鉄槌神エセルフィン

「鉄槌神エセルフィン」とは、<テーブルトークRPG「ソード・ワールド2.0」に登場する小神（マイナー・ゴッド）であり、愛されない妹キャラである。

格言

「出るものは均せ、そは平安へと通じる」

「引きずるものは捨てよ、足並みを乱す」

「競い合わせ、共に疲れさせよ。さすれば平穏は訪れる」

概要

初出はサプリメント「カルディアグレイス」。シエナクェラス地方で生まれた、第一の剣ルミエルに連なる小神である。

神になる前は刃神マキシムの妹であり、兄と同じく優れた鍛冶師であった。兄妹仲は良く、人族の若者が蛮族に対して反乱を起こしたときも、兄と力を合わせて彼らの為の武器を作ったという。（刃神マキシムの記事も参照）

反乱が失敗し、悲嘆に暮れる兄を見てエセルフィンは思った。※

「反乱が失敗したのは、お兄ちゃんと私が作った武器が弱かったからじゃない。戦士が勝手気ままに戦って各個撃破されたからだ。皆が平等に足並みを揃えて、目立たず、隙を作らず、均一に戦えれば、蛮族にも勝てるし、争いも起きないんだ。だからお兄ちゃんは悪くない」

※筆者の想像による誇張が含まれています

……兄に遅れること数年。この妄念調和の思想を聞き届けた始祖神ライフォスの導きにより、彼女も小神となった。なぜ導いたし

シエナクェラス地方から蛮族勢力が追い払われ、人族の国家が相争うようになると、エセルフィンの信者達は「突出した強国が現れるとさらなる戦乱を生む」と、各国の力関係が崩れないよう様々な工作を図っていたが、やがてその思想は、人よりも優れた才能・多くの財産を持つ者への妬みへと転化していった。同時に、力を持たない弱者も「足を引っ張ることにより全体の和を乱す」として排除するようになってしまった。

典型的な神格の歪み方をした小神である。そのあまりに極端な教義から、現在、シエナクェラス地方の人族の間ではエセルフィンは邪神と扱われており、公に信仰する者はいない。このため、第一の剣の神でありながら「エセルフィンをPCが信仰することは、推奨されません」とカルディアグレイスに明記されてしまっている。また、元々第一の剣の神であるため、蛮族もほとんど信仰していない。その代わり、権力者側にとっては都合の良い神でもある。

聖印は天秤と槌の意匠、神像も天秤と槌を掲げる女性の姿である。エセルフィンは天秤で個人を量り、秀でた部分を槌で打ち据えて平らに均すのだという。まさに邪神。ラクシアゴッドブックの神々の相関図では、ライフォスとしてもエセルフィンの平等に対する態度は問題視している事も仄めかされている。

特殊神聖魔法

様々な方向性で、相手の長所を潰す魔法が揃っている。
敵が使う分には基本的に「かなり鬱陶しい」程度の効果だが、PCの構成によっては涙目どころの話じゃなくなる。

前述の通り、基本的にPCが信仰することはない神だが（そもそも冒険者はエセルフィンの一番嫌う個性の塊である）、まかり間違ってエセルフィンプリーストのPCが誕生した場合、恐ろしく強力な存在となりうる。

