遠い海から来たCOO

遠い海から来たCOOとは、景山民夫による小説、およびそれをもとにしたアニメ映画である。

小説

『虎口からの脱出』と並ぶ景山民夫の代表作。2020年現在は角川文庫版が入手可能なほか、集英社の冒険小説全集『冒険の森へ 傑作小説大全』の15巻『波浪の咆哮』にも収録されている。

前半は少年が絶滅したはずのプレシオサウルスの子供と出会い成長していくさまを描く少年小説、後半はフランスの核実験計画をめぐる海洋冒険小説になっている。

角川書店の雑誌「野性時代」1987年6月号から1988年2月号に連載され、1988年3月に角川書店から単行本化。同年7月に第99回直木賞を受賞した（西木正明「凍れる瞳」「端島の女」と同時受賞）。選考会では前半の少年小説パートはほとんどの選考委員が絶賛したものの、後半の冒険小説パートに関しては「後半はまるでダメ」と断固否定する選考委員が複数おり、受賞決定に至るまでかなり揉めたらしい。ちなみに「直木賞受賞作史上唯一のSF作品」とする説がある。

前田真宏によるコミカライズ版（上下巻）もあるが、現在はわりとレア本。また、NHK-FM「アドベンチャーロード」（「青春アドベンチャー」の前身番組）でラジオドラマ化もされている。

映画

1993年12月11日公開。配給は東映。監督は今沢哲男。正式タイトルは『Coo 遠い海から来たクー』。

フィジーの美しい景色を丁寧な作画で描いている。特にジュリアン・レノンによる挿入歌『Children Of The World』に乗せ流れる海の光景は圧巻。

エンディングテーマは松任谷由実が担当。

あらすじ

イルカが泳ぎ回る透き通った海に浮かび交渉のたびに癖の強い酒を飲む習慣があるフィジー諸島の一つパゴパゴ島。
12歳の少年洋助は浜で首長流の子供を拾いクーと名付け母親代わりとなる。
クーと交流を深めるのも束の間、島には未知の水生爬虫類を狙い核実験が絡んだ特殊外国人部隊まで島に上陸し始め――

登場キャラクター　

クー
嵐が去った翌朝、浜辺に打ち上げられているところを洋助に拾われたプレシオサウルス(首長竜)の子供。すぐにガラスを把握するなど知能が高い。好物はマーガリン。徹郎曰く「洋助を母親に選んだ」。

小畑洋助(CV:山崎裕太)
小麦色に焼けた恐竜好きの12歳。ジェットスキーを乗り回し片道三時間かかる学校へ通うなど非常にタフ。母親は四歳の頃に交通事故で他界している。

小畑徹郎(CV:伊武雅刀)
海洋生物学者の洋助の父親。37歳。元は大学にいたがとある事件がきっかけでパゴパゴ島にやってきた。交渉の酒カバが大の苦手。当初はクーをアザラシだと思っていたが違うと気づいてからは大慌てで保護する。ウンコもペロリ。

トニー・ボトムズ(CV:神谷明)
緑色のティアドロップサングラスが特徴的な本島に住む太った白人男性。オーストラリア出身。小畑家にプロペラ機で物資を供給する役目を担う。七歳の頃から首長竜のファン。

キャシー小野(CV:山口智子)
マーメイドのように美しいインターナショナルプレス社所属のカメラマン。日系三世。カナダの海岸警備隊で働いていた過去があるため重火器に明るい。実は自然保護団体グリーンアースのメンバー。トニーの見立てでは88・58・90。

トンべルア酋長(CV:石田太郎)
66歳になるが未だに99歳の母に頭が上がらないマザコン村長。酒が大好き。

アマク老人(CV:槐柳二)
ニューカレドニアのマレ島に住む老人。島に打ちあがった大人のプレシオサウルスの死骸を発見する。

特殊外国人部隊
クーを捕まえるために派遣された部隊員。小畑親子を殺すようには言われていないがいざとなったら躊躇はしない。終盤はミサイルと20mm機銃を積んだヘリ使う。

ノルベール大佐(CV:家弓家正)
特殊部隊の恰幅のいいリーダー。フランスの核実験場確保のため首長竜の根絶を図る。

ルースラン艦長(CV:青野武)
フランス海軍トリトン号の艦長。

クストー
小畑家で飼っている利口な大型犬。

ブルーとホワイトチップ
洋助と仲のいい二匹のイルカ夫婦。

DVD化について

この作品は2020年になってもブルーレイはおろかDVDすら出ていない。
そのため正規の視聴方法はVHSしかないため幻の作品扱いされている。
DVD化されない理由は

1. 『ドラえもん のび太の恐竜』の盗作作品疑惑があるため
2. 原作者が幸福の科学の広告塔にもなった信者だから
3. 制作員会は既に解散しており権利関連が煩雑だから

などの理由が考えられているがハッキリとはしていない。盗作疑惑に関して原作者である景山はキッパリと否定している。

しかし、2021年に入り、アニマックスの7月8月期のラインナップに本作が入っており、複数回リピート放送もされているので、完全に放映できなくなった、というわけではないらしい。

後に2023年8月にはWOWOWにおいても放映されており、Yahoo!ニュースにも採り上げられた。アニマックス、WOWOW共にHD放送で画質は良好であった。しかし、Blu-ray化などの再ソフト化はまだ叶っておらず、Amazon Prime VideoやNetflixなどのビデオオンデマンドサービスでの配信の気配も無いままである。

関連動画

関連静画

関連項目

• 隠れた名作
• 盗作？
• 封印作品
• 竜頭蛇尾
• フィジー
• プレシオサウルス
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