『聖戦士ダンバイン』とは、1983年から1984年にかけて放映された日本サンライズ制作のテレビアニメである。
監督は富野由悠季。
動画タグor条件検索:ダンバイン or 聖戦士ダンバイン
バイストン・ウェルの物語を憶えている者は、幸せである。心、豊かであろうから…
私達は、バイストン・ウェルの記憶を記されてこの世に生まれてきたにもかかわらず、
思い出すことのできない、性を持たされたから…
それ故に、ミ・フェラリオの語る、次の物語を伝えよう…
概要
当時としては珍しい異世界ファンタジー物語のロボットアニメである。
また、異世界転移作品が日本アニメ界で流行する前に制作された、先駆者的な作品ともいえる。
『バイストン・ウェル』と呼ばれる、中世ヨーロッパ風の異世界に召喚された地上人ショウ・ザマの戦いを描く。『オーラバトラー』と呼ばれる昆虫の様な人型ロボット、曲線多用デザインの『オーラシップ』と呼ばれる空飛ぶ戦艦が登場し、オーラバトラーのパイロットは選ばれし者『聖戦士』と呼ばれる。
『無敵超人ザンボット3』『伝説巨神イデオン』ほど過激とは行かないまでも、総監督富野由悠季の異名『皆殺しの富野』に相応しい、血で血を洗うストーリーが展開される。
氏特有の『機動戦士ガンダム』で、『宇宙』を『そら』、『伝説巨神イデオン』で『無限力』を『むげんちから』と読ませた言語感覚はこの作品でも受け継がれ、世界観のキーとなる生体エネルギー『オーラ』の強さを表す用語『オーラ力=オーラちから』が視聴者の胸をうつ。
現在でもたまに使われる、ゲームやアニメのキャラクターが一時的に超パワーアップする現象を指す語『ハイパー化』もこの作品が由来である(37話~)。
世間的には「聖戦士=イスラム世界のため聖戦を行う者たち≒過激派テロリスト」に近い印象を与える物騒な用語ではあるが、アニメファンの間では聖戦士といえばこのダンバインの話題にしかならない(次点:聖闘士星矢)あたり、日本の平和に一役買っている(?)偉大な作品でもある。
余談だが、放送中にメインスポンサーのクローバーが倒産したため、プラモデルを販売していたバンダイがメインスポンサーとなった(ただしビルバインの玩具販売はトミーが請け負った)。
1988年には、本作から700年後の世界を描いたOVAシリーズ『New Story of Aura Battler DUNBINE』が製作された。ダンバインの登場人物たちが転生を果たした世界での、オーラバトラーとバイストン・ウェルを巡る物語となっている。(ただしシルキー・マウとショット・ウェポンの2名に関しては、転生ではなく「ダンバイン」本編で登場したキャラクターと同一人物である。)
また、直接の関連作として後年、富野監督本人によって後述の小説が執筆され、それらは『バイストン・ウェルシリーズ』ないし『バイストン・ウェル・サーガ』などと呼ばれている。
主な登場人物
- ショウ・ザマ
- 声:中原茂
主人公。ある日突然に剣と魔法のファンタジー世界バイストン・ウェルへと召喚された、18歳の日本人高校生。
漢字表記は「座間 祥」。東京都の東吉祥寺在住。愛情に欠けたカネ持ち家庭の一人息子に生まれ、友人にも恵まれず、鬱屈した心を空手やモトクロスにぶつけていた孤独なスポーツ少年。
- バイストン・ウェル全土の征服を企む地方領主・ドレイクの配下とされるべくして呼び出されたが、その野望に反発しニーやマーベルらの抵抗勢力へと与するようになり、戦いを通じてオーラバトラー戦闘の才能と並外れたオーラ力に目覚めてゆく。
アゴについた「×」字の傷跡が特徴。
- マーベル・フローズン
- 声:土井美加
ショウよりも前に召喚されていたアメリカ人の女子大生。テキサス州生まれのクールで知的な美女。
ドレイクの野望を阻止すべく、オーラバトラーのパイロットとなって戦っている。
はじめはチームのリーダーであるニー・ギブンに好意を持っていたが、やがてショウに魅せられてゆく。
- チャム・ファウ
- 声:川村万梨阿
背丈20cmほどのミ・フェラリオ(≒妖精)。厳しい戦いを続けるメンバーに明るさを振りまくマスコット的キャラ。
すべての戦いが終わった後に、ある重要な使命を帯びることになる。
- ニー・ギブン
- 声:安宅誠
バイストンウェル貴族の美青年で、ドレイクと同じ「アの国」の地方領主を務めるギブン家の長男。
オーラシップ「ゼラーナ」のキャプテンとしてショウたちをまとめる若きリーダー。
