陸奥九十九とは、川原正敏原作の格闘漫画『修羅の門』及び続編の『修羅の門 第弐門』の主人公である。
九十九の先祖が活躍する外伝の『陸奥圓明流外伝 修羅の刻』(昭和編にのみ陸奥真玄に見送られるシーンが描かれた)や番外編の『修羅の門異伝ふでかげ』(ふでかげは格闘漫画ではなくサッカー漫画である)には登場しない。
概要
陸奥圓明流の40代目継承者で、世界中の格闘家や傭兵、暗殺集団などと無手で戦い、全て勝利している(陸奥の業や対戦相手は『修羅の門』及び「陸奥圓明流」を参照)。(ケンシン・マエダとの戦いの後、マエダとの戦いの記憶を失い勝敗が分からなかったが、姜子牙との戦いで記憶を取り戻した)。
家族構成は、陸奥真玄(祖父・先代圓明流継承者)、静流(母)、冬弥(4つ上の兄)と九十九の4人。うち、冬弥は後述する九十九との死合で死亡、静流は冬弥の後を追うように病で亡くなっており、今は真玄と九十九の2人だけである。
父親は遺伝学上、山田(不破現)。山田曰く九十九は「不破と陸奥が生んだ圓明流史上最高傑作」との事。
10歳の時に組み手を行なった際に祖父・陸奥真玄の片目を潰し、強さの片鱗を見せ始める。
しかしながら九十九には4つ上の兄・冬弥がおり、兄は15歳で全盛期の祖父をも超える天賦の才の持ち主だった。ゆえに、真玄の次代は冬弥が継ぐものと思われていた。しかし、冬弥が優しすぎて人は殺せない性格であったために、冬弥の意向により、九十九が15歳の時に冬弥と死合を行うこととなる。結果、冬弥は死亡。九十九が陸奥圓明流の継承者となる。この時の冬弥を自分の手で殺したという事実、そして兄の後を追うように母が病死したことが自分が兄を殺したせいであるとの思い込みが、その後の九十九の人生に強い影響を与えた。
「陸奥圓明流千年の歴史に敗北の二字はない」と事あるごとに言っており、その言葉通り、世界中の強敵と戦い、その度に打ち破ってきた。
以上の戦果からも、「敗北の二字はない」の言葉を証明し続けてきたといえる。
しかし、第四部終了後に行われた傭兵ケンシン・マエダとの戦いについては、九十九自身勝敗の記憶がない為、自分より強い者、納得できる強者と戦い、その上で負ける事を望んでいたが(そのため、祖父の陸奥真玄や不破一族の生まれの山田からは「壊れている」と言われている)、姜子牙との戦いでケンシン・マエダとの戦いの記憶を取り戻し、死ぬことより敗北するのが「怖い」と思い出す。
母・静流が作った道着と帯を形見として着用していたが、日本武道館での異種格闘技戦の始まる前の夜に、舞子から帯を貰い、代わりに母親の形見である帯を舞子に渡した。だが、ケンシン・マエダとの戦いの後、コロンビアに道着と帯を忘れてきたらしく、今着ているのは祖父陸奥真玄の手製の道着と帯である。
陸奥九十九と戦い戦死した者
- (陸奥)冬弥
- 九十九の4歳上の兄。真玄をして「全盛期の儂を超えた」と言わしめるほどの実力者。
九十九が15歳、冬弥が19歳の時に陸奥の名を懸けて戦い、九十九の巌颪により死亡。
- 不破北斗
- 安土・桃山時代ごろに陸奥圓明流から分派した、不破圓明流の継承者。
日本武道館での異種格闘技戦の決勝戦で九十九と戦い、「四門」業名「朱雀」を受け死亡した。
- レオン・グラシエーロ
- コンデ・コマ(前田光世)の柔術を祖とし、レオンの祖父ビクトルが完成させた、グラシエーロ柔術の使い手。
ヴァーリトゥードの決勝戦で九十九と戦い、「四門」業名「玄武」により瀕死となるが、賞金で貧しい子供たちを救いたいという気持ちが彼を立ち上がらせ、最後まで本気で九十九と戦ったため、九十九はその思いに応えるべく本気の右回し蹴りを放ち、レオンはついに死亡した。
過去の陸奥圓明流の継承者
- 陸奥?
