覚醒剤取締法 単語

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覚醒剤取締法とは、覚醒剤濫用による保健衛生上の危を防止するため、1951年に制定された日本法律である。覚せい剤取締法

概要

法律
覚醒剤取締法
基本情報
日本国
法令
番号
昭和26年
法律252
効力 現行法
分野 化学物質関連法規
関連法令
法令テンプレート

覚醒剤は、俗に「シャブ」「スピード」「アイス」などと呼ばれる、中枢神経系を奮させる作用のある精神刺。心気を爽快にし、疲労を取り除き、眠気を覚ますとして、第二次世界大戦中から戦後にかけて広く用いられた。当初、覚醒剤依存性のない物と認識されていたが、次第に濫用が問題視されるようになった。中者による犯罪社会不安を引き起こし、反社会的勢力の資金となりうることから、1951年覚醒剤の濫用による保健衛生上の危防止のための必要な取締りを行うべく、「覚醒剤取締法」が制定された。

この法律では、覚醒剤だけでなく、覚醒剤の原料となる物質についても規制している。近年の覚醒剤取締法違反での検挙件数は15,000件/年、検挙人員は10,000人/年に上り、全物事犯検挙人員のおよそ8割を占めている。

覚醒剤取締法が制定された1951年当時は「醒」が当用漢字ではなかったため、法令上は「覚醒剤」ではなく「覚せい剤」と表記され、圏点(﹅)が付された。1981年に当用漢字表はされ常用漢字表が告示されたが、「醒」が常用漢字となったのは2010年法令名が「覚せい剤取締法」から「覚醒剤取締法」へと改められたのも2019年になってからである。

定義

覚醒剤」と、覚醒剤合成するための原料となる「覚醒剤原料」は、第2条において、以下の化学物質およびその類、ならびにこれらを含有するものと定義されている。

覚醒剤

覚醒剤原料

* ただし、エフェドリンとして10%以下を含有するもの、メチルエフェドリンとして10%以下を含有するもの、フェニルとして10%以下を含有するもの、ノルエフェドリンとして50%以下を含有するものは、それぞれ覚醒剤原料ではない。

指定

覚醒剤および覚醒剤原料の取扱いは定制である。定の要件、定権者、定の有効期間について、第3条、第4条、第6条、第30条の2、第30条の5で規定されている。

覚醒剤

意義 要件 有効期間
覚醒剤製造業者 覚醒剤を製造すること、製造した覚醒剤覚醒剤施用機関または覚醒剤研究者に譲り渡すことを業とすることができる者。 医薬品製造販売業者等(医薬品製造販売業者、医薬品製造業者)。 厚生労働大臣 定の日から、その翌年の12月31日まで。
覚醒剤施用機関 覚醒剤の施用を行うことができる病院または診療所。 精神科病院、診療上覚醒剤の施用を必要とする病院または診療所。 都道府県知事
覚醒剤研究 学術研究のため、覚醒剤を使用することができ、厚生労働大臣の許可を受けた場合に限り覚醒剤を製造することができる者。 覚醒剤に関し相当の知識を持ち、研究覚醒剤の使用を必要とする者。

第13条より、覚醒剤輸入輸出は一切認められていない。第14条より、覚醒剤の所持は、次の者が可である。

第14条第2項より、上記のほか、製造や研究の補助者、運送業者などが、その業務のために覚醒剤を所持する場合、法令に基づいて麻薬取締官が所持する場合が認められている。

覚醒剤原料

意義 要件 有効期間
覚醒剤原料輸入業者 覚醒剤原料を輸入することを業とすることができ、業務のため覚醒剤原料を輸入することができる者。 医薬品製造販売業者等、覚せい剤原料の輸入を業としようとする者、業務のため覚醒剤原料の輸入を必要とする者。 厚生労働大臣 定の日から、その4年後の12月31日まで。
覚醒剤原料輸出業者 覚醒剤原料を輸出することを業とすることができる者。 薬局開設者、医薬品製造販売業者等、医薬品販売業者、覚醒剤原料の輸出を業としようとする者。
覚醒剤原料製造業者 覚醒剤原料を製造することを業とすることができ、業務のため覚醒剤原料を製造することができる者。 医薬品製造販売業者等、覚醒剤原料の製造を業としようとする者、業務のため覚醒剤原料の製造を必要とする者。
覚醒剤原料取扱者 覚醒剤原料を譲り渡すことを業とすることができ、業務のため覚醒剤原料を使用することができる者。 薬局開設者、医薬品製造販売業者等、医薬品販売業者、覚醒剤原料の譲渡を業としようとする者、業務のため覚醒剤原料の使用を必要とする者。 都道府県知事
覚醒剤原料研究 学術研究のため、覚醒剤原料を製造または使用することができる者。 覚醒剤原料に関し相当の知識を持ち、かつ、研究覚醒剤原料の製造または使用を必要とする者。

罰則

第41条~第44条では、刑罰について規定されている。

覚醒剤

  • 覚醒剤をみだりに輸入輸出、製造した者は、1年以上の有期懲役に処する。営利的であれば、期もしくは3年以上の懲役に処し、情状により1,000万円以下の罰金を併科する。未遂であっても罰する。†‡
  • 覚醒剤をみだりに所持、譲渡、譲受、使用した者は、10年以下の懲役に処する。営利的であれば、1年以上の有期懲役に処し、情状により500万円以下の罰金を併科する。未遂であっても罰する。

覚醒剤原料

  • 覚醒剤原料をみだりに輸入輸出、製造した者は、10年以下の懲役に処する。営利的であれば、1年以上の有期懲役に処し、情状により500万円以下の罰金を併科する。未遂であっても罰する。
  • 覚醒剤原料をみだりに所持、譲渡、譲受、使用した者は、7年以下の懲役に処する。営利的であれば、10年以下の懲役に処し、情状により300万円以下の罰金を併科する。未遂であっても罰する。

第41条の8より、犯人が所持していた覚醒剤および覚醒剤原料、ならびにそれらの運搬に供した艦航空機車両収される。

麻薬特例法(際的な協力の下に規制物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律)第5条より、覚醒剤をみだりに輸入輸出、製造、譲渡、譲受した者は、期または5年以上の懲役および1,000万円以下の罰金に処する。

関税法第108条の4および第109条より、覚醒剤および覚醒剤原料の輸入輸出には、10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金に処し、あるいはこれを併科する(覚醒剤原料輸入業者、覚醒剤原料輸出業者が、厚生労働大臣の許可を受けて覚醒剤原料の輸入輸出を行う場合を除く)。

なお、刑法第54条より、ある行為が複数の罪名に触れる場合、最も重い刑によって処断される。

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