長宗我部国親とは (チョウソカベクニチカとは) [単語記事]

「長宗我部国親」（ちょうそかべ・くにちか 1504 ～ 1560）とは、土佐の戦国大名長宗我部元親兄弟の父であり、没落した長宗我部氏の再興と息子達の代での繁栄の基礎を築いた四国の虎である。

※長宗我部国親の通称は「野の虎」

臥薪嘗胆

土佐国岡豊城主・長宗我部兼序の子に生まれる。

父・長宗我部兼序が本山茂宗による土佐国人連合に攻められて敗死した際に、岡豊城を逃れて一条房家（一条金定の曽祖父）の元に逃れて養育された。

一条家で保護をうけていた時も長宗我部家再興の夢を忘れず、一条房家が高楼にて酒盛りをしていた際に酒に酔った勢いで幼い長宗我部国親に対して

ここから飛び降りたら長宗我部の家を再興してやろう

と言うと、幼い長宗我部国親は飛び降りて見せたと言い、酒の席の冗談として飛び降りずとも良いと考えていた一条房家の度肝を抜いた他、長宗我部国親に従っていた長宗我部兼序の家臣達は、まだ若年の長宗我部国親の御家復興の念の強さに涙し、家中は復興にむけてまとまったと言う。

臥薪嘗胆の日々を送った後、管領細川高国より「国」の字を拝領して長宗我部国親は元服し、一条房家の調停による旧領の一部返還と岡豊城への復帰を果たすと、仇敵の本山茂宗の子・本山茂辰と自分の娘を結婚させて本山氏の外戚となり重用された。

為虎添翼

本山氏の一門として重用され、忠臣を装っていた長宗我部国親だったが、野の虎は草葉の陰に潜んで得物を狙うかのごとく、裏では周辺豪族の調略や姻戚外交により吉良氏に息子を送り込んで吉良親貞を名のらせて乗っ取る等して勢力を着々と拡大し、重臣吉田孝頼考案の一領具足と呼ばれる兵農組織をつくりあげる等、虎の牙と爪を研ぎつつ翼を用意して羽ばたく準備をしていた。

そして本山茂宗が死した時、野の虎は羽ばたいた！

疾風怒濤

本山茂宗の死後、後を継いだ本山茂辰に対して猛然と反撃を開始した長宗我部国親はまさに野に放たれた虎だった。

本山氏の所領を着々と侵略する翼を得た虎の牙は、世話になった一条家にも向けられ一条房家の孫・一条房基（一条兼定の父）の大津城を攻め落とし、その勢いに恐れをいだいた香宗我部親秀は、後継としてた弟・香宗我部秀通を殺害して、長宗我部国親の三男を長宗我部親泰を養子に向かいいれ、長宗我部親泰は名を香宗我部親泰と改めて家督を相続する等、長宗我部国親の勢いはまさに破竹だった。