衆人に訴える論証 単語

シュウジンニウッタエルロンショウ

1.9千文字の記事

衆人に訴える論証とは、詭弁になりうる論法の一つである。

概要

多数が支持していることを根拠に、自らの説を正しいとする論一般を言う。基本的には多数が支持していることは実際に正しい場合が多いのだが、多数が支持していることの「全て」が「常に」正しいわけではない。よって、多数が支持しているというだけでは自らの説を「必ず正しい」と保することはできない。

わりと出現頻度の高い詭弁の一つで、2ちゃんねるの有名コピペネタ詭弁の特徴のガイドライン」では第五条に挙げられている。もっとも「詭弁の特徴のガイドライン」第五条には、多数から支持されているという事自体すら虚偽である場合が含まれているようだ。

該当しない場合

多数決による選択することが規則で定められている場合や、自然言語の用法のような社会慣習のように、「多数の人々が支持しているかどうか」自体が 基準となっている場合、「美しい」のように主観でしか決めようがない場合などは、「衆人に訴える論証」でも一定の妥当性はある。

「衆人に訴える論証」という用語は相手の詭弁であることを摘するためのものなので、こういった場面では用いられない。

そもそも、この種の議論では「絶対的な正しさ」をめていないと考えられる。

類似概念

衆人に訴える論証以外にも「正しい場合が多い」ものを「絶対に正しい」にすり替えて根拠とする詭弁は多い。

類似のものとしては、権威に訴える論証や伝統に訴える論証新しさに訴える論証がある。

反例

以前は多数に支持されていたが、間違いであったという反例で歴史的にも有名な話としては以下ようなものがある。

かつて人々は天動説を定説として信じていた、ガリレオは地動説を説いて宗教裁判にまでかけられたが、現在では天動説は間違いであったとされている

アインシュタイン相対性理論で、速く移動するものは時間の進みが遅くなるといった。また、重力間は曲がるとも言った。

時間間は普遍と思っていた当時の人々は全く理解できず、当初彼を支持するものは学者の中でも数人しかいなかったが、後の実験によってこれらは正しいことが明された。

上記以外にもモンティ・ホール問題など事例は多数存在する。

解決に向けて

たとえば「売れ筋No.1の商品だから他の製品より性が優れている」というようなに対しては、「売上と性は必ずしも一致しない」ことを摘すれば済む。問題はその議論の場における多数が衆人に訴える論証によって不当な意見を通そうとした場合である。

制度上の問題点

解決する上での深刻な問題点として、少数でも正しいを述べれば認められる環境・制度が必要であるという点がある。正かつ正確な判断力をもつ審判が存在して強制力を発揮できる環境でなければ、いくら正論を述べたところで結局のところ数で押し切られてしまうことが多い。

実際の議論の場ではこういった理想的な環境が用意されることは稀で、ネット上の議論では皆無である。会議などでは社長部長といった議論責任者が審判の役割を果たす場合もあるが、残念ながら正かつ正確な判断力を有しているとは限らないのが現実である。

現実的な対応方法

現実的には、衆人に訴える論証に対して反論するとしても、その場の「衆人」というのが偏った利関係者で構成され、多数決の結果が信頼できないということをするのが関の山かもしれない。どちらかというとノイジーマイノリティの問題である。

相手が真に多数派であるとき

相手がただのノイジーマイノリティではなく本当に多数説である場合、一つ忘れないで欲しいのは、あなたが傑出した天才などの特別な存在でない限り、確率論上は多数が支持していることの方が正しい場合が多いということである。

それでも反論するというのであれば、勢力の多寡によって決まる種類の問題ではないことを根拠にし、そこから論理を積み上げて自説の正しさを明しなければならない。反に使う根拠に間接的にでも「多数が支持しているから」というものが混じっているとブーメランになってしまう。衆人に訴える論証であると訴える前に、あなたの考えに思い込みが混じっていないか十分に検証したほうが良い。

なお、衆人に訴える論証であると摘するだけでは、命題が「正しい保がない」というのみであって、「間違っている」ことにはならないので、反論方法として不十分である。衆人に訴える論証の摘によって対等な対抗意見にはできるものの、相手のとの優劣は別の論理によってつけなければならない。

関連項目

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掲示板

  • 32 ななしのよっしん

    2025/07/31(木) 01:23:23 ID: EsePjijRGd

    最近だとこの「衆人」にあたる存在が本当に実在するか怪しい「イマジナリー衆人論」を振りかざすパターンかなりよく見る

    厄介なのが当人はその衆人の実在性を明しようともしないくせして、実在性を疑うと「だったら実在しない事を明してみろ、出来ないなら衆人は確かに実在する」的なサイケすぎる理屈でゴリ押ししようとしてくるところ

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  • 33 ななしのよっしん

    2025/07/31(木) 01:35:13 ID: +t1PwgIInv

    だったら実在する事を明してみろ、出来ないなら衆人は確かに実在しない って返したらどういう反応するのかなぁ

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  • 34 ななしのよっしん

    2025/07/31(木) 18:01:09 ID: EsePjijRGd

    たぶん理屈こねて論破宣言るだけだと思う

    なぜなら基本的にあの手の輩は「反論してるのは事実(と思い込んでるだけの偽不明の情報)を認めたくないから」「反論をする側に立責任がある」と本気で思い込んでるからね

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