背理法とは、数学における証明方法の1つである。帰謬法とも呼ばれる。
ある命題Aを証明したいが直接証明するのが難しい時に使われる手法。
手順としては、
となる。
つまり、「Aの否定を仮定し、そこから正しい論理のみで式変形などを施すと、ありえない結論に行きついてしまう。これは最初の仮定が間違っていたからに違いない。」という証明方法である。
なお、命題Aを仮定して矛盾が導けたときに、命題Aの否定が成立する、というのは厳密には背理法ではない。これは否定の導入と呼ばれ明確に区別される。後述する「√2が無理数であることの証明」なんかがわかりやすい。
このように定義されるため、「√2が有理数である」を仮定して矛盾が導けたならば、否定の導入により「√2が有理数でない」、すなわち「√2が無理数である」がいえてしまう(厳密には、√2が実数であることの確認が必須となるが、これは明らかである)。ただ、これらも含めて背理法と呼ぶことがある。
この証明方法の土台となるのは、「命題Aと命題Aの否定のどちらかが必ず成立する」という排中律という法則である。例えば、ある実数については「有理数であるか有理数でないか(無理数であるか)」のどちらかが必ず成立し、また、ある複素数については「実数であるか実数でないか(虚数であるか)」「代数的数であるか代数的数でないか(超越数であるか)」のどちらかが必ず成立することになる。
排中律は通常の論理学(古典論理学)では正しいが、直観主義論理など論理体系によっては排中律は無条件では認められず、命題毎に「命題と命題の否定のどちらかが必ず成立する」ことの証明が必要になる場合もある。
背理法(「Aでない」を仮定して矛盾が導けたならば、その仮定を除去して「Aである」を導くことができる)と排中律(「AであるまたはAでない」は仮定なしに用いてもよい)と二重否定の除去(「Aでない」の否定はAである)は、すべて互いに同値である。これは、以下の手順により、それぞれ証明ができる。
以上の4つにより、排中律、二重否定の除去がそれぞれ背理法と等価であることが示せているわけだから、背理法を媒介してこの2つの間の等価性も示せる。
この証明方法がよく使われるパターンとして、「ある数が無理数や超越数であることの証明」「ある条件を満たす数が無数に存在することの証明・存在しないことの証明」などが挙げられる。これは、それらの否定である「有理数である」「代数的数である」「有限個しかない」「存在する」などが数式で表しやすいのに対し、「無理数である」「超越数である」「無限個存在する」「存在しない」ことを数式で表すのが困難であるからである。
おそらく、一番有名な背理法による証明である。
素因数分解の一意性(任意の正の整数はただ1通りの素数の積に表すことができる)を利用する。
掲示板
4 ななしのよっしん
2021/04/10(土) 10:20:41 ID: 7aQo5a8OCi
>>3
(この記事にもあるけど)
説明する方も排中律 (「である」か「でない」かのどちらかにしかなりえない) が前提ということががすっぽ抜けてる場合があるので気をつけたい。
5 ななしのよっしん
2021/12/07(火) 15:46:07 ID: YuWLvVJd70
背理法vs悪魔の証明って
問題提起したお前が証明しろで終わりだよな
6 ななしのよっしん
2022/07/09(土) 01:00:46 ID: vyeNJrxSsE
数学に関係ない話でも
「相手の主張が正しいと仮定」
→「別の所で不合理や矛盾が生じることを示す」
→「相手の主張が誤りだとせざるを得ない」
こういう流れの論理展開に持ち込むのはよくある話
相手の主張を受け止める態度を示すことにもなる
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最終更新:2025/12/09(火) 21:00
最終更新:2025/12/09(火) 21:00
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