資本論とはドイツ哲学者カール・マルクスの著作である。哲学、政治学、経済学、歴史学と幅広い知識が集約されており、後世に与えた影響は極めて大きい。
資本論は全三部であるがマルクスが直接書いたのは第一部のみで二部以降はマルクスの遺稿を基にして、エンゲルスが編集している。第四部になる予定だった古典派経済学の批判に関する部分はエンゲルスの死後、カール・カウツキーによって「剰余価値学説史」というタイトルで出版された。聖書についで世界で二番目に発行部数の多い書物としても有名。アダムスミスの国富論、ケインズの一般理論と共に経済学史の最も重要な一冊であり、後世に与えた影響は図りしれない。
しかし、図書館などで資本論を見た事がある人なら分かると思うのだが、この資本論は目玉がとびでる程恐ろしく分厚い。日本語版なら出版社にもよるのだが、第一部だけで1000Pをゆうに超えている。日経BPクラシックスの資本論は第一部だけで4冊に分けられており、第一部だけで1800P近い。しかも中身もドイツ人特有の婉曲的な表現や難解な哲学用語、さらに古典文学や宗教、数学、統計学、衛生学に関する知識も要求されるので全て読もうと思ったら数ヶ月単位を覚悟しなければならないだろう。完全な理解となると年単位どころか一生かかっても不可能なのかもしれない。
しかし最近は池上彰や新書で高校生にも理解できる易しい解説書が手に入れられるので、マルクスに興味がある人は原著ではなくこちらを読んでみるのをオススメする。マルクスは一番最初の章が難しいことを自覚していたので、「もし難しいと思ったらとりあえず8章から読め」と書き残している(8章はイギリスの労働環境に関する章)。これに習って比較的易しい8章から読むのも良いかもしれない。しかし一昔前なら「大学生ならマルクスくらい読んでおけ」と言われていた程なので、自信がある人は是非原著を読んでほしい。
「資本論は労働者に向けて書かれた本なのに、なんでこんなに読むのが難しいの?[1]」資本論の読破にチャレンジした者なら誰もが一度は考える疑問である。この質問に対する答えを一言で述べるなら、「金持ち(ブルジョワ)を論破するためには金持ちの表現を用いる必要がある」からである。
もし資本論が義務教育すら受けていない労働者でも理解できる易しい文章で書いたならば、確かに労働者にも読めるようになるかもしれない。しかし、それでは逆に本当に知らしめるべきドイツの学会では無視されてしまうのだ。ブルジョワの立場からしたらしょうもない文章でいくら批判されたところで受け流すことができた。しかし資本論のようにブルジョワ側の高い教養で書かれた批判文ならばブルジョワもスルーすることは出来なかった。このマルクスの豊かな教養こそブルジョワ出身のマルクスだからこそ成し得たことであり、ブルジョワから最も恐れられたマルクスの要素であった。
勘違いされている人もいるかもしれないが、資本論は「労働者は搾取されている! 万国の労働者よ、団結せよ! 革命だぁ! 共産主義だぁ!」みたいなことが書かれている本ではない。(それは共産党宣言)
では資本論とはどのようなことが書かれている本なのであろうか? 一言で表すならそれは、「資本主義の分析」である。
マルクスは資本論の冒頭において資本主義を理解するのに「商品」というキーワードを用いている。これは資本主義を構成する最小単位が「商品」であるからである。物事を理解するときはまずその物の一番細かいものを分析しなければならない。例えば、生物を理解するためには細胞や遺伝子を分析する。化学を理解するなら分子や原子を学ぶのと同じようにマルクスは資本主義の最小単位を「商品」と定義したのだ。
そしてマルクスはこの商品の歴史的流通過程、特別な商品である「貨幣」の誕生、そして更に特別な商品である「労働力」を説明していき、最終的に搾取のメカニズムである「剰余価値」を明らかにした。
その他にもマルクスがグロテスクと形容する当時の労働環境をジャーナリスティックに描くことによって資本主義の非人道性や構造的矛盾を世に知らしめた。
有用であると言える。
むしろ21世紀の今だからこそ読む価値があるとすら言える。ソ連の崩壊をきっかけに地球を覆った「資本主義大勝利w」の意識は2008年のリーマンショックの金融恐慌をきっかけに反動に転じ、世界中で(特にアメリカを初めとした先進国)では資本主義に対する懐疑論が一気に吹き出始めた。
私たちの生きている資本主義という社会は一体どういうものなのか? 資本主義という社会システムは本当に正しいものなのか? あるいはそのような大きな観点でなくてもよい。なんで私の給料は上がらないの? なんであいつは金持ちなのに俺は貧乏なままなの? なぜ僕は仕事をクビにされたの? なんであの会社は好き放題にできるの? 資本論にはそういったことの構造的な原因を解き明かしてくれる偉大な古典なのである。
歴史の教科書では産業革命時の労働者の労働環境は、目を覆うほど悲惨であると述べているが、過労死や過労自殺が未だに存在する日本、そして契約社員をまるでモノの様に扱う現代日本社会はけして当時のことを笑えないのである。もちろん資本論を読み解くのは大変であるが、それを超えて得られる価値がこの150年前の書物には内包されている。
ただし、(これはマルクス本人も述べていることだが)資本論を読んだからといって読者の経済的困難が取り除かれるという訳ではない。当たり前だ。時代の流れは、あくまで個人の意思によるものではなく社会の発展と共に生まれていくもの。つまり苦労して資本論を読んだとしても得られるのは自分の境遇への理解と慰めだけであることもまた事実だ。しかし人は理由のある不安よりも、理由のない不安をより恐怖する傾向がある。たとえ知識だけであったとしてもその修得が無為であるとはけして言えない。
掲示板
7 ななしのよっしん
2023/02/05(日) 10:59:31 ID: lQcO0iPIrB
的場昭弘が3巻通しで書いていたのはノーチェックだった。祥伝社新書は武田知弘で地雷を踏んだことがあるから全力で避けて通ってた。
未プレイ勢からの評判がすこぶる悪いのはひとまず良いとして、全3巻通しではちゃんと要旨は踏まえている感じなんだろうか。自分は未読なので評価できる立場にはないが。
1.https://
2.https://
3.https://
>>az4396111118
8 ななしのよっしん
2023/06/24(土) 19:14:34 ID: iT/1jc6ekz
世の中間違ってる、とこれ読んで思うようじゃもう社会性動物として失格
金と地位を得てマウントとるための努力しなかったの?バカだね~って言ってるだけの本
マルクスはインテリのさらに上澄みであって、ルサンチマンの攻撃対象そのものだしな
9 ななしのよっしん
2024/03/16(土) 11:29:12 ID: lQcO0iPIrB
ネットde真実に対する熱い風評被害
一体どんなサイト参考にしたらそんなアホな文章書けるのか
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/24(水) 06:00
最終更新:2024/04/24(水) 06:00
スマホで作られた新規記事
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。