通信制高校 単語

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ツウシンセイコウコウ

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通信制高校とは、通信による教育で学ぶことができる高校である。

関連するとして、間に学校に通う一般的な履修課程の「全日制」、間など特定の時間に開く「定時制」がある。

概要

現実学校に登校することなく、通信教育を受けながらレポートの提出などにより単位を取得する教育課程のことである。

学年制よりも単位が多く、個人の進度で学習を進めていくことが可なため、法律上では最短3年以上の在学が必要だが、通信制には在籍期間の上限がないため、10年以上かけて卒業していく人もいる。単位があくまで卒業要件の基本となっているため、全日制のように学年ごとの単位にとらわれる事もこだわる必要性もないため、進級や留年といった概念が薄い。

通信制であっても、学校教育法により、所在地とする都道府県に届けを出し認可を受ける必要があり、(各都道府県認可基準にもよるが)本校となる学校施設(スクーリング用の教育施設、体育用の運動施設)が物理的に存在する事がめられる。

全日制・通信制を併用している学校は(全日制の時間外に開く定時制と同じように)施設をそのまま利用しているが、通信制のみの学校は、本校にスクーリングで来られない人のために、インターネット、あるいは他県にある塾や予備校などの教育サポート施設と提携した通信授業を行う事もある。

近年の状況

平成30年学校基本調によると、通信制高校の生徒数は18万6502人で、全日高校生徒数は315万559人なので、高校生の40人に2人は通信高校生という計算になる [1]
令和の時代に入ってからは2020年時点で通信制は20万人をえ、全日制は309万人と減少したことが報じられている。 [2]

2020年時点でも全日制・定時制と通信制とでは学生数に10倍以上の開きはあるものの、全日制・定時制の方が学生数は減少の一途をたどっているのに対し、通信制の学生数は逆に右肩上がりで毎年1万人のペースで増加してきている。 [3] [4]

通信制はもともと働きながらでも理なく通えるようにする労働者用の教育システムだったが、現在ではこのシステムが再評価されてきている。
「個々に合ったペースで学習できる」「通信でできるので通学がほぼ不要」「在籍期間が上限なし」というそ特性から、今まで想定されてきた勤労者だけでなく、不登校者、中退者、学業不振者など既存の学校に不適合だった層の人々の受け皿として、そして現在は、若年層のスポーツ選手や芸能人YouTubereスポーツプロのような、本業に集中しつつ並行して資格をとっていきたい層の人々に適した学習スタイル、つまり多様化してきた現在のニーズを満たすものとして注されるようになってきている。

その一方で、高齢者など成人になってから勉強し直したい層の人々も入学するケースや、芸能活動のため高校に行かなかったあるいは中退していた芸能人資格取得のため入学しているケースも引き続き存在している(スザンヌなどは中退した高校で履修した分の単位がまだ保存されていたため、校からのオファーを受けて同校の通信制に再入学している)。

学習・活動

基本的に自学自習により課題の添削(レポート)、面接導(スクーリング)、試験(テスト)等を通して単位を習得する。

学習 内容
レポート 通常は自宅で学習し、学校が定めた回数のレポートを提出し、添削導を受ける。
教科書で学習し、与えられた課題をレポートにして提出するのが流だが、最近ではインターネット活用したe-ラーニングを実施している学校もある。
クーリング 通信制高校にもスクーリングと呼ばれる、実際に学校に出席するという導がある。毎日の自学自習で分からない、あるいは疑問に思った事を、登校した時に質問するなど直接導を受けることを言う。一般的には登校日という考え方をされている。スクーリング学校によって特色があり、二回程度が流だが全日制のような毎日登校から年5日程度の合宿形式のスクーリングまで様々なものがある。
地学 全日制や定時制における遠足・修学旅行と同様に、学校側が学生を集めて遠出する形での授業も実施されている。史跡巡りやその土地の特産品作りなど伝統芸を学んでいく講座などもある。
部活動 厳密に言えば卒業要件としての学習とは異なるが、学校活動の一環として存在する。全日制にべると数自体は少ないものの人数も年々増えており、大会も開催されている。

