阪急5100系とは、阪急電鉄・能勢電鉄が所有する鉄道車両である。
1971年に登場し、1974年までに90両が建造された。5200系に続く新製冷房車で、冷房車を各線(京都線・宝塚線・神戸線)で走らせるために機器類の規格が統一されている。
当初は6000系を名乗る予定だったが、当時京都線に乗り入れていた大阪市交通局60系の車番と重複する、と交通局より指摘があったため、空番であった5100系を名乗った。そのため、Mc車とM'c車を阪急では異例の偶数・奇数で区別したり、制御電動車として使用可能な車番である5100~5149を全て使い果たしている。現在、神宝線では唯一の本線を走るマルーン単色車系式である。
8両編成は宝塚本線の列車で使用されている。5132Fは4両編成になって箕面線の予備車として走ることもあった上、2016年6月には3000系置き換えのため、4両ずつに分割された2編成が箕面線の通常運用に使用されるようになった。
当初は京都本線・神戸本線でも走っていたが、5300系の導入により京都本線から撤退し、後に神戸本線からも撤退している。また、宝塚本線では1990年代後半までは朝ラッシュの増結運用(宝塚寄に2両増結)もあったが、2001年に6000系以降の車両に変更された。
このため、余剰となった増結編成は5000系リニューアルに伴う中間車捻出の穴埋めとして使用された。
なお、5136Fは一時変則編成[梅 5136-5686-5673-5137=5688-5675=5138-5139 宝]を組み、宝塚寄り2両を増結予備として使用していたが、増結運用終了に伴い現在の編成に組み直された。
1990年代には前面の更新が行われ、方向幕・種別幕の設置、標識灯・尾灯を窓の下に移設するなどの更新が行われた。2000年代には神戸本線の5000系リニューアル工事に伴い、5000系の間に挟まっていた2000系を抜き取り、代わりに5100系付随車を組み込んだ。これにより5100系17両が5000系に編入された。
2005年には先頭車4両、5111,5144,5129,5120が電装解除・中間車化改造を受け、車番もそれぞれ5761,5794,5779,5770に改番された。後者2両は下記のリニューアルと同時に施工され、運転台跡も残っていない完全な中間車となった。
5000系のリニューアルと同時期に5100系のリニューアルも一部の編成に行われ、5128F・5132F・5136F・5146Fに車椅子スペース、5128F・5136F・5146FにLED車内案内表示器が設置された。5128Fと5146Fは、5000系や7000系の更新車のように以下の様な改造が実施された。
なお、5128Fは1990年代半ばにシングルアームパンタグラフに交換されたが、5000系リニューアルに伴う中間車捻出により増結用2両が挿入され、挿入されたMc車は下交差型パンタグラフのままであったため、編成内で2種のパンタグラフが混在することとなった。
後のリニューアル改造に伴い、5120(電装解除により5770へ改番)のシングルアームパンタグラフが5140に移植されたため混在は解消された。
余談ながら、この際に5129(電装解除により5779へ改番)と5127の位置を入れ替えている。恐らく将来の支線・能勢電転用を見据えて前面幕を残すためであろう。
また、上記リニューアル車以外でも、冷房装置更新を受けた編成が存在する。
長らく休車となっていた5103,5112,5119が2014年に廃車となった。このうち、5112は7000系・7300系の前面を更新するためのモックアップとして使用され、廃車時には特異な形態となっていた。
5136F(8両編成)は能勢電鉄に譲渡され、2014年7月13日に阪神尼崎駅横の阪神車両メンテナンスへ回送された。阪急神戸本線→神戸高速線→阪神本線という経路で回送されたため、阪急電車が阪神本線を自走する(厳密に言うと能勢電鉄への譲渡後の回送のため能勢電鉄の車両)こととなり、多くの鉄道ファンを驚かせた。
回送された5136Fは中間先頭車のある4両目・5両目で分割され、5136F(4両編成)・5138F(4両編成)として以下のような改造を受けた(車番の改番は行われていない)。
改造を終えた5136F・5138Fは2015年1月に阪急へ返却され、再び阪神本線・神戸高速線・阪急神戸本線を走行した。同年3月から運行を開始。
2015年8月23日には5146Fが阪神尼崎へ回送された。5136Fとほぼ同様の改造を受け2016年1月より運用を開始した。ただし、種車が阪急時代にリニューアル工事を受けていたため、リニューアル車基準で改造を行われている。(ドア窓の大きさ、標識灯がLED仕様、初期リニューアル車特有の上昇式カーテンの存置など)