- 8代目継承者。陸奥鬼一や静の父。今のところ『陸奥鬼一の章』の最後に登場している。
- 陸奥鬼一(むつ きいち)
- 9代目継承者。静の兄。とある橋(作者によれば五条大橋ではない)で弁慶と戦うが、源義経(幼名は牛若)に戦いを止められ、再戦を約束するが、文治5年(1189年)弁慶、仁王立ち往生。鬼一は義経の身代わりとなり自害。
- 陸奥虎一(むつ こいち)
- 10代目継承者。(陸奥)静と源義経の子供で幼名は虎若(とらわか)。静は兄鬼一の遺言で虎若を源氏ではなく陸奥として育てた。
- 陸奥辰巳(むつ たつみ)
- 25代目継承者。虎彦、狛彦の父親。尾張で織田信長と戦い勝利し、信長の腹違いの妹琥珀を嫁にもらう。だが、虎彦、狛彦が5歳の時に病死。辰巳は詫びとして、桶狭間の戦いに参加した。
- 陸奥狛彦(むつ こまひこ)
- 26代目継承者。陸奥辰巳と琥珀の子供で、虎彦とは双子の兄弟。また、織田信長は伯父である。雑賀孫一に2度戦い、恐怖を知りながらも勝利する。本能寺の変では陸奥の名を懸けて虎彦と戦うが、虎彦にとっては初の恐怖だったため、狛彦が勝利し、狛彦が陸奥の名を継いだ。
- 陸奥八雲(むつ やくも)
- 27代目継承者。陸奥狛彦の子供で陸奥天斗の父親。宮本武蔵と戦うが、刀を抜かされたため、八雲自身は引き分けと言っている(武蔵は敗北を認めている)。
- 陸奥天斗(むつ たかと)
- 28代目継承者。陸奥八雲の子供。訳ありでしばらく陸奥の名を名乗らなかったが、柳生十兵衛との戦いで自身が陸奥だと明かした。修練のため片目を瞑っている。
- 陸奥左近(むつ さこん)
- 33代目継承者。葉月の父親。妻は葉月が幼い時に病死。雷電為右衛門と試合勝利し、雷電の師匠谷風と相撲の試合を行うがわざと負け、谷風がそれに気づき、谷風自身が敗北を認める。雷電と再戦を約束するが病死した。
- 陸奥兵衛(むつ ひょうえ)
- 34代目継承者。陸奥左近の孫で葉月の子供(父親が雷電かどうかは、作者自身が「好きなように想像してください…」とあとがきで書いている)。雷電と試合勝利している。葉月によれば「親父殿より強く私より速い」とのこと。
- 陸奥出海(むつ いずみ)
- 36代目継承者。雷(あずま)の兄で、陸奥天兵の父親。坂本龍馬とは大親友。『陸奥天兵の章』にも出てきている。新撰組の沖田総司や土方歳三らと戦い勝利している。
- 陸奥天兵(むつ てんぺい)
- 37代目継承者。陸奥出海の息子で、(陸奥)雷の甥。陸奥の名を継いだ時、講道館の四天王の一人、西郷四朗と戦い勝利した。
- 陸奥真玄(むつ しんげん)
- 39代目継承者。静流の父親。冬弥と九十九の祖父。龍造寺徹心と戦い勝利した。九十九が10歳の時に左目を潰されているため、以来左目は瞑ったままである。
不破圓明流の継承者
- 不破虎彦(ふわ とらひこ)
- 陸奥辰巳と琥珀(信長の腹違いの妹)の子供で、狛彦とは双子の兄弟。織田信長は伯父である。伯父の信長の命を受け、暗殺を行うが、それゆえ戦いでの恐怖を知らない。そのため、本能寺で狛彦と陸奥の名を懸けた戦いをするが、初めて恐怖を感じ敗北。父・辰巳から「不破」の名が与えられた。
「陸奥」と「不破」が分かれてから数百年、互いが互いを怖れていたという事情もあって二家が戦うことはなかったが、日本武道館での異種格闘技戦決勝戦に不破北斗と陸奥九十九が勝ち上がったことで、圓明流の歴史の中で初めて陸奥と不破の戦いが行なわれることになった。
信玄によれば、「陸奥は時代の影に生き、不破は時代の闇に生きた」とのこと。
- 不破幻斎(ふわ げんさい)
- 不破北斗の父親で山田(偽名)の兄。今のところ山田や陸奥真玄からその存在は明らかになっているが、名前しか登場せず、山田曰く「2年前に死んだ」とのこと。
- 不破北斗(ふわ ほくと)
- 不破幻斎の息子で、山田の甥。日本武道館の異種格闘技戦の決勝戦で九十九と戦うが、九十九が「四門」業名「朱雀」を使い、北斗は死亡した。
陸奥、不破の一族だが継承者ではない者
- 静(しずか)
- 実際の人物(静御前)で、本作では陸奥一族の生まれ。陸奥鬼一は兄で、陸奥虎一は源義経との間の子。義母に磯ノ禅師がいる。
- 葉月(はづき)
