野球賭博とは (ヤキュウトバクとは) [単語記事]

野球賭博とは、野球の試合の勝敗を対象とした賭博のことである。

概要

暴力団などが胴元となり野球の試合でどちらのチームが勝つかかけさせる賭博のこと。もちろん日本では賭博は法律で禁止されているため、違法な行為である。

高校野球の試合も賭けの対象になることもある。

黒い霧事件

黒い霧事件とは1969年から71年にかけて発覚した日本プロ野球史上に残る最悪の事件。詳細は黒い霧事件（プロ野球）の記事参照。

暴力団が絡む野球賭博に関連して複数の選手に八百長疑惑が上がり、最終的に複数の選手が球界永久追放など重い処分を受けた。

その影響は野球界を超えて国会でも取り上げられ、大きな関心を集めた。

近年の野球賭博事件

読売ジャイアンツ所属選手による野球賭博

2015年 10月にプロ野球読売巨人軍の福田聡志、笠原将生、松本竜也(いずれも投手）の3名が野球賭博に関与していたことが明らかになった事件。

10月5日に読売ジャイアンツの発表により福田選手の野球賭博関与が発覚し、更なる調査により他2選手の関与も明らかになった。10月21日の日本野球機構の記者会見によると2014年にプロ野球の試合結果を対象にした賭博に参加していたという。また、福田選手と笠原選手は野球賭博以外にも麻雀やバカラなどでも賭博を行っていたという。

11月9日には読売ジャイアンツは三選手との契約を解除することを発表。さらに、野球賭博には関与していないものの、球団の中で賭け麻雀や賭けトランプなどが常態化していたことも明かし、原沢敦専務取締役球団代表は責任を取って引責辞任したことも明らかとなった。

11月10日に日本野球機構の調査委員会から正式な報告書が出され、3名には無期失格処分が科された。また、監督責任を問われた読売ジャイアンツにも1000万円の制裁金が科された。同日、読売ジャイアンツは3名別々に契約解除を通達。警視庁も3名に対して調査を行っており、調査委員会も協力すると発表している。

2016年 3月8日、週刊文春により高木京介も野球賭博にかかわっていた疑いがあると報じられ、同日に読売ジャイアンツから発表があった。9日には本人による謝罪会見も行われた。22日には日本野球機構から高木に対する1年間の失格処分と読売ジャイアンツに対する制裁金 500万円が科された。同日、読売ジャイアンツは高木の契約解除を通達している。

また、この一連の賭博騒動の中で、ジャイアンツの選手たちが試合前に円陣を組んだ際に発する声でチームの勝敗を予想し、金銭のやり取りを行っていたことが発覚した。似たような行為は読売ジャイアンツ以外の多数のチームでも行われていたことが発覚し、それ以外にもエラーに対する罰金などの金銭のやり取りがあったことが判明した。

2016年 4月には日本野球機構から野球賭博に関する自主申告を促す特別措置を出し、全容解明に努めるとしている。

4月29日、元巨人の笠原が賭博開帳図利幇助（ほうじょ）容疑で逮捕された。賭け金の集金などを行い、野球賭博のほう助をしていた容疑である。これまでは球団内部や日本野球機構からの制裁であったが、いよいよ刑事事件にまで発展した。9月5日には東京地裁で裁判が行われ、検察側からは懲役1年2か月が求刑された。10月5日の判決では笠原には懲役1年2か月執行猶予4年の有罪判決が言い渡された。

笠原以外の3名の投手については8月10日に略式起訴され、同日に東京地裁から罰金の略式命令が出されている。

ダルビッシュ翔による野球賭博

2015年現在大リーグテキサスレンジャーズ所属のダルビッシュ有選手の弟であるダルビッシュ翔が2015年 10月に野球賭博をしていたとして逮捕された。胴元として自ら野球賭博を開催したほか、客としても参加していたという。

賭博の対象となった試合は日本のプロ野球だけでなくアメリカ大リーグの試合も含まれていたとされる。

12月には書類送検された。賭博の額は億単位に及んでいたとされ、胴元を務めた際は1割を手数料として徴収していた。

2016年 7月19日には大阪地裁にて検察側から懲役2年6か月が求刑された。9月27日に懲役2年4か月執行猶予5年の有罪判決が言い渡された。

JR東日本社員による野球賭博

2015年 11月にはJR東日本の社員100名以上が高校野球を対象にした野球賭博に関与していたとのニュースも流れた。

こちらは長期にわたり常態化していたとされ、JR東日本は何らかの処分を下す予定という。

大相撲野球賭博問題

2010年に発覚した、大相撲力士や年寄（親方）などが野球賭博に関与していた問題。現役力士の27名、年寄2名、その他にも床山などが関与していた。野球賭博のほかにも花札、賭け麻雀、賭けゴルフなどの賭博も常態化していた。

大関の琴光喜と幕下の古市、年寄の大嶽親方（元貴闘力）が解雇となったほか、現役力士は賭け額が少額であった一部力士を除いて謹慎休場、年寄は関与していた時津風親方（第16代、元時津海。暴行死事件で逮捕されたのは第15代でありその後継）は降格、直接関与していないものの弟子が関与していた年寄は全員謹慎となった。

この後に八百長問題も発覚した影響で2011年の春場所は中止。番付編成のための技量検査のために代替として技量審査場所が開催されたが、これは入場無料でNHKでの中継もなし（その代わりニコニコ生放送で中継された）、懸賞金もなし、相撲茶屋の営業や力士弁当の販売もなしという、興行色がかなり薄まった場所であった。夏場所からは本場所の開催が再開したが、NHKでの中継は行われなかった（秋場所から中継は再開された）。