また、12月27日には5108Fが同じく阪神尼崎に回送された。同編成は4+2+2連となっており、これで能勢電鉄に残る1500系をすべて置き換えた。阪急時代からの差異に加えて、改造内容が異なるため前者4編成とは一部仕様が異なる。
1500系最後の4連編成の1551Fを置き換え、5108Fが2016年6月より運用を開始している。同月に1500系の2連編成2本も置き換えて、5124F・5142Fも運用を開始した。
その後は後継形式の6000系や7000系の転属・能勢電鉄譲渡が優先されたためしばらく動きはなかったが、2019年に今津(北)線で運用されていた2+4両編成の5102Fのうち、伊丹線代走編成に指定されていた後4両の5118Fが伊丹線に転属し、更に2020年に4連化された6001Fに置き換えられ廃車された。当編成の廃車により、神戸線系統よりマルーン単色塗装の車両が完全に消滅した(5102Fの前2両は2021年現在、正雀車庫にて休車中)。
パンタグラフ搭載の制御電動車5100形偶数車(Mc)、MGとCPを搭載した制御電動車5100形奇数車(M'c)、付随車の5650形(T、中間車化改造車To)が存在する。前面未更新(つまり原型顔)の先頭車を太字で示す。更新の欄は簡易的な更新車を△大規模リニューアル車を○で表記する。前照灯の欄は前照灯がLEDに交換された編成に○をつけている。
阪急3路線ラインカラーに基づいて、宝塚線所属をオレンジで、また能勢電鉄所属を黄で示す。編成表は2021年8月現在のもの。
←大阪梅田 | 宝塚→ | |||||||||||
Mc | T | T | M'c | Mc | To | To | M'c | 更新 | 前照灯 | 備考 | ||
5100 | 5650 | 5651 | 5101 | 5114 | 5761 | 5794 | 5115 | 5761はM'c5111、 5794はMc5144より改造 |
||||
Mc | T | T | M'c | Mc | M'c | Mc | M'c | 更新 | 前照灯 | 備考 | ||
5104 | 5654 | 5685 | 5105 | 5110 | 5143 | 5126 | 5145 | |||||
5106 | 5656 | 5657 | 5107 | 5116 | 5117 | 5122 | 5123 | |||||
Mc | T | T | M'c | Mc | T | T | M'c | 更新 | 前照灯 | 備考 | ||
5128 | 5678 | 5683 | 5127 | 5140 | 5779 | 5770 | 5121 | ○ | 5779はM'c5129、 5770はMc5120より改造 シングルアームパンタ搭載 |
|||
Mc | T | T | M'c | 更新 | 前照灯 | 備考 | ||||||
5132 | 5674 | 5682 | 5133 | △ | ○ | 箕面線用 | ||||||
5134 | 5684 | 5671 | 5135 | △ | ○ | 箕面線用 | ||||||
Mc | M'c | 更新 | 前照灯 | 備考 | ||||||||
5102 | 5131 | 休車 |
一部車両が5000系に編入される前の、2001年頃の編成を示す。前面未更新(つまり原型顔)の先頭車を太字で、また5000系に編入された車両を下線付きで示す。
なお2001年以降に、中間車捻出のため組成を変えられた編成も多数存在する。特に、5118F・5140Fに関しては後に全車両が離散してしまっている。
←大阪梅田 | 宝塚→ | ||||||||||
Mc | T | T | M'c | Mc | T | T | M'c | 廃車年 | 備考 | ||
5100 | 5650 | 5651 | 5101 | 5114 | 5664 | 5665 | 5115 | - | |||
5102 | 5652 | 5653 | 5103 | 5112 | 5662 | 5663 | 5113 | - | 2007年6連化(今津北線転属) 5103,5112は2014年廃車 |
||
5118 | 5680 | 5672 | 5131 | 5130 | 5666 | 5667 | 5119 | 2020年 | 5119は2014年廃車 | ||
5128 | 5678 | 5683 | 5129 | 5120 | 5670 | 5681 | 5121 | - | シングルアームパンタ搭載 | ||
