重心(Center of Gravity)とは、物理学的・幾何学的な点の一つである。
重力のある場所でその物体を点で支えたとき、右にも左にも回転せず釣り合う(すなわち力のモーメントが合計ゼロになる)点のことである。
力のモーメントとは、小学校の「てこの原理」の単元で習った「支点からの距離×力の大きさ」のことである(ただし、「支点」は必ずしも固定しなくてよい。トルクの記事も参照)。
例えば、右に3kg,左に5kgの重りがついた太さが同じ棒の場合、その棒を5対3に分けた(内分した)点が重心である。
物体が棒か板の場合、1本指で支えて釣り合えばそこが重心である。
野球のバットなど、棒状のものであれば、両端に1本指を乗せて徐々に近づけていき、釣り合った点が重心となる。
板の場合、どこかを固定して吊り下げ、鉛直方向に線を引く。別の場所を固定して同じことを繰り返し、複数の直線が交わったところが重心である。
三次元の物体ならば、「線」を「面」と読み替えて最低3回繰り返すと重心が特定できる。
その図形のすべての座標の平均である(幾何中心)。
三角形の重心は、頂点とそれに対する辺の中点を結んだ直線(中線)3本の交点となる。
その図形が密度一定の物質でできている場合は、上記の物理的な重心と一致する。
異なる密度の物質でできている場合は、「その質点の質量×原点からの距離」の平均を取る必要がある。
特に、三角形の重心はその中線を2:1に内分する点である。
重心から鉛直に引いた直線(重心線)のどこかに支点があれば、物体は釣り合う。
このことは機械工学上、または人間工学上重要な性質である。
物体の運動は、重心の位置によって決まる。そのため、多くの物理では、物体を重心にすべての質量が集中するただの点・質点とみなしてよい。
物体を回転させた場合、その重心を回転軸とする。他の運動がある場合、重心がその運動をし、重心以外の点は重心の周りに回転する。
例えば、野球のバットを縦回転させながら斜めに投げると、バットの重心のみが放物線を描き、それ以外の点は重心の周りに回転運動をする。
人間が立っていられるかどうか、逆上がりができるかどうか、平均台から落ちないかどうか、など、運動学上重要な要素である。
人体の重心は、おへその下あたりである。
人が立っていられるのは、体重心が足の爪先同士かかと同士を結んだ四角形の上に乗っているときだけである。そこからわずかでもはずれた動きは不可能である。
マイケル・ジャクソンの「Smooth Criminal」で見せる大きく斜めに傾く動き(Anti-gravity lean)は、ワイヤーで吊ったり靴と床にフックを設けることで実現している。
鉄棒の逆上がりでは、体重心を鉄棒のどこに持っていくかによって成功するかどうかが決まる。
初心者は体を回転させることに意識が行きがちであるが、物理的には、体重心が鉄棒の上を越えれば逆上がりはできる。すなわち、お尻を「回す」のではなく、「鉄棒の上にひょいっと載せる」感覚に近いとおぼえておくとよいだろう(理解できることと実行できることは別であるが…)。
ロボット工学は、人体の動きをロボットで再現するものである。したがって、各部品の重心位置は慎重に決定されている。
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最終更新:2025/01/23(木) 19:00
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