- 左近の娘で、兵衛の母(夫は雷電?)。速さは父・左近より上であるが、女であるため攻撃が軽い。雷電とある約束を交わす。その後、自分が産んだ兵衛を、全霊をかけて父・左近以上の陸奥に育て上げた。
- 雷(あずま)
- 陸奥出海の弟で、陸奥天兵の叔父。浜辺の小舟で寝ていたら舟ごと海に流されてしまい、途中で外国船に拾われ、アメリカ西部フロンティアに渡る。自身の手が血で汚れるのが怖い為、陸奥の名から逃げた。そのため、兄・出海からは「変わり者」と言われている。ワイアット・アープと早撃ちで勝負し、雷は陸奥の裏技「雹」を使い勝利した。だが、その後、千を超える騎兵隊がマッイイツォ達のテントに攻めてきたため、雷は陸奥の名を思い出し、将軍を巌颪で殺し、己の命と引き換えに、騎兵隊を一時退却させた。
- 静流(しずる)
- 真玄の娘で冬弥と九十九の母親。冬弥が死んで間もなくして病死した。
- 『修羅の刻 昭和編』に登場し、天然キャラで心臓を病んでいるが、イノシシを素手で倒したり、マエダを投げるなどの実力を持つ。
- 母親(九十九の祖母)は現とマエダに会う一昨日前に病死した。
- 冬弥(とうや)
- 真玄の孫で静流の長男で、九十九の兄。
15歳の時には全盛時の陸奥真玄を超えていたが、性格が優しすぎたため、人は殺せなかった。
冬弥が19歳、九十九が15歳の時に、陸奥の名を懸けた戦いをするが、九十九の巌颪を受け死亡した。
死ぬ前に九十九に「ゆけ・・・・どこまでも・・・・高く・・・・」と言い残している。
- 山田(やまだ)
- 不破幻斎の弟で、不破北斗の叔父。子明(ズミィン)からは現(「シェン」または「げん」)と呼ばれている。陸奥真玄からは「現(うつつ)」と呼ばれている。(うつつが本名)
弟子もどきに毅波秀明がいる。また遺伝学上、陸奥九十九と(陸奥)冬弥の父親。
- 『修羅の刻 昭和編』では父親の知り合いのヤクザの用心棒をし、「ウッちゃん」と名乗っている。
- そんな時、ケンシン・マエダが現れ、彼と共に陸奥の里に行き、(陸奥)静流と出会う。
- 後に静流をかけてマエダと試合、途中から「不破現」と名乗り、不破の奥義「神威」を使った。
- 試合は引き分けであったが、陸奥真玄から「数日の婿になれ」と言われ、静流からは「あなたの子なら産んでもいい」と言われたため、静流との間に長男冬弥を授かり、4年後に再び静流の前に現れ、次男九十九を授かる。
陸奥、不破の一族ではないが圓明流の技を使った者
- 龍造寺徹心(りゅうぞうじ てっしん)
- 不破北斗戦で様々な圓明流の技を披露した。
- 凛子の父親で舞子の祖父。
- 陸奥九十九と海堂晃との戦いを見た後、死去。
- 龍造寺巌(りゅうぞうじ いわお) ※旧姓:宍戸(ししど)
- 徹心の一番弟子であり、徹心の娘、凛子の夫。舞子という娘がいる。陸奥九十九戦で様々な圓明流の技を披露した。
- 片山右京(かたやま うきょう)
- 鬼道館「戦慄の貴公子」。神武館の海堂晃と並び称される天才空手家。陸奥九十九戦で「牙斬」を使った。
- 毅波秀明(きば ひであき)
- 作中における九十九最初の対戦相手であり、初出時は神武館への道場破りとして登場。
- 本人が後に「石ころ」と自嘲する程度の実力(所謂名有りモブキャラ)であったが、九十九に敗れた後山田の弟子となり、圓明流の「技」を学び、第弐門でまさかの再登場を果たす。
- 不破の奥義「神威」は使えないものの、彼の圓明流は「偽物じゃない。メッキだとしても簡単には剥がせない」と九十九が評するまでの成長を遂げた。
一族でないが陸奥や圓明流を名乗った(騙った)者
- 宮本武蔵(みやもと むさし)
- 陸奥八雲に敗北した後、二天一流と称する前に「圓明流」を称していた(史実でも圓明流を称していた時期があった)。
- 真田圓(さなだ つぶら)
- 真田幸村の娘で、徳川将軍の首を取るために寛永御前試合に出場しなければならないと考え、そのために陸奥を名乗っていた。
- 陸奥陽之助(むつ ようのすけ)
- 実在の人物。日本初の外務大臣、陸奥宗光。海援隊の隊士で、元の名は伊達小次郎。
本作では龍馬から陸奥出海の事を聞いて、陸奥陽之助と名を改名した。
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