敵であるドレイクの一人娘リムルとは相思相愛で、仲間のキーンも含めた三角関係に悩む。
- キーン・キッス
- 声:高田由美
バイストンウェル人で、ニーのギブン家に仕えてきたキッス家の快活な少女。
ドレイク側に付いたキッス家と決別しゼラーナのチームに参加、支援飛行機「フォウ」の操縦などを担当する。
ニーに惚れているが、恋敵のリムルを嫌いにもなれない優しい娘。
「美少女」ではないが、キャラデザインを担当した湖川氏お気に入りのキャラらしい。
- バーン・バニングス
- 声:速水奨
ドレイクの右腕を担う、銀の長髪をなびかせた勇猛なケツアゴ騎士。いわゆる美形のライバルキャラ。
生粋のバイストン・ウェル人には珍しいほど高いオーラ力を誇り、当初は召喚されたショウたち地上人パイロットの上官を務めるが、ショウの裏切りやその後も続く失態によって徐々に立場を失っていった。
彼の失脚後、バーンと声がソックリで銀髪な謎の仮面キャラ「黒騎士」が登場、怨念と妄執みなぎる猛攻がショウたちを苦しめる。一体何者なんだ・・・
- トッド・ギネス
- 声:逢坂秀実
偶然ショウと一緒に召喚された、アメリカ空軍の陽気な青年パイロット。
年下のショウにも気さくに接し、共にオーラバトラーの操縦訓練を受けていたが、ショウがドレイク軍を離反すると
敵対し何度も剣を交える間柄に。当初は説得を試みるショウだったが、彼の本質は直情的な正義感よりも異世界での好待遇を優先する現実主義者だった。 一方で、母への情愛には厚く、マザコン気味な面も。
スーパーロボット大戦シリーズでは、これらの原作描写から、対戦するたびにショウで説得を続けるなどフラグを立てればトッドが味方に加わる"if"がしばしば演出される。
- ジェリル・クチビ
- 声:大塚智子
- ショウ達に続いて召喚された地上人。赤髪に定評がある女性。
オーラバトラー・レプラカーンで何度となくショウと交戦するも撃墜され、最後はその悪意のオーラ力で前述の「ハイパー化」現象を見せた。
スーパーロボット大戦シリーズでも、倒したはずが大幅なパワーアップを果たして再度襲い掛かるなど多くのプレイヤーにトラウマを刻んだキャラとして、ダンバインを知らない人にも広く名前知られていると思われるが、原作ではショウを一時は追い詰めたものの機体がハイパー化に耐え切れず、自壊(自爆)する最期を遂げている。
- ドレイク・ルフト
- 声:大木正司
乱れ始めた世を憂い、機動兵器オーラマシンの兵力を駆使したバイストンウェル制覇を夢見て戦乱を引き起こした野心溢れるアの国の地方領主。
単なる悪人ではなく、王者に相応しい器量や意志の強さを兼ね備えた戦国大名らしい人物。
- リムル・ルフト
- 声:色川京子
- ドレイクの一人娘。
反ドレイク勢力のニー・ギブンと惹かれ合っているが、そのドレイクの娘という立場や自己中心的なお嬢様気質、実母ルーザ・ルフトとの確執が周囲を巻き込むトラブルを何度も生むことに。
- シーラ・ラパーナ
- 声:高橋美紀
「聖女」と讃えられるナの国の女王。シーラ様。反ドレイク勢力の旗頭となってゆく気高き美少女17歳。
個性の強い湖川氏デザインのキャラクター達の中でも分かり易いほどの美少女キャラなので、頻繁に出番があるわけではないながらも当時のファン人気は高く、作画担当者たちもこぞって彼女をカキたがったというエピソードが残っているとか。
- ショット・ウェポン
- 声:田中正彦
『ロボット工学の新鋭』と謳われたアメリカ人の天才科学者。
バイストンウェルに召喚され、オーラマシンの開発に成功してしまった全ての元凶とも呼べる人物。
ドレイクに食客として養われているが、彼も独自の野心を抱く。
最後は愛人・ミュージィ共々倒されるが、OVA版では彼のその後が描かれており、地上とバイストンウェルに大きな戦乱を広めた罪で『肉体が滅びても永遠に死ねない』罰を科せられ、本編完結後も亡霊となって700年以上に渡り「死ぬ事」を渇望しながらバイストンウェルを彷徨い続けている。
- ナレーション:若本紀昭(現:若本規夫)
- 脇役キャラ(ドワ・グロウ、アレン・ブレディ、マーベルの父、通信士など)としてもしばしば出演。
主な楽曲
- ダンバインとぶ
- オープニング曲。歌:MIO / 作詞:井荻麟 / 作曲:網倉一也 / 編曲:矢野立美
-
- ライブでも迫力の人気曲
- みえるだろうバイストン・ウェル
- エンディング曲。歌:MIO / 作詞:井荻麟 / 作曲:網倉一也 / 編曲:矢野立美
関連動画
関連作品
関連項目