太宰の代表作の一つであり、小説はもとより、演劇や朗読など様々な形式によって出版や頒布、放映等がされている。
尺の長さ、テーマ性などから国語の教科書では定番中の定番であり、太宰の作品の中でも最も知名度が高い。そのためパロディの元ネタにされることもままある。
あまり知られてないが、パチスロ化もされていて、一部には人気がある。なぜ作った。
純朴な羊飼いメロスは、妹の婚儀の為に買い物をしようとシラクスの街を訪れた。だが街はひどく暗く落ち込んでいるように見えた為、町の人に理由を尋ねる。
それによるとシラクスの王ディオニスは人間不信から、多くの人々を処刑しているのだという。メロスには政治の事など何一つ解らなかったが、王の非道な行動に憤慨し、王を殺害せんと城に入り込む。しかし元より計画などあるはずもなく、あっさり捕まってしまった。
人間など私利私欲の塊で信用する事など出来ぬと語る王に対し、メロスは真っ向から反論。だが王殺しを企んだとして処刑される事となってしまった。
メロスは今更命など惜しくなかったが、唯一つ、残される妹が気がかりだった。彼女の婚儀を見届けてから死にたいと訴え、その為に三日の猶予を願い出る。そしてシラクスの石工にして親友であるセリヌンティウスが身代わりとなり、もしもメロスが戻らぬ場合は彼が処刑される事となった。セリヌンティウスは事情の一切を聞くや無言で友を抱き締め、毅然として縛を受ける。
王は人間に対する不信を証明してやろうと、この馬鹿げた申し出を受け入れるのだった。
メロスは急ぎ村に戻ると、誰にも自分が処刑される事を告げぬまま、妹の婚儀を見送ってから出発する。既に三日目の朝、メロスはシラクスを目指して走り出した。
だがその前に、思わぬ障害が待ち受けていた。川は氾濫して橋が流され、山賊が行く手を遮る。遂に疲労困憊となり倒れ伏すメロス。朦朧とする意識の中でその心は折れそうになったが、岩の隙間から沸きだす清水で気力を回復、再び走り出す。それはただ自分が死ぬため、親友を救うため、そして人を信じない王を見返すためだった。
日没の直前、ついにシラクスの街が見えてくる。セリヌンティウスの弟子が並走し、最早間に合わぬと告げるが、それでもメロスは刑場を目指して走り続けた。そして磔にされ、今にも処刑されようとしていたセリヌンティウスの許に到着し、遂にメロスは約束を果たす。
セリヌンティウスは告げる。「この三日間、自分はただ一度だけメロスが帰還する事を疑った。どうか自分を殴って欲しい」と。メロスもまた、ただ一度だけセリヌンティウスを裏切ろうかと考えた事を告白し、二人は互いに一発殴り合った。それから「ありがとう、友よ」と呼びかけ、抱き合って泣き出す。
その様子を見届けた王は、長らく捕らわれていた人間不信から解放されて改心する。恥ずかしげに「どうか自分も仲間に入れて欲しい」と告げてメロスを許し、人々は王様万歳と歓声を上げるのであった。
「トリビアの泉」にて「走れメロスは作者の太宰治が借金を返すために走り回ったことから生まれた」と紹介された(66へぇ)。
作品の最後に「古伝説とシルレルの詩から」とあり、古代ギリシャの伝承(ピタゴラス伝)およびドイツの詩人シラーのバラード「人質」を元にしており、正確には借金云々のエピソードは創作のきっかけ程度でしかない。
要約すると、太宰は熱海で豪遊し、様子を見に来た親友の檀一雄の宿代等までも使ってしまった。
積もり積もった諸々の支払いを待ってもらうために身代わりとして檀を熱海に置き去りにし、東京にいる井伏鱒二に借金を頼みに行った。
セリヌンティウス以上に待たされた檀はしびれを切らし井伏の元を訪ねると、太宰は井伏と将棋をさしていた。
檀は激怒した。
ながいけんの漫画「走れセリヌンティウス」は、同作品をセリヌンティウス視点から描いた短編である。
単行本「チャッピーとゆかいな下僕ども」所収。
作中ではメロスは口がうまい極悪非道の男で、罪が重なって逮捕されていよいよ処刑という段になり、勝手にセリヌンティウスを身代わりに立てて「わずかにでも自分が遅れた時は、心ゆくまで思いのままに彼の処刑をお楽しみ下さい」と告げる。
メロスの人となりを知るセリヌンティウスは「メロスは……メロスは帰ってきません!」と絶叫するも、人の良い王はメロスに言いくるめられてしまった。かくして処刑を待つ身となったセリヌンティウスは意を決して脱獄。村に帰って爆睡しているメロスを棺桶に詰めて担ぐと、町へ戻ろうと走り出す……
いい話と台詞が真逆になっており、原作と読み比べると爆笑必至の内容となっている。
ギャル文字翻訳コピペについては、vvズッ友宣言vvの項目を参照。
掲示板
150 ななしのよっしん
2024/09/17(火) 13:09:23 ID: rqB03rC9wa
最後の和解もディオニス=宿の主人と考えると呆れすぎて諦めただけかもしれんな
151 ななしのよっしん
2024/12/18(水) 02:25:35 ID: 8N/mYLFqZm
フィロストラトスのことをいつも完全に忘れてて
読むたびに終盤で併走しながらネガティブなことを言ってくる謎の男の存在で驚ける
152 ななしのよっしん
2025/01/13(月) 12:57:35 ID: KevkjllOrO
中学の頃使ってた国語便覧に走れメロスの読書感想文の例文が
載ってたんだけど、あれが印象に残ってる
「セリヌンティウスさま、本当によく頑張りましたね。」
「一言も恨みがましいことを言わないで、黙って待ち続けるあなたに、私は感動しましたの。」
「あなたは負けなかったのね。」
みたいなやつ
覚えてる人いる?
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最終更新:2025/04/08(火) 08:00
最終更新:2025/04/08(火) 08:00
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