事件・問題

■既卒の再入学は不可
通信制学校は働きながらでも取得できる教育課程だが、これは基本的に「学校卒業資格をもっていない人が働きながら資格を取るための課程」であり、すでに卒業資格をとってしまった人(既卒者・過年度生)は入り直すことはできない。
■通信制教育それ自体の問題
通信制教育では避けて通れない問題だが、にいる安心感から集中が散漫になりやすい・大幅に時間がくことで気が緩みやすい事が大きな問題点となる。
日本では流となっている全日制・学年制(現実学校通学するタイプ)にべると、友達など外部の人間と接触したりべたりする機会が少なく、建てた標の進捗も自分では客観的に確認しにくいため、やるべき事もやりたい事も見失ったあげく退学していく生徒もいないわけではない。
信州大学香山瑞恵教授は「強い動機付けを持った生徒には適しているのではないか」としつつも、「一方で、一般的な高校生にとって、映像教材だけで学習を継続するのは難しい。」としている。[5]
支援制度の悪用
では、就学支援制度を設置しており、特定の要件を満たした学生入学に際して補助支援)を給付しているが、これを悪用して本来は資格がない学生入学時でも要件を満たしたかのように申告し支援を不正に受給しようとする学校がある。
ウィッツ青山学園においては、前述の生徒入学も勘定に入れて1億5000万円以上を不正に受給していたため東京地検特捜部により宅捜索された。[6]
学位製造工場(ディプロマミル)の危険性
少子化による人口減少で学生数の確保が困難であることから、あるいは最初から学習不良人間学位める人間カモにするため、入学卒業の要件を低下させている学校もある。このような学校の中には学習導要領から逸脱した授業などを行うところもあり、実際の就学がされなくともお金と引き換えに「学位」をもらえる学位製造工場(ディプロマミル or ディグリーミル)とほぼ変わらない扱いをされるケースがある。
前述のウィッツ青山学園が、学生を集めて出かけたUSJへの学習旅行において、おみやげを買った時のおつり計算が「数学」の単位履修、移動中のバスで見た映画を「国語」と「英語」の単位履修、忍者博物館の見学や手裏剣投げ体験で「社会」や「体育」の単位履修とするなど、本来の学習導要領に満たないものを単位扱いしていたことが明らかとなっている。[7]
■全入にはならない可
通信制は大体の人が入学できるように思われがちだが、必ずしも入れるわけではないケースもある。
NHK学園高校においては、麻原彰晃三女(当時17)が、社会復帰のため通信制の入学を望んでいたが受け入れ先が見つからないため、NHK学園のWebサイトにあった「でもどこでも勉強できる」かのようなキャッチコピーにひかれて入学願書を出したところ、書類審だけで不合格通知が送られてきたあげく、三女が来られないよう入学式の日にも警察を呼ばれたという。[8]

関連商品

関連項目

関連リンク

脚注

  1. *入試すらない「N高」から慶大生が8人も出たワケexit 2019.10.25
  2. *通信制高校、初の20万人超え 小中学生は過去最少に (日本経済新聞 2020年8月25日 17:00)exit
  3. *年々生徒数が増加する通信制高校が担う新たな役割 (NewsWeek日本語版 2021年4月8日(木)18時15分)exit
  4. *通信制高校、初の20万人超え 小中学生は過去最少に (日本経済新聞 2020年8月25日 17:00)exit
  5. *毎日新聞 2016年4月6日
  6. *「就学支援金」不正受給か 詐欺容疑で三重の高校など捜索 東京地検特捜部 (産経ニュース 2015.12.8 19:42)exit
  7. *ウィッツ青山学園高校の“でたらめ授業” 文科省「通信教育の信頼を失わせる」と伊賀市に指導求める (産経WEST 2016.3.2 13:06)exit
  8. *松本 『止まった時計 麻原彰晃三女アーチャリーの手記』より
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