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肺炎とは、何らかの原因によって肺に炎症が起こる病気の総称である。
ウイルスや細菌、真菌(カビ)による感染症やアレルギーなどが原因になって肺の中の肺胞に炎症が起こる病気の総称のこと。重症の場合は死亡することもある。
肺炎の原因によって治療方法が異なり、細菌性肺炎の場合は抗生物質を使用する。重症の場合は入院や酸素吸入が必要になることもある。
特に高齢者は発症しやすいため、肺炎はしばしば「老人の友」と呼ばれることがある。
高齢者以外では乳幼児は肺炎のリスクが高く、成人でも糖尿病や脳卒中、心臓病、慢性腎臓病、慢性肝臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、自己免疫疾患(関節リウマチなど)、免疫力低下を伴う病気(エイズ、再生不良性貧血、白血病等)などの基礎疾患を持っている人は肺炎のリスクが高いので注意が必要である。
世界では年間4億人以上が肺炎にかかり、(COVID-19を除外しても)200万人以上が亡くなっているとされる。これは胃腸炎(コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、ロタウイルス等)や結核、エイズ、マラリアなどより多い。
(ちなみに結核と胃腸炎は年間100万人以上、エイズはコロナ禍以前は年間100万人以上でコロナ禍以降は年間約70万人、マラリアは年間約60万人が亡くなっている)
先進国では抗生物質やワクチンなどの普及により早期に治療すれば(基本的には)予後良好な疾患になりつつあるが、発展途上国では未だに脅威であり、(特に子供の)死因の上位となっている。
日本でも悪性腫瘍(癌)、心臓病(心筋梗塞など)、老衰、脳卒中(脳梗塞、脳出血)に次いで5番目に多い(全世代の)死因となっている。
また、最近の日本は高齢化社会なので肺炎で亡くなる人は年々増加傾向であり65歳以上の高齢者に限れば肺炎の順位はもっと上がる。特に85歳以上の超高齢者は肺炎が3番目に多い死因となり、脳卒中や老衰で亡くなる人よりも多くなっている。
ちなみに全世代の死因でも脳卒中を抜いていた時期(2011年〜2017年)もあった。
風邪の病原体(ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルスなど)やSARS-CoV-2(COVID-19の病原体)、インフルエンザウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、麻疹ウイルス、パラインフルエンザウイルスなどが原因となり得る。
主に風邪などが重症化した際に起こりやすい。ウイルスの種類にもよるが感染力が強く、飛沫感染または空気感染によって人から人に伝染することも多い。
単純ヘルペスウイルスやサイトメガロウイルスなどのヘルペスウイルスは滅多に肺炎を起こさないが、新生児やエイズ、悪性腫瘍、臓器移植などで免疫力が著しく低下している場合は重い肺炎になることがある。
RSウイルスは主に乳幼児の肺炎・気管支炎の原因として重要だが、高齢者にも肺炎を起こすことがある。
パラインフルエンザウイルスはインフルエンザウイルスと形が似ている(これが名前の由来でもある)が、全く別のウイルスである。乳幼児に重い肺炎や心筋炎を起こすことがある。
肺炎球菌やインフルエンザ菌(インフルエンザの病原体ではない)、化膿レンサ球菌(溶連菌)などが原因となり得る。ウイルス性の風邪やインフルエンザなどの後に、別の細菌が二次感染して重症化して起こることもある。
市中肺炎と院内肺炎があり、市中肺炎は一般的な社会生活で感染する肺炎、院内肺炎は入院患者に二次的に発生する肺炎のことである。
