軍艦とは、軍に属し、専ら軍事用途に用いられる船舶の総称。「軍用艦艇」の略。
狭義には砲やミサイル等によって武装した船舶を指す場合が多い。
ただし条件次第では非武装でもなりうる。(後述)
「艦船」と呼ばれる場合もあるが、そちらは民間船も含むためかなり広義である。
軍艦の定義とは国や時代によってまちまちであるが、現在では国連海洋法条約によって以下のような定義がなされており、概ね各国とも以下を満たす船舶のことを「軍艦」と定義している。
以上の4つであるが、このことから次のことが読み取れる。
以上、長々と軍艦の定義について書いたが、実際問題、一国の軍事組織が定義2~4を満たさないことは、事実上ありえず、定義1についても陸軍・空軍が河川・湖沼用の小型船舶以上のまとまった水上戦力を整備することも考えられないため(いやまあ、空母というか強襲揚陸艦「あきつ丸」などを建造し、あまつさえ潜水艦「三式潜航輸送艇(まるゆ)」まで建造しちゃった陸軍もあるにはあったけどさ・・・。こっちは陸軍船舶兵が運用している)、一言でいえば現在においては「軍艦とは海軍に属する船舶の総称」と少々乱暴な解釈でもかまわないだろう。
ただ、いずれにせよ軍艦とは武装している船、あるいは軍艦であるためには何らかの武装が必要であるとの認識は誤ったものであるという点には留意する必要がある。もちろん一定以上の艦艇においては自衛用の(必要最低限の)艦載兵器などが搭載されている場合も多い。
軍艦は一国の代表としてみなされ、他国から尊敬と礼節を持って遇される慣例があり、国際的にも商船などとは異なる扱いを多く認められている。
例えば、 軍艦は一国の領土の延長上にあると考えられ治外法権を持つ他、多くの他国の主権を免除される。また、外国の港に出入港するときは礼砲を撃つなどの外交儀礼が交わされる。無論軍艦だからと言って何でも許されるわけではなく、例えば無害通航権を主張して他国領海を航行するのは問題ないが、船舶としての航行のルールはその国家の法令に従わなければならないし、潜水艦は浮上航行しなければ無害通航と認められない。出入港の際も他の多くの入国手続きが免除されても検疫などの衛生上の審査は拒否できないなどである。
軍艦がこのように多くの特権を持つのは先に述べたように軍艦が一国の主権・尊厳や威厳、あるいは歴史や文化の象徴とさえ見なされるからであるが、これは同じ兵器である戦車や大砲、戦闘機や爆撃機などにはあまり見られない軍艦の特殊性である。例えば他国の戦車が自国をパレードすればそれは露骨な示威行為にしか見えないし、(航空ショーという例外を別にして)他国の戦闘機や爆撃機が頭上を飛び回っている状況で心中穏やかでいられるはずがないが、軍艦はかつてから他国を訪問し、外交の第一線で活躍してきた実績がある(従って、軍艦を操る海軍軍人には軍人としての能力とともに外交官的な資質も求められる)。勿論、軍艦も兵器である以上、他国近海で演習を行えばそれは脅しと取られるし、「砲艦外交」という言葉もあるようにただ「国際親善」のためだけに他国を訪問するわけではない。しかし、軍艦は治外法権が認められた動く領土でもあり、それを見学するとちょっとした海外旅行気分も味わえる所に戦車や戦闘機では味わえない感動があるのも事実である。
実際、現在の日本にも年数回は米海軍以外の軍艦が親善のために訪問しているので機会があれば見学に行かれることをおススメする。軍艦とか詳しくなくても普段見れないものが見れて面白いし、軍艦好きなら各国ごとの個性を比べてみるのも一興だろう。
そして我々は軍艦のこのような特殊性を理解した上で自国の軍艦に対して誇りを持ち、それと同様に他国の軍艦に対しても(たとえその国にどのような感情を抱いていたとしても)尊敬の念を抱くことが国際親善の第一歩ではないだろうか。
※ この項目は編者の独自研究によるものです。
