赤城(空母)とは (クウボアカギとは) [単語記事]

赤城(空母)とは、大日本帝国海軍が保有していた航空母艦である。

巡洋戦艦赤城

赤城は戦艦8隻と高速戦艦8隻を実現する八八艦隊計画の天城型巡洋戦艦（高速戦艦）のうちの1隻として建造された。
1番艦は天城・3番艦は愛宕・4番艦は高雄（他の候補に愛鷹）。赤城は2番艦であった。4番艦が愛鷹（あしたか）となっていればイギリスのリヴェンジ級戦艦（R級とも呼ばれる）のように各艦の頭文字が統一されることになっていた。

天城型巡洋戦艦は41cm 砲を10門搭載して当時存在していたどの戦艦よりも強力な火力と、巡洋戦艦として十分な30ノットの速力を実現した。

天城型巡洋戦艦はそれまでの巡洋戦艦とは違い、防御力も相当なものである。どれくらいかと言うと計画上は巡洋戦艦でありながら長門型戦艦よりも重防御であったほど。
ユトランド沖海戦で巡洋戦艦が甚大な被害を受けたイギリス海軍でもアドミラル級巡洋戦艦（フッド）から既に防御力の重視が始まっており、次世代型巡洋戦艦のG3級では史実でのネルソン級が31ノット発揮可能と言うような艦型となる予定だった。
一方、アメリカ海軍では戦艦の攻撃力と巡洋艦の防御力を持つ旧世代の巡洋戦艦そのものであるレキシントン級巡洋戦艦（正式名称では大型巡洋艦だが）の建造が始まっていた。

しかし、1922年の軍縮により戦艦の新造は中止とされ、天城・赤城、同時建造中だった加賀・土佐と言った主力戦艦も建造中止となった。

航空母艦へ

戦艦の保有に制限がかけられたものの、2隻は大型空母（という名の巡洋艦）として残してよいことになった。
天城と赤城はその2隻に選ばれ、空母への改装がはじめられた。アメリカでも同時期に建造されていたレキシントン級巡洋戦艦からレキシントンとサラトガが大型空母として艦隊に残ることになった。

しかし、1923年の関東大震災で天城が被災・大破し、天城の航空母艦への改造は中止されてしまった。
その代役が廃艦となる予定だった加賀（空母）になった。

赤城はそのまま改装が進められ、1927年無事に改装が完了した。
この頃の赤城は英国面に影響された3段式飛行甲板を持っていた。この時期の搭載機数は60機ほどであるようである。
また、条約で定められた範囲で搭載できる主砲は20cmであり、それを搭載していた。
速力は巡洋艦並の32ノットを発揮した。

後に連合艦隊司令長官となる山本五十六（当時は大佐）が赤城の艦長であったことがあるのだが、それはまさにこの3段の飛行甲板を持つ時代の赤城である。
赤城の大きさがよく分かる1枚の写真がこの時期に撮影されている。
隣に停泊してる艦は戦艦長門であり、赤城が巨艦であったことがよく分かる1枚である。

加賀がそうであったように赤城も次々に欠陥が発覚した。（煙突の問題がない分加賀よりマシだが）
3段式の飛行甲板は艦載機の発着を効率よく行うことを狙っていたのだが、結局は最上部の短い飛行甲板でしか運用を行えなかった。

加賀が大改装に入ると艦橋を飛行甲板の上に設置して操艦の問題を応急的に解決した。

艦歴は長い赤城であるのだが、第2次世界大戦前は主に改装で実戦に参加する機械は僅かだったようである。

なお、ライバルと言えるレキシントン級は改装当初から飛行甲板は1層で第2次世界大戦終結まで大きな改装をせずに戦い抜いた。（＝欠陥が無かったわけではない）

欠陥との戦い

先に改装を行った加賀の改装が完了すると同時に赤城も加賀が行った様な改装を1935年 11月より行うことになった。基本的な仕様は加賀と似通っている＝加賀の弱点はほぼそのまま赤城の弱点ともなった。
それも、予算不足で加賀に比べると様々なところでいい加減なものとなった。

さて、改装の内容であるが、飛行甲板を1層化し、余った部分を搭載能力その他の強化に充てるというものであった。
が、予算不足が災いし、艦の大きさの割に搭載能力は小さく（後述）、対空火力も中型空母の蒼龍並み、通風能力の不足や艦内の通路が迷路になるなどに多数の欠陥を抱えることになった。