5132 | 5674 | 5682 | 5133 | 5134 | 5684 | 5671 | 5135 | - | 2016年4連2本に分割(箕面線転属) | ||
5136 | 5686 | 5673 | 5137 | 5138 | 5688 | 5675 | 5139 | 2014年 | 能勢電鉄へ譲渡 | ||
5140 | 5660 | 5661 | 5111 | 5144 | 5676 | 5655 | 5127 | - | 2001年6連化(今津北線転属) 5676,5655は2020年廃車 |
||
5146 | 5690 | 5677 | 5147 | 5148 | 5692 | 5679 | 5149 | 2015年 | 能勢電鉄へ譲渡 | ||
Mc | T | T | M'c | Mc | M'c | Mc | M'c | 廃車年 | 備考 | ||
5104 | 5654 | 5685 | 5105 | 5110 | 5143 | 5126 | 5145 | - | |||
5106 | 5656 | 5657 | 5107 | 5116 | 5117 | 5122 | 5123 | - | |||
5108 | 5658 | 5659 | 5109 | 5142 | 5141 | 5124 | 5125 | 2015年 | 能勢電鉄へ譲渡 5124は阪急時代に前面表示幕を設置 |
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(2両ともT) | └ | 5668 | 5669 | 2001年8連化と同時に5000系に編入 |
←妙見口・日生中央 | ||||||||
Mc | T | T | M'c | 更新 | 運用開始年 | 備考 | ||
5108 | 5658 | 5659 | 5109 | 2016年 | ||||
5136 | 5686 | 5673 | 5137 | △ | 2015年 | |||
5138 | 5688 | 5675 | 5139 | △ | 2015年 | |||
5146 | 5690 | 5677 | 5147 | ○ | 2016年 | |||
5148 | 5692 | 5679 | 5149 | ○ | 2016年 | |||
Mc | M'c | 更新 | 運用開始年 | 備考 | ||||
5124 | 5125 | 2016年 | 能勢電50形塗装 | |||||
5142 | 5141 | 2016年 | 能勢電1500系デビュー時塗装 |
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阪急電鉄の電車(2000系列以降) | ||
神宝線 | 5000系 - 5100系 - 6000系 - 7000系 - 8000系・8200系 - 9000系 - 1000系 | |
京都線 | 3300系 - 5300系 - 6300系 - 7300系 - 8300系 - 9300系 - 1300系 | |
引退車 | 神宝線 | 2000系・2021系・2100系 - 5200系 - 2200系 - 3000系・3100系 |
京都線 | 2800系 - 2300系 |
能勢電鉄の電車 | |
現役車 | 1700系 - 5100系 - 6000系 - 7200系 |
引退車 | 1500系 - 3100系 |
掲示板
1 ななしのよっしん
2015/06/11(木) 18:52:56 ID: U2bQGy+OrM
能勢電5138の前面は5119のパーツを移植したものらしい。
しかし、阪急本体とは違って大規模なリニューアルはしないんだな。能勢電に金が無いとか阪神に技術が無いとか理由はあるんだろけど、どこまでも扱いが軽い車両って感じ。
投入時期の都合もあるけど、終始車両需給の調整弁として使われ続けた形式って印象なんだよなあ。
2 ななしのよっしん
2018/09/13(木) 16:05:39 ID: yM/JovvLzj
>>1
扱いが軽いって言うけど阪急車両が始めて合法的に阪神電車に乗り入れたという実績を忘れてないか
3 ななしのよっしん
2018/09/13(木) 16:06:50 ID: yM/JovvLzj
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最終更新:2024/04/25(木) 10:00
最終更新:2024/04/25(木) 10:00
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