軍艦の同型艦ないし姉妹艦の呼称において、「~型(英:Type)」(例えば金剛型戦艦)と「~級(英:Class)」(例えばアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦)という2種類の呼び方がある。
一般的には日本国海上自衛隊が「型」、欧米の海軍が「級」を用いているという認識でだいたいあってるが、厳密には型と級でそれぞれ意味がある。
具体的に言うと、「該当範囲では、型の方が狭くて級が広い」「同じ型の該当範囲では、海自が広くて欧米海軍が狭い」という関係になる。
「超弩級」という表現にもあるように、「級」は同型艦だけではなく、類似する他国の艦艇との比較においても用いられ、過去には級を基準として軍艦の戦力を条約により制限する規準にもなった。
一方、「型」はまさしく同型艦の区別に用いられたが、大日本帝国海軍では同型艦は神風型駆逐艦と松型駆逐艦の32隻が最大であるのに対し、アメリカ海軍ではフレッチャー級駆逐艦が175隻であり、これだけ多いと同型艦といっても修理・交換部品の管理が煩雑になるため、いわばロット単位での管理が要求されるようになった。
現在では、欧米海軍では新型艦の計画時にTypeを用い、1番艦が命名された時点でClassによる呼称に切り替える(例:DD(X)型→ズムウォルト級、45型駆逐艦→デアリング級)ようになった。
海上自衛隊では、対空レーダーを中心に艤装を大幅に変更した「はまぎり」以降の後期型も、同じあさぎり型護衛艦として一括りに管理しているなど、欧米海軍とは異なる取り扱いをしている。
ちなみに、大日本帝国海軍の軽巡洋艦「球磨」「長良」「川内」型を総称して「5,500トン型軽巡洋艦」と呼ぶことがあるが、上記分類を基準とすれば「5,500トン級軽巡洋艦」と呼ぶほうがより正しいと考えられる。
説明解説時にDDGだったりDDHだったりと
不思議なアルファベットが付属しているが、艦の種類を示す。
→ 船体分類記号 の記事を参照。
以上、軍艦の一般的な話を進めてきたが、大日本帝国海軍(以下、帝国海軍)における「軍艦」は少し違ったものになっている。
帝国海軍においては海軍に属する船舶を「艦船」と総称し、その中で戦闘用船舶を「艦艇」 と称することになっており、さらにその艦艇の中の一部の艦を「軍艦」と称していたのである。ちなみに帝国海軍で軍艦とされたのは以下の艦種である。
戦艦
練習戦艦
巡洋艦
練習巡洋艦
航空母艦
潜水母艦
敷設艦
砲艦(1944年10月艦艇へ類別変更)
水上機母艦
海防艦(1942年7月艦艇へ類別変更)
以上の艦はすべて艦首に菊のご紋章を抱き、帝国海軍の中でも特別扱いの艦であった。
掲示板
23 ななしのよっしん
2021/10/18(月) 21:43:01 ID: J4wbMCI7KD
未だにマスコミなどの報道関係で戦艦と言われるのは
イクラが載せてある方を連想してしまうせいか?
24 ななしのよっしん
2022/04/15(金) 13:14:17 ID: mRo2YAbPGT
単純に、戦艦の方が軍艦の一般名詞として定着してしまってるから
別に軍艦に限らず、武器積んだ飛行機は攻撃機だろうと爆撃機だろうとみんな「戦闘機」なのと同じ
25 ななしのよっしん
2022/05/03(火) 13:05:28 ID: /BhRQcozu4
軍艦ははっきり参照可能な定義がある現行の用語で、非武装でも空母でも潜水艦でも全部軍艦足り得るから、かえって使いにくいだろ
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/12(木) 01:00
最終更新:2024/12/12(木) 01:00
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