谷間に挟んで、ぎゅっとは (タニマニハサンデギュッとは) [単語記事]

おい貴様！　ここから先には「アニメ『聖剣使いの禁呪詠唱』第５話と原作小説第３巻のネタバレ」という《異端者》(メタフィジカル)が待ち受けている！
アニメか原作、いずれかの前世に目覚めたランクＣ以上の救世主(セイヴァー)でなくば、この先を通ることは罷りならん！　どうしても通るというならば、貴様の尻を私に差し出すがいい。貴様がこの先に進むに相応しい者かどうか、その尻をこの手でじっくりたっぷりむっちりねっとりしっぽりもっそりみっちりのっそり検分してやろう。無論その間は実戦部隊(ｽﾄﾗｲｶｰｽﾞ)副長である私、神崎斎子の自慢の美尻を撫で回して弄んで揉みくちゃに目茶苦茶に在りのままに我がままにしても構わんのだぞ？

　その腕を、静乃につかまれた。
　絶対に逃がさないとばかりに、ぎゅっと抱えられる。
　豊かな胸の感触が、むっちりと押し付けられる。
　気のせいか――いつもより柔らかい！
「浴衣だから、下着はつけてないのよ？」
　顔色を読まれてしまった！
「いや、なんと言いますかだな･･････」
　諸葉が狼狽していると、
「なあに？　聞こえないわ？」
　静乃は小さなえくぼを浮かべ、より傍で聞こうとするふりをしてますます体を密着させて、諸葉の腕におっぱいを押し当ててきた。
　頬が熱くなるのを感じつつ諸葉は逃れようとするが、静乃は決して放してくれない。
「谷間に挟んで、ぎゅっ」
「やめんかっ」
　腕がプリンのように柔らかさと弾力に富んだ胸に挟まれ、おモチのようにむんにゅりと心地よく締め付けられる。気持ち良いなんてもんじゃない感触だった。ぶわっと冷や汗が出て、動悸が激しくなって心臓壊れそうになるほどだ。
「なに考えてんだよもう･･････」

ＧＡ文庫『聖剣使いの禁呪詠唱③』P.194～195 より（文字色・サイズ・強調は引用者）

概要

アニメ『聖剣使いの禁呪詠唱』第5話「We Are The・夏 -We are the "Natsu"-」での出来事。

私立亜鐘学園高校は夏休みに突入し、実戦部隊（ストライカーズ）は一週間の強化合宿を迎える。しかし今年は副長・神崎斎子（かんざき・ときこ）の提案によりヴァカンスの比率を大幅に増やし、彼女の親戚が山口県の日本海側某所の島（アニメ版では下関市の角島（つのしま）をモデルにしているようだ）に所有するプライベートビーチ付きの別荘で過ごすこととなった。午前中は早朝からひたすら厳しい鍛錬に打ち込み、午後からは楽しく賑やかに過ごす、そして事ある毎にエロ鬼副長に卑語を囁やかれながら執拗に尻を撫で回される（アニメ版では更に菊門を拡張される、いわば『蜀黍(ﾄｳｷﾋﾞ)使いの菊門拡張(ｴｲﾅｽﾌﾞﾚｲｸ)』状態）。そんな仲間たちとの充実した非日常。だがその一方、いつものプライベートなひと時というものも恋しくなり･･････。

特にヒロインの一人・漆原静乃（うるしばら・しずの）は、普段から何かにつけて主人公・灰村諸葉（はいむら・もろは）にからかい半分で密着してくることが多く（その時は決まってえくぼが浮かんでいる）、二人きりで触れ合う機会の少ないこの合宿では相当寂しい想いを感じていたようだ。ねっとり兄さんこと賢典（ただのり）に無理矢理持たされた勝負浴衣（諸葉籠絡用）を着てしまうほどに追い詰められた彼女が、別荘と海岸を結ぶ人通りの無い林道で先を急ぐ諸葉を半ば強引に引き留めて言い放ったのがこのセリフである。

ＯＰとの対応

ここでＯＰ主題歌『緋ノ糸輪廻ノＧＥＭＩＮＩ』の冒頭の歌詞を見てみよう。

胸の間(あわい)　抱える剣　身体(からだ)を巡る　赤いぷよぷよ緋(あか)い記憶よ

剣＝諸葉の腕、赤いぷよぷよ＝おっぱい、緋い記憶＝静乃の前世の刻印、と解釈するならば、まさにこの「谷間で挟んで、ぎゅっ」の場面を描いたものになる（牽強付会）。

谷間が無くても、きゅっ

アニメでは尺の都合で残念ながらカットされてしまったが、この合宿では自称「世界一温かくて柔らかくて可愛い抱き枕」ちゃんが、逆に灰村諸葉の腕を抱き枕にしてしまうという抱き付き事案が発生している。

　マヤなんかは一番夢中で耳を傾け、のめり込むあまり、諸葉の腕を抱き枕みたいにして、両手両足でしがみついていた。
　腕で抱え込むのはともかく、素足はどうなのか。股に挟み込んじゃうのはセーフなのか。しかも今のマヤは水着で薄着。子どものすることとはいえ諸葉は疚しい気持ちがムクムクもたげ、股に挟まれたままの腕を動かすこともできない。
「これはいかがなものかな、まーや君」
　咳払いして、放すよう促す。
　マヤはハッと自分の粗相に気づいて、エヘヘとはにかむ。
　そこまでは天使ちゃんもかくやの可愛さだったが
「見て見てなのです、コアラの真似ー」
　突如いけない堕天使ちゃんと化して、ますますきゅっと手足をからめてきた。
「いいから離れなさいっ」
　諸葉が真面目腐った顔でメッすると、いたずらっぽく舌を出しながら放してくれた。

ＧＡ文庫『聖剣使いの禁呪詠唱③』P.102～103 より（文字色・サイズ・強調は引用者）