院内肺炎の主な原因菌としてはクレブシエラ・ニューモニエ(肺炎桿菌)や緑膿菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌などが有名。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のように多くの抗生物質が効かない細菌(薬剤耐性菌)もあるので注意が必要である。
マイコプラズマ肺炎やQ熱肺炎、レジオネラ肺炎、リケッチア肺炎、百日咳による肺炎などは原因菌が特殊な構造をしておりβ-ラクタム系抗生物質が効かないことから「非定型肺炎」とも呼ばれる。非定型肺炎の治療にはまた別の抗生物質が使われる。
非定型肺炎の中でも特にレジオネラ肺炎は重症化しやすいので注意が必要(ただしレジオネラ肺炎は他の多くの感染性肺炎と異なり、人から人に伝染することは無い)。マイコプラズマ肺炎は比較的軽症で済むことが多いが、稀に重症肺炎になることもある。
肺炎球菌やインフルエンザ菌などはワクチンが存在するため、一部の細菌性肺炎はワクチンを打つことで予防することができる。
ちなみに結核菌による肺結核や肺MAC症(結核菌以外の抗酸菌による肺炎)は定型肺炎とも非定型肺炎とも経過・治療方法・予防方法が全く異なるため、細菌性肺炎には通常含まれない。
ペスト菌によって起こる劇症型の肺炎のこと。ペスト菌といえば黒死病(腺ペスト、敗血症型ペスト)を起こす非常に危険な細菌として有名だが、稀に出血性肺炎を起こすことがある。
腺ペストと異なり飛沫感染するため感染力が非常に強く、容易に人から人に伝染する。
肺ペストにかかると血痰や喀血を伴う重篤な出血性肺炎を起こし、大至急(24時間以内に)抗生物質で治療しなければほぼ全員が死亡する(致死率はほぼ100%である)。
日本の感染症法では最も危険な一類感染症(エボラ出血熱や天然痘などと同じグループ)となっているため隔離が絶対必要であり、患者(無症状感染者を含む)は原則として感染症指定医療機関に入院となる。また、肺ペスト患者が発生した場合、状況に応じて都市封鎖(ロックダウン)が実施されることもある。
クリプトコッカスやニューモシスチス、コクシジオイデスなどの真菌(カビ)が原因となる肺炎。
ニューモシスチス肺炎は昔はカリニ肺炎と呼ばれていた病気で、エイズ患者の合併症として重要である。
トキソプラズマや回虫、マラリア原虫などの寄生虫が起こす肺炎のこと。
主に高齢者に多い細菌性肺炎の一種。食べ物や唾液などが誤って肺に入ってしまい、これらに付いていた細菌が肺炎を起こす。
ノロウイルスによる胃腸炎では激しい嘔吐を伴うため、吐瀉物や胃酸が肺に入ってしまい誤嚥性肺炎を起こすことがある。誤嚥性肺炎はノロウイルス胃腸炎の主な死因の一つである。また、逆流性食道炎(胃食道逆流症)の患者も誤嚥性肺炎のリスクが高い。
ちなみに細菌ではなく、胃酸などの化学物質が誤嚥性肺炎を起こした場合は「化学性肺炎」とも呼ばれる。
石油製品(ガソリン、灯油)などの化学物質を吸い込むことで、化学物質によって刺激されて起こる肺炎。胃酸による肺炎も化学性肺炎に含まれる。
化学性肺炎自体は感染症ではないものの、合併症として細菌が二次感染して重症化することもある。
医薬品の副作用によって起こる肺炎のこと。特にC型肝炎ウイルス治療薬や抗がん剤、漢方薬などが原因となることが多い。
感染症ではなく、有機化合物などの化学物質によるアレルギーで起こる肺炎。経過によって急性型、亜急性型、慢性型に分かれる。
軽症の場合は原因となる物質(抗原)を避けることで治癒するが、重症の場合は薬物療法や酸素吸入が必要となる。
発熱、激しい咳、痰など風邪に似ているが、胸が痛いとか呼吸が苦しい(呼吸困難)などの症状がある場合は肺炎を起こしている可能性があるため病院(呼吸器内科など)に行った方が良い。特に胸が痛い場合はすぐに病院に行くこと!