基本的に抵抗突破が必要で、射程もそこそこあるため、後衛プリースト向き。

メタル・ファティーグ レベル2の特殊神聖魔法。 対象の金属鎧や装甲に金属疲労を起こし、防護点を2下げる。 対象がPCなら金属鎧装備、魔物なら『レベル ＜ 防護点』の部位でないと効果を発揮しない。 この魔法の恐ろしい点は、この低レベルで「抵抗：必中」であること。 平神官の行使でも掛かるし、イグニスブレイズ導入卓なら《ダブルキャスト》で【フィールド・プロテクション】や【セイクリッド・ウェポン】等の支援魔法と同時に行使できる。 PCが使う場合、『レベル ＜ 防護点』の魔物は結構いる（低レベル帯だとリザードマン・スケルトン・ドゥーム（胴体）等）ので、使い所には割と困らない。 ゴッド・ハンマー レベル4の特殊神聖魔法。 対象に威力20+魔力の衝撃属性ダメージを与える。 ただし、対象の現在HPが戦場にいるキャラクターの最高値だった場合、ダメージが+5される。 敵が使ってくる場合、味方のファイターが追加ダメージを受ける恐れがあるが、【フォース】と大差ないためそこまで怖くはない。 PCが使う場合、敵のボスは最多HPであることが多いので、安定して追加ダメージを与えられる。 【フォース】に比べると消費が重いが、低レベルから使える【ゴッド・フィスト】と考えれば軽い。何より起点指定の長射程が便利。 クオリティ・キャップ レベル7の特殊神聖魔法。 なぜか概要では『2dの最大値を「10」として扱う』と説明されているが、出目が「11」「12」になった時に「10」に差し替える効果ではない。 実際の処理は『2dの出目のうち、「6」の目を「5」に変える』となる。 一見すると地味な違いだが、7以上の出目が出るパターンが2つ減ってしまう（出目「1・6」「6・1」が「1・5」「5・1」＝6に変換されるから）。 そのため、7以上が出る確率が58.3％→52.8％に下がってしまう。 そしてこの効果は威力・打撃点の決定だけでなく全ての行為判定に及ぶ。 つまり、あらゆる判定の成功率が下がってしまうことになる。 平等って……なんだっけ？ まぁ、そうでもなければただの6ゾロ阻止魔法だが。 この処理でも、5.5％をどう考えるかで評価が変わってくる。 シングルアクション レベル10の特殊神聖魔法。 対象は、攻撃回数を増やす戦闘特技（《追加攻撃》《両手利き》《二刀流》《マルチアクション》《踏みつけ》）を封じられる。 《踏みつけ》はエラッタで追加された。 同様に、この魔法に☆（補助動作行使魔法）が付いていた誤りもエラッタで訂正されている。 イグニスブレイズで追加された同様の戦闘特技（《二刀無双》《ダブルキャスト》《マルチガード》辺り）の扱いは不明。 手数に頼る前衛（特にグラップラー）やMA型魔法戦士は涙目である。 魔物の場合、同名の戦闘特技はもちろん、同様の効果を持つ特殊能力（X回攻撃・X回行動・連続攻撃など）も封印する。 このため、PCが使った場合、抵抗さえ抜ければボスの戦闘力を大幅に削ぎ落とすことができる。 ライフ・イコライザー レベル13の特殊神聖魔法。 術者付近の抵抗できなかった有象無象のHPを合計し、均等になるように割り振る。 そして溢れたHPは蒸発する。 気絶や死亡したPC、失われた部位は対象にならないが、《不屈》で立ってるキャラクターはHP0以下でも対象になる。 回復とダメージソースを兼ねた効果ともいえる。 HPと防護点の高い相手だった場合、固定ダメージを与える魔法だと思って使うのもいいか。 難易度は高いが、上手く扱えば相手のHPを半分にしながら、味方は大幅回復といった芸当も可能。 使用例：フェアリーテイマーに低レベル妖精を召喚してもらう→《魔法制御》で敵のコア部位と妖精を対象に行使（妖精には抵抗放棄してもらう）→HP激減→瞬殺 間違っても、メイガスなんて使ってはいけない。合計HPを能動的に減らし、すぐさま消費HPを回収できてしまう。 もっとも、抵抗されたら終わりなので、強すぎる事はないかもしれないが。

考察

【ゴッド・ハンマー】と【ライフ・イコライザー】の性質上、味方全員のHP最大値が小さい方が運用しやすいかもしれない。
あるいは、HPを消費する召異魔法・占瞳・その他特殊能力を持つキャラクターとも相性がいいか。
つまり幻獣ククと相性がいい。

また、【クオリティ・キャップ】と【ライフ・イコライザー】には《魔法制御》が使えない点も注意したい。
後者は特に、計算を誤って自爆するのだけは避けたいところ。
……ただし前者は、魔法行使後すぐに補助動作で味方だけ解除すればいいという説もあるのだが。

関連商品

シエナクェラス地方が舞台となる公式リプレイ。エセルフィン神官も登場する。

関連コミュニティ

関連項目

• ソード・ワールド2.0
• ソード・ワールド2.0の神様一覧

ラクシアの神々（参考資料：ウィザーズトゥームp.138「神々の相関図・改訂版」+カルディアグレイスp.83-84）
神格	第一の剣勢力（人族サイド）	第二の剣勢力（蛮族サイド）
古代神	始祖神ライフォス　太陽神ティダン　炎武帝グレンダール 賢神キルヒア　妖精神アステリア　戦勝神ユリスカロア	戦神ダルクレム　死の神ザールギアス
大神	騎士神ザイア　月神シーン 酒幸神サカロス　慈雨神フェトル　秘隠神クス	腐敗の女神ブラグザバス　不死神メティシエ 眠りの神カオルルウプテ　霧闇神フラクシス
	風来神ル＝ロウド　狂神ラーリス
小神	水の神ルーフェリア　融合神リルズ　纏いの神ニールダ 器械神レパラール　剣神ヒューレ　韋駄天ラトクレス 刃神マキシム　鉄槌神エセルフィン　竜帝神シムルグ 学護神エッケザッカ	毒薬の神テメリオ　宥和神アーメス