都市雇用圏とは、都市圏を定義する方法の1つである。
概要
まず、都市圏の中核となる都市は、以下のいずれかの条件を満たす必要がある。
- DID(人口密度4000人/km2、かつ隣接区域すべてを含めた人口が5000人以上)の区域内の人口が1万人以上であり、郊外の条件を満たさない
- 郊外の条件を満たすが従業常住人口比(その都市の従業者数でその都市で従業する従業者数を割ったもの)が1より大きく、かつDID人口が中心市町村の1/3以上もしくは10万以上である
- 一部の区が1もしくは2の条件を満たす政令指定都市である
郊外の条件は以下の通りである。
- 中心都市への通勤率が10%以上の市町村を1次郊外とする
- 郊外市町村への通勤率が10%を超え、かつそれ以上の通勤率を持つ市町村が存在しない場合、その市町村は2次以下の郊外である。ただし、
- 相互に10%以上の通勤率を持つ市町村の組が存在する場合は、通勤率が大きいほうが小さいほうの郊外になる
- 中心都市が複数存在する場合、それら全体への通勤率が10%以上の市町村を郊外とする
- 通勤率が10%以上の中心都市が2以上存在する場合、通勤率が最大の都市の郊外とする
- 中心都市および郊外市町村への通勤率が10%以上を超える場合、最大の通勤率のものの郊外とする
あまりに計算が複雑であるが、出てくる結果は市区町村単位なのでわかりやすい。各年の都市圏にどのようなものがあるかは、ここ
にCSV形式で掲載されているので参考にするとよいだろう。
決定のロジック
提案している論文
のロジックに従い、以下のように計算する。
- 第1ラウンド
- 中心市町村候補として、DID人口1万人以上の市町村を抽出する
- Iの候補の中から他の中心市町村候補の郊外を除外する
- 郊外市町村リストを作成する
- 中心市町村への通勤率が基準値(10%)以上の市町村を抽出し、その各市町村について通勤率が最大となる中心市町村を選択しその中心市町村の1次郊外市町村の候補とする
- 1次郊外市町村への通勤率が基準値以上の市町村を抽出し、その各市町村について通勤率が最大となる1次郊外市町村を選択しその1次郊外市町村の郊外(2次郊外市町村)の候補とする
- 同様の手続きで3次、4次…と求める
- 複数の次元の郊外市町村候補になった場合、通勤率が大きいほうを選択する
- これにより郊外市町村のリストが完成する
- 第2ラウンド
- 第1ラウンドで得られた郊外市町村のうち、従業常住人口比が1以上、かつDID人口が中心市町村のDID人口の1/3、もしくは10万人以上の市町村、もしくは1つ以上の行政区がこの条件を満たす政令指定都市を所属する都市雇用圏の中心都市に加える
- 各都市圏の中心都市への通勤率(複数ある場合はその合計)を計算し、それが基準値以上の市町村を1次郊外市町村候補とする。どの中心市町村の郊外にするかはその中で最大の通勤率を持つものとする
- 以下、2次郊外、3次郊外を求める手順は第1ラウンドと同様
- 第3ラウンド以降も第2ラウンドと同様の手順を行う。ただし、中心市町村のDID人口の1/3という部分は、中心都市1市町村のDID人口と読むものとする。この手順を収束するまで繰り返す
論文では、中心都市のDID人口が5万人以上の都市雇用圏を大都市雇用圏、1万人以上5万人未満の都市雇用圏を小都市雇用圏と呼んでいる(1-Iから、中心都市のDID人口は1万人以上いることが保証されている)。
非常に例外的な事例として、ある市町村Aから市町村Bへの通勤率と市町村Cへの通勤率が10%以上でまったく同じ(つまりまったく同じ人数が通勤している)場合がある(例: 2000年の山形県立川町(現在は合併して庄内町)。鶴岡市へも酒田市へも443人が通勤していた)。提案者は15歳以上の通学率を見てより大きいほう(酒田市)の郊外とすることで解決した。
関連動画
関連項目