外見上での特徴として艦橋が左舷側中央に設置されたことが挙げられる。
右舷に艦橋がある加賀と並べて航行中に内側に両艦の艦橋を持ってくることで連携をしやすくすることや、艦内の連絡を容易にすることを狙ったが、航空機の発着に支障が出ることが分かり、左舷中央に艦橋を置くと言うのは後の新造空母では採用されなかった。（赤城の改装と同時期の建造になった飛龍では採用された）
結果、赤城と飛龍だけの2隻だけが左舷に艦橋のある空母となった。

また、翔鶴型より充実した消火設備の増強や機関の防御などは赤城では強化されていなかった。

加賀より確実に優れていた点は艦橋に司令部を置ける点である。もっとも、加賀よりはマシと言うレベルでこの辺の解決は1944年竣工の新型空母大鳳までなかった。
通信能力も低く、それがミッドウェー海戦での赤城や他空母の戦没の原因の1つとなった。（これは実際に乗艦していた南雲機動部隊司令部の心配の種でもあった）

速力は改装で30ノットに下がったとも、さらに低速になったとも言われている。
もっとも、航空母艦としては26ノット以上で航行可能で長大な飛行甲板を持っていれば発艦での問題は起きなかった。

赤城の飛行甲板は真珠湾攻撃参加空母の中で最長であった。
長い飛行甲板を持つと言うのはそのまま発着能力が上がると言うことである。
ここに関しては最新型の翔鶴型よりも優れていた。（厳しい言い方をすると翔鶴型が艦の大きさの割にこの点が不十分とも）
搭載能力が艦の大きさの割に低いという欠点はあったが、長い飛行甲板は赤城の明確な長所となった。

また、加賀に比べると航続距離が短く、こちらが実用上の問題となった。
航続距離の短さは真珠湾攻撃で問題となり、艦内への多数のドラム缶の積載を南雲中将の責任で行って真珠湾攻撃に参加した。（他に同じく航続距離の短い蒼龍・飛龍も同様のことを行った。）

搭載機数

改装後の赤城の搭載機数として常用機数66機＋補用機数25機という数字が有名であるが、零戦・99艦爆・97艦攻のころには常用機数63＋補用機10と艦の規模の割に搭載能力が小さくなっていた。（赤城の搭載能力の少なさを加賀の搭載能力で補い、新鋭の翔鶴＋瑞鶴と同レベルの航空兵力を実現する予定であった。）
ところが、新型艦攻の流星を搭載した時の搭載機数案では翔鶴型や大鳳よりも搭載機数は増えている。

赤城は練習艦に転用される予定になってたとも言われており、戦没しなくても流星を搭載する機会があったかは不明である。
着艦制動装置の問題は改造で解決が可能な範囲。（実際に換装した艦は存在する）

同じように大和型戦艦が4隻そろった暁には金剛型戦艦や扶桑型戦艦も一部退役予定であった。
しかし、マル6計画の前半が完了した時の編成案によると当時稼働していた大型艦を退役させる余裕はなかったようだ。（全ては太平洋を挟んで向かいの国次第）

腹が減っては

基本的に海軍艦艇の食事は士気に直結し、それが戦闘、あるいは国家の命運を左右することすらある。
そういう理由から海兵の食事は海軍を運営する上で最も重要とも言える。
戦艦大和や武蔵の食事が良かったというのは様々な文献から見られることであるが、そもそも日本の大型艦はどれも食事内容が良かった。
赤城は大型艦の中でも特に食事内容が良い艦であった。（糖分まで完備という素晴らしいものである）

戦歴

赤城の戦歴はほとんどが第2次世界大戦参戦後から戦没までの半年で占められる。日中戦争勃発時は改装中で、改装を終了し、実戦参加が可能となったころには航空母艦の出番自体が少なくなっており、僅かしか実戦参加の機会はなかった。

元々航空戦の後詰を担当する予定であった赤城だが、空母の運用の変更により6隻の大型空母を1つの部隊として集中運用し、機動部隊として最大の航空兵力を誇る艦隊として運用されることになった。
6隻と言う数字は無線封止状態での連携を取れる限界の数であったという。

