどと呼び、ここにファンが赴く事例は探すとかなり時代を遡って確認することができる。
最初の大規模事例はゆうきまさみ原作のオリジナルビデオアニメーション「究極超人あ~る」(長野県飯田市とJR東海飯田線、1991年)と言われている。その動きは「おねがい☆ティーチャー」(2002年、長野県大町市)「おねがい☆ツインズ」(2003年、同)に引き継がれ、「らき☆すた」(2007年、埼玉県鷲宮町、現久喜市)で一般に認知される。2010年代では「ガールズ&パンツァー」(2012年、茨城県大洗町)が聖地巡礼の大きな成功例として知られるようになった。
また、サブカルチャーとして、対象の製品の製造元などに(もちろん許可を得て)赴くことを「聖地巡礼」と呼ぶこともある。「耳をすませば」の聖蹟桜ヶ丘(前者)や「デスクリムゾン」ファンのエコール本社への巡礼(後者)などが有名。また、製造元の会社にふと立ち寄ったり、通りすがることも巡礼と表現されることもある。この場合、バイク会社などが相当する。
特定地域を振興すべく作られたゲームもあったが、聖地化としては大成せず、ごり押しは嫌われる例となった(「北へ。」とか)。
現在では(作品の有名度は問わなければ)、上記以外にも実在の場所を舞台とした作品も割とあるため、自身の都道府県や市町村で検索してみるのも面白いかもしれない。単純にデザインのモデルとしただけの場合もある。
そして近年では、アニメや漫画などの製造元ではなく、その舞台となった場所や物語・登場人物にゆかりのある場所のことを「聖地」「モデル地」と呼び、その場所へ行くことを「聖地巡礼」、「聖地訪問」と呼ばれ、ファンの間で定着している。
この現象が広まるにつれて、一般のマスメディアにおいても一種の社会現象として捉えられ、「聖地」や「聖地巡礼」という呼び方が報道でも用いられるようになってきている。
ただし、ジブリにおける「ジブリの森美術館」「ジブリパーク」など、元々そういう意図のある施設に赴くことは「巡礼」と言われないこともある。
以前はあっても個人での参礼が多く、集団化したのは前述のエコール本社巡礼くらいのものであったが、
現在は全国局で流れるアニメなどの聖地に行くファンの数が多くなり、また大規模なツアー形式で行われる場合もある。
これには、ファンがインターネット上の掲示板やblog、SNSなどを利用して広く情報を発信、共有するようになったことと、聖地とされた場所の観光団体・地元商工会や自治体がこの現象を地域振興に活用するようになったことが大きく関係していると思われる。
(アニメを使った地域振興については「ご当地アニメ」の記事も参照)
また、ファンの訪れる場所は国内にとどまらず海外にまで及び、場所によっては国内同様に積極的に観光客誘致に利用しているところもある。
(例:「フランダースの犬」の舞台のモデルとされるベルギー北部のホーボーケン村やアントウェルペンのノートルダム大聖堂など)
なお、この現象に伴う良い点ばかりではなく問題点もあり、近年ではマナーの悪いファンによる迷惑行為が発生してしまっている。
2010年代後半になると「観光公害(オーバーツーリズム)」という概念も広まり、外国人観光客の増加に伴い迷惑行為がさらに深刻化している地域も存在する。
それ以外にも、聖地とされた場所が普通の住宅地だったり、立入りの制限が厳しい場所だったりと、そもそも歓迎されない場合などが挙げられる。
また、上記のようなアニメや漫画による「聖地巡礼」を地域振興に利用することに関しては、利用する側がきちんとブーム後まで見据えて考えているのかという点を危ぶむ声もある。
聖地巡礼を「オタクツーリズム」とマスコミの主導で呼称していた事がある。
今現在は流行らずも定着もせずに消えかかっているが、一部ではまだ呼んでいる模様。
2010年代後半より元々アニメ、ゲーム、漫画に縁もゆかりもない地域の政治家や行政、いかにもという全国業界団体等が地域活性化の掛け声のもとごり押ししてくる例も出て、当然ファンのなかで嫌気が差すことでそれらの失敗が続き、一方で地方にある一次創作会社の成功(京都アニメーション、クリプトンフューチャーメディア、ユーフォーテーブル等)の影響もありファン活動目的のこの手の聖地巡礼は沈静化していくものと見られている。
この他にも、原作や作品の内容を知らずにごり押しした結果、他方面からの批判と炎上で失敗した例も存在する(例:ヨスガノソラ、まいてつ、のうりん等)。
※「観光公害/旅先で楽しく過ごすために」の項目も参照
まずはじめに、聖地・モデル地となっている場所はテーマパークやレジャー施設ではありません(また地域及び地区によっては、自然保護や景観保全などの観点から立入りが制限されていたり、観光地への整備がされていない場所も存在します)。
ゴミ・たばこのポイ捨て、私有地の侵入、騒音、公道/車道をはみ出した歩行などの迷惑行為は、ファン同士や近隣住民とのトラブルだけでなく最悪の場合、警察沙汰にも繋がりかねません。
それだけでなく、地元住民や自治体等の苦情で立入りの制限や巡礼の自粛、無関係なファンへのレッテル貼りや作品そのもののイメージ悪化といった風評被害など思わぬところで悪影響が及ぶ事もあります。
聖地・モデル地を巡礼する際は、節度とマナーを守った上で訪れましょう。金落としてやってるんだからごちゃごちゃうるさいって?そういう人は二度と来ないでください
ニコニコ動画では、投稿者(うp主)が実際に舞台となった場所を訪問し、撮影した写真や映像を動画にして投稿することが多い。
これらは、旅行記のようなものから、キャラクターのフィギュアやぬいぐるみと共に元ネタの場所を撮影したもの、アニメやゲームの場面と現地で撮影した画像を比較したものなど、色々と工夫を凝らしたものが見られる。
訪れる場所も幅広く、「らき☆すた」の埼玉県のように比較的容易に行ける場所から、「ARIA」のイタリア・ヴェネツィアのようにお金と時間がかかる場所まで、様々な動画が投稿されている。下記の関連動画を参照。
また、ニコニコ動画で流行したネタの起源や発祥となった動画に対して、同様の意味で「聖地」、「聖地巡礼」というタグが用いられることがある。特に偉大なムーヴメントを起こし、かつ権利者削除された動画などに顕著。
ニコニコ文化圏発においての健全な聖地巡礼例は確認されていない。例のアレ系は存在するもよう
閲覧者が聖地巡礼レポートをしないからあくまでも拡大解釈で参考事例ではあるがニコニコニュース朝鮮中央テレビ発の聖地として東京都品川区の京急本線鮫洲駅とその駅前にある鮫洲商店街、警視庁鮫洲運転免許センターがある。同放送で流れる音楽の空耳が元になっていて興味深い。
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最終更新:2024/10/10(木) 02:00
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