痰は黄色、緑色、赤色などの色が付くことも多く、特に肺から出血している場合は血痰が出たり大量に血を吐くこともある(喀血)。
発熱は高熱の場合もあるが必ずしも高熱が出るとは限らず、微熱の場合やそもそも熱が出ない場合すらある。むしろ高齢者は熱が無く、食欲不振や倦怠感など風邪と紛らわしい症状がみられない場合も少なくないので注意を要する。
マイコプラズマ肺炎は比較的軽い症状で済むことが多いため、「歩く肺炎」と呼ばれることもある。ただこれは逆に言えば「感染者が風邪と勘違いして出歩き、他の人に伝染させてしまうリスクが高い」とも言えるので注意が必要である。
重大な合併症としては低酸素血症や低血圧、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、呼吸不全などがあげられる。
細菌性肺炎の場合は敗血症や化膿性髄膜炎を、ウイルス性肺炎の場合は心筋炎や脳炎、急性脳症を起こすこともある。
マイコプラズマ肺炎は軽症で済むことが多いが、稀に重症肺炎や髄膜炎、脳炎、心筋炎、肝炎、膵炎、血小板減少、溶血性貧血、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症などを起こすことがある。
胸部X線写真、血液検査(白血球数、CRPなど)、喀痰検査などが有効とされる。病原体を特定するために痰、血液、尿を調べることもある。
肺炎球菌など一部の病原体はワクチンで予防できる。ビタミンCの補給が肺炎の予防・治療に有効とされることもあるが、詳細は不明である。
感染症法にある感染症のうち、肺炎を起こし得る感染症は以下のグループに分類される。
このうち最も危険な一類感染症と二類感染症は原則入院・隔離が(さらに一類感染症はロックダウンも可能となっている)、三類感染症以上は就業制限が、四類感染症以上は病原体に汚染された場所の消毒(と場合によっては物件の廃棄)が必要となる。
肺線維症、肺臓炎とも呼ばれる。通常の肺炎では肺胞の中が炎症を起こすのに対し、間質性肺炎(肺線維症)では肺胞を包んでいる肺胞壁が炎症を起こして硬くなるのが特徴である。
医薬品の副作用や放射線、自己免疫疾患(関節リウマチなどの膠原病)が原因となることが多い。
原因不明の間質性肺炎のことを特に特発性間質性肺炎(特発性肺線維症)と呼び、日本では厚生労働省によって特定疾患(指定難病)となっている。
急性間質性肺炎は予後がきわめて悪く、数週間程度で死に至ることもある。慢性間質性肺炎の場合は比較的予後良好で10年以上生存する人も多いが、稀に急性増悪を起こして予後不良になることも…。
炭疽菌の芽胞を吸い込んで起こる、非常に危険な感染症のこと。厳密に言えば肺炎ではなく、炭疽菌が胸部のリンパ節に感染して起こる。
発熱や筋肉痛、咳などインフルエンザに似たような初期症状が起こるが進行が非常に早く、数日以内に高熱、胸部の激痛、激しい咳、呼吸困難、ショックなどを起こして死に至る。これは炭疽菌の強力な毒素が胸部のリンパ節を破壊し出血させることで起こる。また、出血性髄膜炎(髄膜炭疽症)や出血性腸炎(腸炭疽症)を併発することも多い。
一応抗生物質による治療が有効とされるが、早急に治療しなければ致死率がほぼ100%(狂犬病に匹敵する)に達する上に、そもそも初期症状がインフルエンザに似ているため早期発見が難しいという特徴がある。
かつては動物の毛皮や羊毛などを取り扱う職人に多い職業病だったが、最近では(芽胞を作るため防御力が非常に高いという)炭疽菌の特性を利用したバイオテロとして発生することもある。ただし、人から人に伝染しないことは不幸中の幸いか。
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最終更新:2025/12/17(水) 02:00
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