赤城は加賀と第一航空戦隊（一航戦）を組み、旗艦を務めることになった。一航戦の旗艦は機動部隊の旗艦でもあった。
司令官の南雲忠一中将が赤城に乗りこみ、赤城＋加賀（一航戦）蒼龍＋飛龍（二航戦）翔鶴＋瑞鶴（五航戦）の6隻の空母を擁する艦隊は艦隊司令の名前をとり南雲機動部隊と呼ばれることになった。
また、前代未聞の機動部隊の運用に際し、源田中佐などの航空戦の第一人者が数多く集められることになった。赤城1隻で戦闘機隊の板谷少佐、水平爆撃隊の淵田中佐、雷撃の神様として有名な村田少佐など多数の飛行長を抱えるに至った。（いずれも開戦時の階級）
他にも真珠湾攻撃に参加後、終戦まで戦い抜いた進藤大尉なども赤城に乗艦していた。
じゃ、南雲中将は何なのかと言うと、最強の攻撃力を持ちつつも脆さも前代未聞な空母機動部隊の艦隊の運用に終始していた。
艦隊運営のプロであり、かつ航空戦の素人と自他ともに認めていた南雲中将が司令にいたことは緒戦の大活躍につながったし、あるいはそのためにミッドウェー海戦で機動部隊が壊滅したとも言われる。（航空戦の指揮は基本的に部下の進言を採り、司令官の命令として採用していたようである）

1941年 12月の真珠湾攻撃時には「ﾆｲﾀｶﾔﾏﾉﾎﾞﾚ 1208」を受信し、機動部隊の各艦にハワイへの空襲を命令した。
この時のハワイ近海は荒れており、発艦が難しい雷撃隊は出撃を中止する予定だったという。
しかし、雷撃隊が南雲中将に直談判し、南雲中将の一声で雷撃隊も攻撃に参加することになった。雷撃隊は大荒れの海の中素早く発艦し、攻撃に向かったという。
機動部隊は見事大戦果をあげ、本土に帰還した。真珠湾攻撃が米軍の戦艦戦力を一掃したことで、日本海軍は南方作戦に集中できることになった。敵空母戦力を撃滅できなかったのは痛かったが、真珠湾にいなかったのはどうしようもなかった。
その敵空母は何をしていたかと言うと日本との開戦を予感し、ウェーク島やミッドウェー島へ航空戦力を輸送していた。（当時太平洋上に存在した敵空母は2隻だが、いずれも南雲機動部隊への攻撃を試みている。）

ただし、ハワイ沖から離脱後に敵空母出現に向けた準備は行っている。
この際に敵空母を捜索して叩いてしまおうと言う進言はあったが、これは南雲中将が艦隊の保全を優先して却下している。

続いて、南雲機動部隊は南方作戦の支援に当たることになった。（本当はこっちが本業で真珠湾攻撃は副業であった）
2月にパラオで相方の加賀が座礁し、修理のため戦線離脱し、5隻となり南方作戦を支援した。
南方作戦では多少の損害を出しつつも、行く先々の敵を圧倒した。

4月にはインド洋に出現したイギリス東洋艦隊の根拠地と艦隊攻撃に向かい、小型空母ハーミズと重巡洋艦2隻を撃沈し、日本は少数の航空機を失っただけという大勝利を収めた。戦艦5・中型空母2といった主力の撃破には失敗したものの、東洋艦隊は撤退したので戦略的にも日本が勝利したと言って良い。
その最中、ウェリントン爆撃機の奇襲を受ける。対空砲火も間に合わず、爆撃の投下を許してしまったものの、幸運にも被弾はしなかった。
しかし、2カ月後までその運は持たなかった…。

五航戦をソロモン方面に分派してインド洋から帰還中、本土では米空母2隻による空襲が行われていた。
南雲機動部隊は直ちに追撃の命令を受けるものの当時台湾にいた南雲機動部隊と米空母は余りに距離が離れすぎていた。
追撃は空振りに終わり、6月の出撃に向けて人事異動や艦のメンテを行うことになった。

しかし、真珠湾攻撃から南方作戦の間に南雲機動部隊の戦力は大幅に低下していた。
無理やりパイロットを揃えた真珠湾攻撃の時点でも既に加賀の搭載機数が定数割れしており、インド洋攻撃時は赤城・翔鶴・瑞鶴の大型空母が蒼龍飛龍と言った中型空母と大差ない搭載機しか持っていなかった。
次の作戦であるミッドウェー島を攻略するMI 作戦では戦闘機6機を増載することになったものの、赤城の積載能力を十分に満たすものではなかった。

5月、珊瑚海に分派していた五航戦より良い知らせと悪い知らせが入る。良い知らせは米空母レキシントンを撃沈、ヨークタウンを大破させ撃破したというもの。さらに同海域でレキシントンの姉妹艦サラトガを大破させたという潜水艦の報告も入った。
悪い知らせは珊瑚海に分派した本来の目的であるポートモレスビーの攻略が小型空母祥鳳沈没・航空戦力の多大な損失により失敗したこと。それからMI 作戦に五航戦の参加が難しくなったことであった。

とは言え敵主力空母3隻の撃沈・離脱とこちらの主力空母2隻に小型空母1隻の離脱や喪失。
状況は有利になるはずであった。
南雲機動部隊は一航戦と二航戦が出撃可能で、敵空母は多く見積もって大型のエンタープライズにホーネット、中型空母ワスプの3隻。それに基地航空隊。
ミッドウェー島を無力化した後に空母3隻との戦闘を行い勝利することは十分に可能であった。
が、出撃可能な一航戦・二航戦でも問題が起きていた。
作戦準備と人事異動が重なり、作戦準備がいい加減になってしまっていた。
具体的には搭乗員の錬度の低下が起きていた。南雲機動部隊は次の作戦出撃を7月、無理なら6月中旬までの作戦延期を求めている。（ただし、延期していた場合はサラトガが復帰したり、米空母の雷撃機が新型のアヴェンジャーになってた可能性がある。）

アメリカに時間の猶予を与えれば与えるだけ日本は不利になることから十分な作戦準備ができないままミッドウェー島に向けて南雲機動部隊を先鋒に帝国海軍のほぼ全戦力は出撃した。
五航戦は出撃不能で、四航戦（隼鷹＋龍驤）と三航戦（瑞鳳＋鳳翔）は出撃可能であったが、それぞれ別の任務で出撃することになっており、南雲機動部隊に対しての戦力増強はミッドウェー島配備予定の零戦隊（赤城に先述の6機）と蒼龍に配備された高速偵察機だけであった。（それでも4空母で21機＋2機となかなかのものである）

ミッドウェー海戦も参照

6月5日、ミッドウェー海域に到達した南雲機動部隊は偵察機を出しつつ、作戦の第一段階であるミッドウェー島の空襲を開始した。
本来は赤城乗艦中の淵田中佐が攻撃隊指揮官となる予定であったが、体調不良により飛龍乗艦の二航戦の友永大尉が攻撃隊の指揮官を務めた。
この時点で一航戦の村田雷撃隊と二航戦の江草艦爆隊は温存されており、敵空母の出現の報があれば最強の航空隊がすぐに敵空母を沈めに行けるようにしていた。

しかし、ミッドウェー島の空襲ではミッドウェー島の戦力をうまく削ることはできなかった。
と、同時にこの時点で敵空母発見の報は無し。
逆にミッドウェー島航空隊が南雲機動部隊発見の報を展開中の全軍に伝えてるところであった。（空襲されてからではなく哨戒機が発見した。）

南雲中将はミッドウェー島への再度の空襲を決意し、敵空母出現に備えていた飛行隊をミッドウェー島攻撃に使用することを決意。
対艦用の装備を陸上用の兵装に切り替えることを命じた。

しかし、切り替えを命じた直後、護衛の巡洋艦利根所属の偵察機から空母発見の報が入る。
空母が出現した以上、空母の攻撃を優先しなければならない。
幸い兵装転換の命令は発令した直後であり、再度艦船攻撃用の装備に変えるのはそんなに難しいことではなかった。
問題であったのは艦隊防空の戦闘機（以下直掩機と表記）の発着、ミッドウェー空襲隊の収容、空母攻撃の準備の3つを同時に行うことであった。
利根偵察機が報告した位置から考えると敵空母からの攻撃を受ける前に何とか攻撃隊の発艦を行える見込みであった。
南雲機動部隊司令部が実際に得ることが出来た情報から考えると間違った判断はしていなかった。
日本時間の6月5日8時ごろに4隻から最高の空襲隊が発艦する見込みであった。

だが、実際には得られるはずの情報は得られていなかったのである。
後方に存在する主力部隊の旗艦大和では敵空母らしきものと通信してると思しき電文を受信していたが、赤城ではその電文を受信できていなかった。
さらに当日、筑摩から発進した偵察機は空母の近くを飛びながらも悪天候のため空母を発見できなかった。
その後、遅れて発進していた利根所属の偵察機は幸運にも敵空母（エンタープライズとホーネット）を発見するも、機器の不具合で正しい位置を伝えられなかった。

…南雲機動部隊が思っていた位置よりずっと近くに敵空母は存在したのである。（誤差が200キロもあった）

その頃南雲機動部隊では付近に潜水艦発見の方が入る。
赤城を護衛していた駆逐艦嵐が直ちに攻撃を加えた。

南雲機動部隊はヨークタウンを発艦したデバステーター雷撃機の攻撃を受け、赤城への攻撃を許してしまった。
この時、南雲中将は赤城の艦長の青木大佐に対し「操艦させろ」と言って司令官自ら舵を握り、鈍重な大型空母で見事に魚雷を回避して見せたという。

ヨークタウンの雷撃隊は直掩の零戦にほぼすべてが撃墜され、艦の被害もなかった。

また、潜水艦を撃退した駆逐艦は艦隊に戻り、機動部隊の護衛を続けるのだが、その帰り道をエンタープライズを発艦したドーントレス艦上爆撃機の集団に尾行されてしまった。
日本の駆逐艦に誘導された艦爆は加賀に攻撃を開始、4発の命中弾を得ることが出来た。
零戦隊が艦爆の攻撃を許してしまったのは、ヨークタウンの雷撃隊を全力で迎撃しすぎたためであった。結果として上空警戒が薄くなり、艦爆を撃墜どころか、攻撃の妨害すらできなかった。
さらに偶然、ほぼ同時にヨークタウンから発艦した艦爆隊も蒼龍を攻撃開始、こちらは3発の命中弾を得、たちまち両艦は大破・炎上した。

嵐とは書いたが、ややそうであったかはやや微妙である。
潜水艦への攻撃を報告したのは被弾の約1時間前で、被弾の20分前には赤城の護衛を行っていた…と嵐側は主張している。
南雲機動部隊には他に駆逐艦はいたため、このどれかなのかもしれない。

この辺もいつか明らかになるのだろうか。

赤城からは2隻が炎上する様子が見えたという。
赤城は難を逃れた飛龍と戦闘を継続する

…はずだった。

直後、赤城は4機の艦爆の奇襲を受け、1発ないし2発の爆弾が命中し、加賀や蒼龍と同じように大破・炎上した。
上記2隻と同じように艦載機や弾薬が次々に炎上した。
燃え盛る艦載機により消火活動も捗らなかった。

赤城を狙ったのは本来加賀を攻撃しようとしていたエンタープライズの艦爆隊で、連携に失敗したため半ば自棄になって近くにいた空母を狙ったのであった。
赤城の被弾は日本時間6月5日7時26分と言われている。攻撃隊発艦開始まであと30分程であった。なお、次に米軍の空襲を受けるのは日本時間の14時であった。

この4機の行動は先のヨークタウン雷撃隊の行動と共に歴史を動かすのに十分な意味を持った。

赤城が被弾・戦闘不能となったことで南雲機動部隊は明らかに劣勢となった。（米空母の航空戦力も被害は大きかったが、流石に飛龍1隻に比べると圧倒的に多かった）

戦闘不能となった赤城は火災の鎮火・航行の続行を目指して復旧を続けるものの、成果を得ることはできなかった。
加賀や蒼龍がそうであったように赤城においても護衛の駆逐艦は脱出者を拾い上げるだけで精一杯で消火活動の支援などやる余裕がなかった。

被弾から約9時間後、ついに赤城は完全に航行不能となり、復旧が諦められた。
すでに加賀と蒼龍は沈没を待つだけの状態であった。（日没直後に両艦は沈没）
この航行不能を報告を以て艦長は赤城の放棄を決定し、駆逐艦に自沈処分の要請を行った。
しかし、連合艦隊司令長官の山本五十六から赤城の処分を取りやめるように指示があり、駆逐艦は赤城の護衛を始めた。

最後まで航空戦を継続していた飛龍も夕方には被弾・大破した。（後に日付が変わった直後に航行不能と判断され自沈処分）
飛龍の戦闘不能により戦艦での本土への曳航も無理となったため、一旦中止された赤城の処分が行われた。（大戦後半の米空母や大型艦艇の沈みにくさはこの損傷した空母を後退させるための護衛を割く余裕があったというのが大きい。そんな余裕がない状況で炎上し続けた軽空母プリンストンは自沈処理をとられている）
日付が変わって6月6日、赤城は駆逐艦の介錯を受け、太平洋の真ん中でその生涯を終えた。